グレベーシ事変 - 破滅する未来
別に呪○廻戦に影響受けたタイトルってわけじゃありませんからね?!!!!
この小説は知ってる人にしか分からないネタ…ってこれパクリって言うのか…?…が含まれるので見つけてみると楽しいかもしれませんね。
-アルターが戦っていた頃のパルガン達。
寒さに手が悴む。動けば暖まるものの、その動くのが難しいレベルの寒さ。火炎文明の星にこんな寒冷地は無い。
必然的に、パルガンとフラゴルは苦戦を強いられる。
「フラゴル君、パルガン君!敵は電熱服を着ている、サイズの合うものを鹵獲するんだ!」
「ジーニストが居ないんだよ!!」
身体的特徴のせいで、ジーニスト専用の物でないと使用は難しい。戦闘となると無理して着るのもあまり得策ではない。
「…パルガン!」
フラゴルが声をかける。投げ渡してきたのは、敵が持っていたらしい銀色の金属の箱だ。
「…ありがとう!うわっなにこれ暖か…ありがとう!」
敵を捌きつつ、キャッチ。それは白金懐炉と呼ばれる物だ。
「もう、なんでこんなに多いんだ!」
セスランスに居るクチワ達も支援してくれているとはいえ、さすがに数が多過ぎる。子供を戦争に巻き込む訳には行かないからマルトとムボガは船に待機させているが、正直猫の手も借りたい状況。そんな状況に、異変が起こった。
「《殲双剣カタバミ》」
戦火の中、ふとそんな異質な単語が聞こえたような。無意識がそれをキャッチしたような…その無意識を意識した時、もうそれは起こっていた。
「『真の力を以って……鏖殺せよ』」
一対の刃が、パルガン達ごと兵士を挟み込むように現れ、ハサミのように閉じる。パルガン達をすり抜け、閉じた刃が消える。兵士は全て死んだらしい。1人も見当たらない。
「兵士は全て…"カタフニア軍"という根で繋がっていた…殲双剣はそういう根を伝って皆殺しにできる…」
タネを明かしながら現れたそれはゼニス・ワンダラー…にしては、見た目が?
「マスター、お気付きかと思うがあれは殲双剣カタバミ…神剣だ…」
ヤツエルがそう言う。
「…それ、神剣だよね。僕も神剣使いだ。」
剣士同士の戦い…名乗りを挟むのが礼儀。
「…そうか、ならば俺がお前に…手加減をする未来は消えたな…!」
だが、彼は剣を向けたパルガンへ対し一目散に走り出す。
「嘘でしょっ?!!」
再びあの挟む攻撃をされれば恐らくパルガンと一緒にセスランスメンバーが全員死んでしまう。パルガンは地面を蹴って突進を躱す。
(危なかった…でもやっぱり…なんか見た目が普通すぎるよね…ただの有鱗族なんじゃ…?)
単眼・片翼の悪魔、シアノ。身体が白い炎で形成されているサルファ。どれも種族としては存在しない見た目。だが、彼にはまず頭と四肢があって…体の一部のみに鱗ができている。あれはスクァマーという種族で、水文明では一般的。仲間に極めて特殊な種族らしいジーニストと少数派グループらしいスタウロゾアしかいないから知らなかったけど、スクァマーは火炎文明で言う有鎧種らしい。ブレンネンとフラゴルの2人がパノプリアだし、訓練所にも沢山居た。
(そんな、ありふれた種族に似たゼニス・ワンダラーが居るのか?…)「ヤツエル、答えて。」
「否…存在しえない…少なくともサルファによってなされたゼニス・Wでは必ず見た目は異形に変わり果てる…」
「じゃああれって、ただの無関係の第三勢力?」
「そうとも限らない……それだけは言える…………」
兵士が懐炉を持っている。原理上、懐炉は水文明の中の耐寒力が劣る種が開発したものとされている。火炎文明には存在しない。つまりパッション・ワンダラーのように、彼らも水文明との関係がある…その兵士が水文明を襲っている…ここまでなら解釈は簡単だ、この軍隊は水文明を裏切ったのだろう。だがさらにその軍隊を、このスクァマーは倒した…そして神剣を持っている…ゼニス・ワンダラーとは限らない…
