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クリフォト

「邪魔をするな……神文明!」

「…人間という生き物は脆い……超世界の縮小を免罪符に、いつまでこんなくだらないことを!」

「黙れ…!……アドラメレクの幻影…行け……」

オステオンの部屋。王座に座っているオステオン、それに聖槍を向けるロアール。アドラメレクの幻影が、ロアールの方へゆっくり向かっていき、孔雀のような翼をはためかせ、魔法を発動する。

「《呪詛》」

「《安らかに眠れレクィエスカト・イン・パーケ》」

ロアールの槍の彫刻に、魔力が流れる。孔雀の翼から、ビームが放たれたその時、槍の先端から光が発せられた。()()の光と名付けたい、そんな光だった。

その光は、アドラメレクの幻影が唱えた『呪詛』の魔法を、その本体ごと消し去った。

アドラメレクの幻影が、一瞬にして消し去られたのだ。

そして光に包まれたオステオンが王座から姿を消している。

まさか、この一瞬のうちに倒してしまったのか…?…そうも思わせるような、光と威力だった。

「あ………わ……………」

それを見たピサンリが、飛ぶ力も無くし地面に落ちる。畏怖。

声も出なかった。ただ、その光に畏怖し、無意識に震える。

息も詰まるような間が空いた。


「《ボースハイト》!!」


…衝撃波が飛んだ。呆気に取られていたパルガンたちがその衝撃に地面に崩れ、意識を取り直す。

見れば、人型の悪魔であった。人型の、2m程の身長で、暗い色の肌。角が生えている。

オステオンはボースハイトでロアールの背後にテレポートし、渾身のパンチ…不意打ちを繰り出した。ロアールはそれをノーガードで受けたが、ダメージは一切無いようだ。

「不意打ち…私を一撃で沈める前提で動いたわけか…超世界の者が対等だと思っていたのか?死文明は神文明に遠く及ばない!…あの死霊から集めた瘴気がなければ貴様は眷属召喚もできないのだろう?!」

