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第6話 シロの入手情報調査

 自らの提案をいかせず、人族へ逆恨みから、怒りのオーラを発し続けるアヤネを尻目に。


 ハダが与太狸を投げ飛ばし、あれを潰した手を洗いに行って、左手が臭く無いか匂いを嗅ぎながら戻りソファーに座ると、代わりに、アオとシロが立ち上がったので。


 シロ、エロ和服に着替えたのを無駄にして上げますよ!


「「「最初はグ!」」」

「「「ジャンケン ポン」」」

「勝った~~~~」


 グウの手をそのままにガッツポーズしているのはシロ。


 チョキの右手を睨み付け、じゃんけんの弱さに自己嫌悪。

 通称名、わたしにも、もう一つあった!

 ジャンケン最弱王!

 今回こそ、返納を誓うも与えられたチャンスは、あと1回!



 シロは下座の1人掛けソファーの後ろへ回り、刺身を全て食べ満足したのか、人化を解いて寛いでいる猫妖怪の猫波さんを、両手で顔の高さまで持ち上げ、正面に向け目線を合わせ満面の笑顔で。


「猫又の珠代を知ってる」


 顔を背けて目線を外した猫波さん。

 その態度で知っていると言っていますよ!


「知らないニャー」


 背けた顔が正面に来るようにして、再度、目線を合わ。


「お肉も好きでしょう、報酬は、焼き肉天狗でどうかしら」


 再び、顔を背けて目線を外した猫波さん。

 そろそろ、正直に言わないと、氷付けにされると思ったら期待に反して。


「今日は、お腹がいっぱいニャー」


 確かに正直な答えだけど・・・

 笑顔が消え、冷たい視線を送りだした。


「あら、今日とも、1回とも言っては無いのだけど残念ね」


 案の定、アヤネの怒りから発した妖気とは違い、冷気を手から。


 横目でシロを見ていた猫波さん、慌てて視線を合わせ。


「ヒェ~~~、すみません!嘘言ったニャー」


 満面の笑顔に戻った。


「案内、お願いね」

「ハダ、アカ、猫又の珠代を拉致しに行くわよ」


 よかった、猫波さん、氷付けにならなくて。


 恐いのはアヤネだけでは無い、シロもと知りましたね、シロもですよ、分かりましたよね!

 アオにハダ、アカも同じですからと声に出しては言えませんけど!


 猫波さんを胸元に押し込んだシロ、ハダとアカを連れて、ベランダに出ると姿を消した。


 シロが猫波さんを胸元へ入れるのを見て、アヤネと違い深い谷間、突出した双丘が無く、前足の付け根を衿に引っ掛けていたので、衿がずり落ちて胸が露わにならない疑問は深まるばかり。