「なんかおかしいぞ…」
そのスクァマーの体からは、黒いモヤが時々見える。なにか、魔法で操られているのか…?…
「考え事は終わったか?」
スクァマーは、気づけばパルガンのすぐそこまで来ていた。双剣を振りかぶろうとしてきていた。
「《聖比礼エンドレ》!」
ちょうど、エンドレが剣とパルガンの間に挟まり、窮地を脱する。
「《陽炎斬り》」
それに続けて、パルガンは斬り上げる。スクァマーは殲双剣を手放し、バク転で陽炎斬りを躱す。パルガンは、落ちた殲双剣の片方を掴みつつ側転した。
葬送刀を鞘に納め、殲滅剣を構える。すると、互いに殲滅剣を向けた状態になった。
「ふぅむ、いい判断力してる!名前は?」
「パルガン!…君は?」
「ビナー!…モーリェ・ビナーだ!」
「そして俺は…!」
「ん?!」
モーリェを、横から蹴り飛ばす人。
「俺は、ブレンネンだァァァァ!!!!」
ブレイズ・バーストで爆ぜる飛び蹴りが、モーリェにクリーンヒットする。
「はーはっはぁーっ!無視は困るな!!」
「いい攻撃をするじゃないか、船長」
そう、ブレンネン達も居るのだ。決闘とは違う。相手が決闘のセオリーを無視して突っ込んでくるのなら、一対一の真剣勝負をする必要も無い。先にセオリーを破ったのは向こうの方だ。
「なぁパルガン、その剣俺にくれよ」
フラゴルはパルガンの左手に握られた殲滅剣を見て言う。
「うん」
パルガンは別に二刀流をやりたくて拾った訳では無い。殲滅剣をフラゴルに渡し、葬送刀を抜いた。
4人揃って、モーリェに相対する。
「ちっ…やってくれたなァ…!」
「やぁぁぁっ!」
パルガンとフラゴルの2人が先陣を切る。前衛2人。
「《延焼天》」「《肆転連撃》」
剣が1本では、2方向からの同時攻撃をいなすことはできない。モーリェは避ける。いなす攻撃、避ける攻撃を的確に判断して避けていく。
「…!」
そこに、言葉を発さずの闇討ち。ゼレの銃撃。2つ時間差で飛んでいく銃弾は、前衛2人の間をすり抜けて届くも、どちらもモーリェの髪にのみ当たった。
「あぶねっ!」
「おっと…」
「《陽炎斬り》」
避けることで、横に逸れるモーリェに対し、バットで殴るように、思いっきり剣を振り上げるフラゴル。
だが、それもモーリェは避ける。
「っ…《断炎斬り》」「《龍炎刺突》!!」
体を自在に動かして、両方の攻撃を避けるモーリェ。いや、正確には…
「…やっぱり……!」
「ん、どうしたパルガン」
すり抜けている。攻撃が、避けているのではない。すり抜けている。避けているように見せかけつつ、実際にはギリギリのところで当たっている。にもかかわらずすり抜けてダメージが入らない…プレェトと同じだ…。
「《月食》」
月食を発動させたその葬送刀に、日光を反射させてモーリェを照らす。
「…?」
月食の光に照らされたモーリェは姿を変えた。それは黒いモヤだ。モヤだけ。モヤしかない。人間の形をした、モヤの集まり。煙のような黒色の、何なのかわからないモヤの塊。プレェトともオステオンとも違う、極めて異質な…だが…
「《月食》《鳳蝶》!」
「ぬぅ?!」
やはり、月食。月食ならば、当たる。それは変わりない。
月食色の刀は、モーリェに命中し、傷をつけることに成功する。
「マジか」
「情熱的だな!」
「ふむ…さすがは神剣…といったとこかね」
神剣、それなら殲滅剣にも…そう思いフラゴルが剣を見たところに、ヤツエルが来る。
「フラゴル…お前にもやれることはある………」