「黙れぇっ………!!」

「《形質顕現-光背(アウレオラ)》」

ロアールの背部から、光の輪が勢いよく広がる。オステオンが、それに吹き飛ばされ、部屋の壁にぶつかり、崩れ、外が見える。

そこから見えた外は、まさに地獄であった。

溶岩が至る所で湖を作っている。毒々しい色の沼もあった。そして、至る所で暗い色の爆発が起きている。

「解析プログラムがエラーを……未知の元素!…これは…!…ピサンリ!避けろ!」

「え……きゃっ!!」


響く爆音。


「ピサンリィィィーーーーッ!!!!」

ピサンリが爆発に巻き込まれる。マルトが叫ぶ。

「ピ、ピサンリちゃん!」

「うっ……!?」

ブレンネンが口を押さえる。…ピュールのフラッシュバック。

そして爆発の煙が晴れる頃だった。

「爆発?!…なによ…もう!」

「ピ、ピサンリ……?」

そこには、いつものピサンリがいた。無傷のようだ。ブレンネンは呼吸を整え、マルトはホッとする。

「防御魔法を咄嗟に使ったのか!…次も同じようにできるとは限らない…今すぐ現世に退避するべきだ!」

ゼレが声を張る。

「ワンダリング・ゲートはどうなった?!」

「本はあったわ、でもとんでもない大昔に奇跡みたいな人が1人いたかもしれない、それだけ!!神話でしかない!ワンダリング・ゲートなんて、人間には使えないのよ!」

ピサンリも、めいいっぱい声を張り上げる。ワンダリング・ゲートは無い…その事実に、絶望を隠しきれない。


「《ゼニス》」


そんな中、そんな声が、聞こえた気がした。

「サ…サルファだ!…っうわぁぁぁ!」

パルガンがサルファの姿を目にするも、すぐに見失う。

パルガンたちの、真下の床が、円形に切り取られ、穴になっていた。穴の向こうは現世に繋がっている。パルガンたちはその穴に落ちていき、現世に戻されたのだ。

そんな中、マルトの声が響く。

「ピサンリぃぃーー!!!」


ピサンリだけが、取り残された。


「え…どうして…?」

困惑するピサンリ。穴のあった床を見ていると、後ろから、身体を掴まれる。

「きゃっ!?」

「さっきので確信できた、お前はゼニス・ワンダラーだ。《ゼニス》」

ピサンリの身体が白く光り、割れる。そしてその身体は再生し……全く違う姿に変貌する。

綿のような丸い身体に可愛らしい羽が生えただけだったのが、ギリシャの女神像のような、美しいすらっとしたボディに変貌する。

「なるほど…名はピサンリ…セフィラは美、ティファレトか…クリフォトが来る前に五文明を隔離できただけでなく、仲間も増えるとは…」

「オステオン、オステオン!一時休戦するぞ、異常事態だ!」

オステオンは、狂ったように殴りかかっている。ロアールの言葉など聞こえていない様子。

「聞こえないのか!争っている場合じゃないと言っているんだぞ!」

「戯言をーーッ!!」


--そして、クリフォトが現れる。


「《アイン》」


真っ白な空間。何も無い、果てしなく広く白い空間。


サルファと、ピサンリ。ゼニス・ワンダラーだけが、この場に飛ばされた。

ピサンリは地面に伏している。ゼニスのショックか、転送のショックか。

「お前は…クリフォト…!」

サルファが気配に振り向くと、自分と同じような見た目をした、だが全く異なった雰囲気の少年がいた。

「いかにも…私の名はクリフォト…アンタゴニストだ。」

「《ゼニス》」

サルファが、ゼニスの光弾を飛ばす。命中するも、クリフォトには効果がなかった。割れることも無い。

「効くはずもないか…!」

「まだ自己紹介をしに来ただけだ。…血の気の多い。」

「自己紹介だと?悪役(アンタゴニスト)を自ら名乗っておいて、自己紹介が必要か!」

「私はクリフォト……得意魔法は『アイン』と『多無色魔法-アイン・ソフ』…以後、お見知り置きを。…《アイン》」

「ま、待てっ!」