「…まさか、この剣のこともわかるのか!」
「あの者が最初に放った『根を伝う斬撃』……一本でも可能……名称は『殲敵』………」
殲敵。その名を覚え、フラゴルはモーリェに向き直る。
「パルガン、ぶっ刺せ!《殲敵》…!」
「《月食》《龍炎刺突・投》!」
パルガンが投げた葬送刀はモーリェに突き刺さり、モヤを実体化させる。
「《断炎斬り》ィィ!」
エネルギーが集まり巨大化した刃をフラゴルは振る。
「さぁ…伝え…どこまで伝う…」
実体化させてからの殲敵・断炎斬りは確実にモーリェにダメージを与えた。根を伝って、他の何かにダメージが入れば仲間がいるということになる。サルファか…あるいは…
「うっ…うぅ……」
いつの間にか、後ろにいた。後援のブレンネンたちよりも後ろへ。それは涙を流し、佇んでいる。
「は…?」
「君が、あのモーリェの仲間?」
「うぅ…………」
何を言っても、ただ佇むだけ。泣いているだけ。
「おいおい…なんだいこれは…」
困惑するゼレ。
「うぅ…あ……!」
「あ…?」
なにか様子が変わる。フラゴルは問いただす。
「見えちゃう…見えちゃうんだ……見えるからには…ネ…覚悟を決めなきゃ-」
「《龍炎刺突》《殲敵》!」
構えからディレイを置き、刺突のタイミングに合わせ巨大化する。不意打ち。
「何で避けれんだよ!クソッ!」
「ひぃっ!」
避けて行ったそれの方へ、2人が走っていく。
「わ…わぁ………モーリェええ!」
「……うらァ!」
モーリェを形成していたモヤは、どこからか再び集まってきて、またモーリェとなって現れる。2人の背後をとったモーリェは、フラゴルへハイキックを繰り出す。
「フラゴル!…《月食》《烈火居合》!」
パルガンの視界で、フラゴルがよろけるのがスローモーションになり、居合斬りがモーリェを真っ二つにする。
「こいつ、復活できるのか…フラゴル、大丈夫?」
「さっさと…ヤツをやるぞ!」
「うん!」
フラゴルに手を貸して、フラゴルを立ち上がらせる。次に、パルガンは刀を振って空中を十字に斬る。
「《炎纏》」
炎のビュウという音が、刀が動くたびに鳴る。
「行くよ!」
「《殲敵》」
「わ、わあああ!!」
それは情けない声を上げながらも、2人の連携の取れた攻撃を難なく避けていく。フラゴルの巨大化する剣も、パルガンの炎も、全く意味をなさない。
「《ブレイズ・バースト》………おい嘘だろッ!?」
「なんなんだよ、君!」
隙間を縫って放たれたブレイズ・バーストさえも、間一髪で回避してしまう。
「クソムカつくぜ、ひょろひょろしてあたらねぇ!」
「私も射撃の腕が落ちたかね…」
剣を振る。当たらない。刀を振る。当たらない。銃を撃つ。当たらない…
*
「《聖比礼エンドレ》!」
やがて、パルガンに秘策が生まれる。巨大化したエンドレを障害物にして、フラゴルとパルガンのはその後ろに隠れた。ブレンネンとゼレが足止めをする。成功するはず。
3…2…1…「《ブレイズ・バースト》!!!」
「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!《猛炎薙ぎ》!!!」
「わぁぁ!」
爆発音を合図に、フラゴルを足場にして、パルガンは飛び上がり、エンドレの壁の上から特攻を仕掛ける。横薙ぎの一撃。激しい炎のように、横一直線に広範囲を薙ぎ払う一撃。
位置エネルギーを利用した断炎斬りではなく。後ろに避けさせるために。
そう、パルガンは囮である。
「《龍炎刺突》《殲敵》」
エンドレの後ろにいたフラゴルは、エネルギー体の剣でそれを貫かんとする。エンドレも同時に消える。爆煙の目隠しも相まって、絶対に避けられない、必殺の一撃!これは届いた!