一瞬、視界のブラックアウトを挟んだ後、サルファたちは、無文明の星に帰ってきていた。



「おい、おい!!どうしてだよ、ピサンリが!!」

「マルト君、落ち着きたまえ!まずは冷静に状況を整理するべきだ!」

「落ち着いてなんてられっかよ!!だって、ピサンリが!」

「マルトぉっ、ご婦人の言う通りだ、まーず落ち着くんだ…いいか…?」

マルトが地面を殴っている。さっきゲートが開いた地面。拳は傷だらけになり、目は潤んでいる。それをゼレとクノップが抑える。

「クノップはピサンリが心配じゃないのかよぅ?!!!」

「あぁ、もちろん心配だよっ!でもゲートが開かない以上できることは無い!無いんだ!無駄なことはダメだぁ、マルト!」

クノップがそう宥めると、マルトは膝から崩れて泣き出した。

「…船長、実際これからどうすんだよ」

「………」

フラゴルがブレンネンに尋ねるも、ブレンネンは答えられなかった。


「《眷属創造-アイン・スパイダー》」


地響き。パルガン達を、地響きが襲う。

舌なめずりのような鳴き声が聞こえる。

「おい、おいおいおい?!!!」

「な…なんだっ??」

脚が1本…2本…8本の脚が地面から現れ、本体が姿を現す。

混ざりきっていない色水のようなマーブル状の白と灰色の身体に、鮮やかな眼。赤、青、緑、黄、黒、白の6色6つの眼がある。

「おい、マルト、泣く時間は終わりだ……今はとにかく逃げるぞ…」

「…でもよクノップ…!…ここにピサンリが!」

「ピサンリは必ず帰ってくるっ…!!…仲間を信じるんだ、いいなマルトぉっ!」

クノップの声に、マルトの眼が情けなく涙を流すだけの眼から、キリッとした眼に変わる。

「シィーッ」

さっき地面から出てきたアイン・スパイダーが、脚を1本1本動かして、地面を揺らし近づいてきている。それを引き離すように、パルガンたちは逃げていく。

「シィッ………」

眼が光る。赤色の眼だけが、光る。アイン・スパイダーの身体のマーブルに、赤色が混ざっていく。

「蜘蛛のバケモンがなにかやってくるぞぉぉーー!!!」

「シャッ!」

走る。走る。走る。

パルガン達の後方で、火柱が上がる…火炎系の魔法だ。

「魔法使って攻撃してきやがった、クソ!」

「国内じゃ魔法で防御もできない…国外に逃げないと不味いぞ…ムボガ、国外まで案内してくれるか?!」

「う、うん!」

バラバラに逃げていたみんなが、ムボガを先頭にしたことで自然と、どんぐりの3人、火炎文明、水文明と整列される。

「シィーッ!」

次は、青。アインスパイダーの青の眼が光り、元の白色に戻っていたマーブルが青に染まる。

「次、来るぞ!」

火柱が出たように、次は氷の柱が地面から生える。ただ、上ではなく、逃げるワンダラーを狙って。

「きゃっ?!」

ゼレが伸びる柱に当たり、打撃の攻撃を受ける。

「ゼレ!」

アヴニールのサブアームが、転んだゼレを掴む。

「迷惑かけてばかりじゃないか…私!」

「人によって向き不向きはある!お前がパルガンの応急措置をしてくれたおかげで、まだパルガンは生きてる。そうだろ?」

フラゴルが言う。

対するゼレの感謝の言葉をかき消すように、クノップが叫んだ。

「第三撃、来るぞぉっ!」

地面から鋭い木が、メキメキと伸びてくる。

「その塀を飛び越えたら国外!!飛び越えるよ!」

「了解だムボガくん!………飛び越える?!」

「ラプシ、ライド!」「キャーウ」

マルトがラプシを呼び、マルトとムボガが乗る。

クノップは薙刀を地面に突き刺し、棒高跳びの要領で塀を飛び越える。

「パルガン、フラゴル、船長、乗って!」

ダゼンブラ、メストレサ、アヴニールが手を差し出す。フラゴルがゼレが既に乗っているアヴニールの手に飛び乗ったので、パルガンはダゼンブラ、ブレンネンはメストレサの手に飛び乗る。

「《飛翔プログラム》!」「「《ジャンプドライブ》」」

フェクギアのバックパックや脚部の推進機が起動し、フェクギアが浮かび上がる。高度がゆっくり上がり、塀を超える高さに達した。

「キャーウ…」「ラプシ、頼むもう少しだけ!」

先導するラプシが、半ば墜落のような形で国外の森に落ちていく。

国外に出る時、パルガンは、薄い膜を通り抜けたような感覚を覚える。恐らく、魔法を封じる結界的ななにかか。

「これで魔法が使える!」

「シィッ」

アイン・スパイダーは追いついてきていた。魔法を咎められる理由は無い。

「《武器召喚-アリストテレス》!」「《武器召喚》」「《ブレイズ・バースト》ぉぉ!!」

ゼレの二丁拳銃が放つ嵐のような銃弾にアイン・スパイダーが圧された隙に、ブレンネンのブレイズ・バーストがアイン・スパイダーにクリーンヒットする。

「いける、いけるぞ!」


「しまった…攻撃に振りすぎた。ちょっと強化魔法でも打っておくか。《アイン・ブースト…」

サルファと同様、不可視のクリフォト。クリフォトは国内で、アイン・スパイダーとパッション・ワンダラーの衝突を俯瞰していた。

アイン・スパイダーが魔法に押されているのを目撃し、アインで強化効果を付与しようとする。だがそれを中断するように、背後でゲートが開く。

「《ワンダリング・ゲート》」

神々しい光のゲート。

そのゲートに、クリフォトが目を輝かせる。

「これは……」

「女神アルミザーンの名の元に…粛清を行います。」

天使だった。自然文明の国内で魔法を使ったことを理由にクリフォトの元に来たのだ。

「これは…ワンターンキルが見えた…!!…あとは死文明だけ!…ケテルだけでも討伐出来ればあとは雑魚どもだ…!!!」

「《粛清(プルガーレ)》」

「《アイン・バインド》」

天使の身体に、黒い輪が絡みつく。

「これは…?!」

「いける…いけるいけるぞ…まずこの国を滅ぼして死文明を呼び出す………《眷属創造-アイン・リッパー》!」

「《ゼニス》」

生み出された眷属に、即座に白い輪が絡みつき拘束される。

「…来たか。速かったな…。」

「世界は俺が守る…!」

「正義ヅラを…この世界の()()()はパルガンだぞ。パルガンの意向を読む方が正義だと思うが。」

「《武器召喚(オブジェクト呼出)-BANハンマー》」」

「ふん…《武器召喚(オブジェクト呼び出し)(クリファ)》」

拘束された天使が、地上に落ちていく。その天使が落ちて、建物を破壊する…その音は開戦の合図とするのに充分な音だった。

サルファは自分の背の丈ほどあるハンマーを、遠心力を利用して振りかぶってクリフォトにぶつける。クリフォトが装備したガントレットがそれを受け止める。

「ゼニスと同じBAN効果を持つハンマーとはいえ、同じタイプの武器には効果がない。」

「…《ゼニス》!」

クリフォトがもう片腕を振りかぶりガントレットでの攻撃をせんとしたところで、サルファがゼニスによる瞬間移動で避ける。クリフォトの攻撃は飛んでいた鳥に命中した。

「……お前には俺は殺せないはずではなかったのか?!」

「さぁ?」

鳥が、ゼニスで存在を抹消した時と同様に、赤く割れる。BAN効果のある攻撃…クリフォトも、それが使用できるということ。

「嘘教えやがったな……?…クソ野郎が……セフィロトォォ!!!」

「《眷属創造-アイン・リッパー》《眷属創造-アイン・マーダー》」

「何っ?!」

クリフォトの眷属が放たれる。死文明の呼び出し…殺戮を目的とした眷属。

「感情があるのは悪いことじゃない。だが感情的になるのは愚かだ。…火炎、水、自然、神、じきに死も来る。」

神文明は、特定の聖地に課せられた縛りが破られた時、現世に天使を送る。超世界の現世への介入。

死文明は、特定の場所で多くの生体エネルギー()が流れることで現世に顕現し、ネクローシスと呼ばれる現象を起こす。ネクローシスが起きた惑星は死文明のものになり、超世界に取り込まれる…

自然文明でないものが、魔法を用いて大量虐殺を行えば、死文明と神文明が同時に現れる。

「この場所は五色魔法の発動にうってつけの場所だ…パッション・ワンダラーは早めに解体しておくべきだったな。…それに確かパッション・ワンダラーがこの地に来た理由は…………」

「…シアノの失言」

サルファが、声を震わせた。

「そういうことだ。己が未熟さを知れ…」

(死文明の顕現を止めるのは…不可能だ、アイン・リッパーにアイン・マーダー…どちらもクリフォトの眷属、ゼニス・ワンダラーには倒せない……そうなれば1番手っ取り早いのは…)

「《ゼニス》!」

テレポート効果。ゼニスのテレポート効果を使用し、落ちていった天使の方へ瞬時に移動する。だが、瓦礫の山で天使の傍にいたのは、クリフォトであった。

()()()()()。この天使をBANすれば五色魔法は使えない…そう考えるのは何らおかしい事じゃない。ごく自然に思いつく凡庸な考えだ。」

サルファの頭に、ある言葉がよぎる。

…勝てない。

ゼニス・ワンダラーのリーダーとして。人間を見下し、消去してきた者として。初めての、圧倒的な格上。

「ゼニ--」

「未来を見ろと言った…お前が逃げるのは容易に見えた。」

ゼニスと唱えようとするも、クリフォトはサルファの首を絞める。

「殺せない…はず…じゃ………?!」

「あぁ、殺せない。その認識は正しい。だがいたぶることは出来る。」

恐怖がサルファの頭を埋める。首を掴んだまま、クリフォトはサルファを持ち上げていく。足が地面を離れる。意識が遠くなる。

死への恐怖、クリフォトへの恐怖。

「…?」

だが、突然クリフォトはサルファを手放す。やっとの思いで必死に呼吸する。

「しまった、誤算だ…かく言う私も、感情的だったのかもな…《アイン・テレポート》」

クリフォトが去る。サルファは、震える手の感触に、恐怖し、トラウマが刻まれた。



「サルファ…いや違う…?…君、誰?」

パルガンが、自分に向けて刀を向けているこの状況。ありえない状況だった。

パルガンは、アイン・リッパーとアイン・マーダーの出現を察知し、止めに来ていた。天使が落ちる音もあった、悲鳴も聞こえたのだろう。

「そういうお前は…ゼニス・ワンダラーの裏切り者か…?」

「違う、サルファ達と一緒にしないでくれ、僕達はパッション・ワンダラーだ!」

謎が深まる。なぜ、覚醒前なのにこちらが認識できているのか。ピサンリのように、ゼニスを打つことによってゼニス・ワンダラーとなる人間が一定数居る。サルファと一緒にするな…ということは、まだゼニス・ワンダラーではない。