「やった…?…うわっ?!」
パルガンの足が掴まれる。それは、跳んでいるパルガンの足を掴み、上に逃げた。とてつもなく軽やかな動き。いやそれ以前に、彼は攻撃が見える前に、すでに避けていた。エンドレが消えたタイミングは完璧。フラゴルの役割についても、土台であるとわかる。すでにあの技を見ていたとしてもだ。こんなにおどおどしたやつが、予感だけで上に逃げるという選択肢を取れるか?しかも、パルガンを掴んだということは飛行系の力もない。それが………
「未来予知だ………これ…!」
「は?マジか?」「なんだって」「なにッ」
未来予知。それがパルガンの結論。
「ど、どうやって倒せば…?!!」
パルガンは考え込む。全く勝ち筋が浮かばない。どうすればいい?このまま膠着状態が続いて増援のゼニス・ワンダラーが来てしまっては負けだ。
ゼニス・ワンダラーでは魔力切れなんて見込めない。常識が通用するはずがない。そもそも反応から読み取るに、無意識的に発動している能力だ。やつに何かしたところで意味をなさない。
…ふと、フラゴルの剣が目に映る。
「…フラゴル、剣貸して!」
「え?あぁ」
フラゴルが剣をパルガンに渡すと、パルガンは二刀流スタイルで向かっていく。
「何をする気だッ!?パルガン!」
そのパルガンに、ヤツエルが説く。
「マスター…『金環月食』と唱えるんだ…やりたいことができるはず…」
「《金環月食》」
2本の刀剣を囲うように、黄金色の環が出現する。その環は縮んでいき、同時に2本の刀剣も近づき、融合していく。
「くっついた?!」
「はは!やはりパルガンだな!」
さすが、ではなくやはり。
パルガンは、一本になった金環葬殲刀を握り彼の元へ向かう。
「1発でも当たればいける!ブレンの攻撃、中心部避けてダメージ軽減してたけど、当たってた!絶対当たらないわけじゃないんだよぉっ!!」
情熱。情熱の力で、未来を手繰り寄せる。どれだけ彼が未来を見て、悪い未来に進まないようにしていったところで、全ての未来で攻撃を当てられてしまえば、避けることはできない。掠るだけでいい。この巨大な刀身が触れさえすれば。見えないものを斬る斬撃、月食。根を伝っていく斬撃、殲敵。二つが合わされば…
「やぁぁぁぁあ!!!」
「いけぇぇ!パルガン!」
「パルガン君…。」
「やっちまえ!」
応援する3人の背後に、モヤが迫っていた。黒いモヤ。モーリェの黒いモヤ。
「ふははは…………!」
だが、パルガンはそれを狙っていたのだ。
みんなからの応援、モーリェを攻撃できる状況、そして、根を伝う!
「《金環日食》《鳳蝶》!いけるよね、今ならぁぁ!」
モーリェとこいつは別人。いくら未来予知したところで、モーリェを動かすことはできない。未来が見えた時点で、もう手遅れなのだ。その刃は、ブレンネンたちだけをすり抜けモーリェを斬りつける。日食の力。未知数だが、とにかくゼニス・ワンダラーに有効。
「根を伝って…君だって!」
「わ…ぁぁ…ぁぁぁあああああああああ!!!!」
ピシッ
-『ビナー』のセフィラは今、殻から解き放たれた。
セフィラ、顕現。
響いたのは、人の声のような咆哮。何が起きたのか、日食の効果がのった斬撃が根を通じて入った彼は…怪物へ変貌した。馬のような四足歩行。後ろへ伸びる3本の角、胴体部では惑星環にも見える白銀色のリングが浮かび回っている。
特筆すべきは頭部である。表には彼…いや、ノエ。裏にはモヤによって形成された顔…モーリェ。
両面を持つ怪物、ビナー・アッシアー。
「ア…アア……」
悲哀を感じさせる鳴き声。泣いているような鳴き声。
「なにが…何がどうなった!」
かなりの高さ。15mほどはありそうだ。巨大な四足歩行の怪物。もはや人間ではない。
騒ぎを聞きつけてアルターも駆けつける。
「なんだなんだ!?」
アーマーの様子がどう見てもおかしいアルターにツッコみたいも流石にそんなタイミングではない。
今までに見た1番大きかった動くものはオートマトンゴーレム。それでも6〜7mで、アルターらのフェクギアとさほど変わらない。
それらを優に超えるサイズ。恒星を隠し、パルガンたちは影に包まれる。
「アア…………
《בינה》
…」
聞いたこともないような発音。知らない言葉。訛りとかじゃない。辺りが静まりかえる。ビナー・アッシアーの周りに、モーリェのようなモヤの塊が浮かび上がる。
「……襲ってくるぞォォォ!!!!」
ブレンネンが叫び、少しの遅れを挟んで一斉に走り出す。
その辺にいた水文明の兵士たちも重い武器を捨てて走り出した。
飛んできたそれが地面で爆ぜていく。直接それが当たった人もいた。その人はモヤに包まれ、しばらくしてモヤが晴れると、眼球は消え去り、代わりに光を吸収するような深い黒色の枝…茎…のようなものが天に向かって伸びている。身体中に同じ色のの根が張り巡らされ、爪も長く鋭く黒く染まっている。手にはビナー・アッシアーのものと同じような環を持っている。武器だろう。あたりは混乱状態に陥る。
「《飛翔プログラム - V3》!」
対消滅によって生まれるエネルギーを推進力に変えて、亜光速移動するアルター。風やゴミは魔法のバリアで防ぐ。アルターは、パルガンたちを手とサブアームで掴み、一気にビナー・アッシアーと距離を取る。
そのスピードの世界の中で、パルガンはある1人の存在に気がつく。
-クリフォト参戦。