覚醒前のゼニス・ワンダラーは、致命傷となる攻撃が自動的に無効化されるという見分け方がある。

「サルファが嫌いか?…私はクリフォト。ゼニス・ワンダラーの敵だ。」

「…敵?」

パルガンが、予想外の言葉にたじろいだのが見える。刀の先が揺れている。

「君がゼニス・ワンダラーの敵ってことはつまり…」

「そう、私は人間の味方……武器を下ろしてくれ。」

「…サルファと同じ見た目の君を、信用出来ないよ。」

パルガンが返したのも、クリフォトにとって予想外の言葉だった。信用…信用。

ふと、アイン・リッパーに襲われている国民の悲鳴が聞こえる。

「あれはあの時のおじいさん…!!…君、僕たちの味方なんだったらあれを一緒に止めてよ!」

迷った。ここで眷属を消せば、パッション・ワンダラーはクリフォトを信用するだろう。だがそのルートで良いのか?

…いや違う。このルートでなくてはならない。()()()()()()()()()()()()()()()()()を確実に使用させるには本人たちの自主的な協力が必要だ。

最速ルートではなく確実なルートにシフトする。

パルガンは既に走っていき、アイン・リッパーの攻撃を捌いている。

「パルガン…さん!!」

クノップが走ってくる。手には薙刀…機巧兵装を握っている。

薙刀を振るい、アイン・リッパーのマーブル色の身体に一撃、回転を挟んで二撃を入れる。混ざりきっていない色水のようにモヤモヤとした灰色。その肉体から、灰色の液が噴き出す。

「うわっ」

「良かった、ダメージは通るのか…!」

(ダメージが通ることに安堵…?普段何と戦ってるんだぁ?この人…?)

クノップが首を傾げた瞬間に、影が差す。

「後ろ!」

「キヒヒヒヒヒヒ!」

笑い声と共に、マチェーテを振りかぶるのはアイン・マーダーだった。

火花が散る。…マチェーテが、クリフォトの右手のガントレット(クリファ)に防がれる。

「《武器召喚-流星刺突短剣》」

クリフォトの左手に、星空のような色の短剣が握られる。装飾か?いや違う。魔法が付与されているのだ。

(サルファを知っているゼニス・W(ワンダラー)の卵…BANを見ている可能性がある…つまりBANを使わずなるべく派手な攻撃を使って一瞬で倒す…この短剣はそれにおあつらえ向きの性能。)

マチェーテを振り払い、右手でマーダーの首を掴む。

そして、短剣の魔法を発動。流星のエフェクトとともに、星の数程の刺突が一瞬のうちに繰り出される。

アイン・マーダーがマーブル状の体液と共に倒れる。そして流れるように、次は短剣をパルガンの方へ投げた。

「えっ、うわっ!」

思わずしゃがむと、パルガンは頭にマーブル色の体液を浴びる。

背後にアイン・リッパーが迫ってきていたのだ。

「これで信用いただけたかな。」

アイン・リッパーは短剣が刺さった勢いで、後ろに倒れる。地面にリッパーの体液が広がった。

クノップが拍手する。

「すごい!」

サルファと同じ見た目…サルファと同じ見た目…だが、今のところパルガンの味方であるという点は、信用して良いのかもしれない。

クリフォトは、パッション・ワンダラーの協力者になった。

色んなヤツらが出てきましたが、もう強さを明言してしまうと、

クリフォト>>>>>サルファ>>>>>>>センジュ>シアノ>サナート>>メンシュ>>>>>>>>>>>>>>>セフィロト(戦闘能力なし)

って感じの強さです。あ、セフィロトは名前だけ出てきたサルファの上司です。

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