----------


 マンションの一室

 玄関にはシロ、その後ろには跪いているハダ、裏のベランダにアカ。


 シロは跪いているハダへ

「なぜ、そこに?」


「猫又だよね」


 首を傾げ合うシロとハダ。


 シロの胸元で、衿に両前足の付け根を引っ掛け。


「ここは、居心地が悪いなニャー」


 猫波の嘆きを耳にしたハダは頭を抱え、仲間内でも触れるのを躊躇うシロの貧乳話。

 さっき、シロの怖ろしさを身を持って知っただろう、死にたいのかと思っていると、シロに両耳を引っ張られた猫波を見て、瞬殺で無く良かったと心から。


 表情が抜け落ち、冷たいオーラーを発しだし。


「居心地が悪い理由を言ってごらん」


 猫波、本当の事を言うな、お前が死ぬのは構わないが、シロの怒りの妖気で、このマンションだけで無く周囲一帯が凍り付くと、元に戻すのが大変なんだ。


 シロの胸元、背を向け両耳を引っ張られいるので、表情と発しているオーラーに気が付かず、怒りのトーンも無視して。


「アヤネさまと違って、おっきくて柔らかいオッパイが無いから、着物の衿に前足を引っ掛けておかないと、落ちてしまうからだニャー」


 更に強く耳を引っ張られ。


「痛い・イタイ・痛いニャー」


 ハダは、猫波の自殺志願者かと思う発言に頭を抱えるも、最悪の事態には成らず安堵、目的を忘れているシロへ。


「貧乳の需要もあると思うわよ」

「どうしても大きくしたいなら、社長に頼んで揉んでもらえば大きくなるわ、その為にも、猫又の珠代を連れて帰らないとね」


 猫波の耳から手を離して頷き。

 インターホンを鳴らし、のぞき穴から見られている気配に、猫波を見せると。


「こんばんは、猫波だニャン」


 カチャカチャ、ガチャリ、ドアが開き。


 シロと目が合った、小柄で吊り目の可愛らしい少女は突然姿を消し、足下から外へ走り出た尻尾が二股に分かれた猫を、待ち構えていたハダが捕らえ。


「ハイ、確保!」


 ハダが、跪いて後ろで待機していた理由がわかり、親指を立て。


 「流石です」


----------


 事務所の社長室に戻ったハダの右手には一匹の猫。


 アカがソファーに座ると、シロは、胸元から猫波さんを摘まみ出すと投げ捨て、流石が猫、ジャンプもでしたが見事な着地。


 猫波さんへの雑な扱いに、道中で何か有ったと察するも・・・


 代わりに、ハダから、珠代さんだと思われる猫又を受け取り、鬼としての妖気を解放。


「猫又の珠代、住民基本台帳に電話番号と年収情報がセットのファイル、誰に頼まれて盗み出したの」


 部屋の温度は、みるみる下がり。

 猫又の珠代さんは、恐怖と寒さから振るえだし。


「妖狸の与太さんなの~」


 回答を聞いた、社員一同には交互に見合い、ハダは、投げ捨てたのを後悔している模様。


「依頼料は?」


「もらってないの~」

「妖怪のよしみで後払いって言ったきり、姿を見せないの~」


 猫又の珠代さんに、社員一同が呆れていると。


「嘘を言っては無さそうね」

「使い道は聞いた?」


「シロさんは、依頼主から使い道を聞きますか~」

「妖怪仲間として与太さんを信頼したの~」 


「妖怪を見る目が無い、同業者失格」


 皆が頷いて、呆れを倍増していると。


「ピン・ポ~ン」


 インターホンから。


「妖怪基金からのお荷物です」


 アオが玄関へ行き、部屋へ連れて来たのは、ダンボールを2箱抱えた妖怪小荷物運送の烏天狗さん。


「なんでも相談聴きます屋宛てのお荷物なんですけど」


 部屋へ連れて来られて不思議がる烏天狗さん。


「ドタン」


 妖気を発し続けているシロを見て、腰を抜かした。


 アオが、部屋へ持ち込まれたダンボール箱を、皆が座るソファーの前に置かれている机の上に置き、貼られている送り状を見て。


「社長、狢川与太の借入金、2億って書いて有ります」


「流石、妖怪基金」

「電話マニュアル・対応シナリオだけで無く、猫又の珠代さんを騙して手にした、情報ファイルの転売料も含まれていますね」


 烏天狗さんは、アカの介抱を受けて復活、受取のサインをもらっている。


「ご苦労さま、この後は」


 サインをもらった受け取りが、自動転送され手元から消えたのを確認して。


「今日の仕事は、これでお終いなので、お山に帰ります」


「驚かせてしまったお詫びに、よかったら、一緒に焼き肉天狗に行きませんか」

「猫又の珠代さんも一緒に、ご馳走しますよ」


「酒呑さま、わたしも連れてってくれますかニャー」


「お腹はいっぱなのでは?次回にと思ってましたが、食べられるなら連れてってあげますよ」


 シロが珠代、アカが猫波さんを伴って、社員達が、外出用の服装に着替える為、社長室を出て行った。


 最初に戻って来たのが、見知らぬ、吊り目の可愛らしい少女。


「珠代さんですか」


「猫又の珠代です」


 服は何処から?

 中学生としか見えない少女の相手は無理だと思っていると、此方は見覚えのある、同じく、中学生としか見えない猫波さんが戻ってきて一安心。


 猫波さんが珠代さんを部屋の隅へ引っ張って行き。


「ごめん、シロさんに脅されて、マンションへ案内したニャー」


「シロさんから脅されたら、案内しちゃうの怒れないから、せめてもの猫パンチなの~」


 猫又の珠代さんが少女姿で繰り出す猫パンチを、ポコポコと受ける姿を見て、2人とも、当面は居候させようと。



 焼き肉天狗の個室

 焼き肉奉行となったアオ、七輪2台で肉を焼き、アヤネとハダにシロ以外へ提供。


 アヤネとハダは、好みの肉を頼み、自ら焼いて堪能。


 シロは1人、部屋の隅で奇怪な行為中。


「猫波さんに、猫又の珠代さんは当面、なんでも相談聴きます屋の掃除とお茶くみに、アカとシロの手伝いです」

「引っ越して来て下さい」

「これは、強制です」


 焼かれた肉を、フーフー冷ましながら。


「本当ですかニャー」


「猫又の珠代さんは、他にも、良いように使われていそうなので、面倒事を増やされては困りますし、猫波さんの能力は、これからの相談対応で活躍してくれそうですから」


 お皿を持ち、自分用と思われる網に載せられた肉を見て、目を輝かしていた猫又の珠代さん。

 指摘に肩を落として、焼き肉天狗へ移動中にヨタの顛末を猫波さんから聞かされていたので、シロから言われた、見る目が無いを実感した様子。


「ごめんなさいなの~」


 後ろを振り返り、奇怪な行為を継続中のシロへ。


「宜しくお願いしますの~」


 返事をしないシロへ。


「シロ、猫又の珠代さんの面倒をみてあげて下さいね」

「アカは、猫波さんをお願いします」


 奇怪な行為に夢中なシロ。


「はい」


 ロングシャツの下から手を入れ、裾が捲れてへそを晒した状態で、腕をクロスさせて、右手で左胸、左手で右胸を直に揉んでいるのです。


 シロの行為を見かね。


「先程から何を」


 アヤネ、アオ、ハダ、アカが箸を止めたのに気が付き、もしや、触れては駄目だった!


「社長に頼めなかったので、自分で大きくしています」


 触れては駄目だったと後悔。

 誰です、揉んだら大きくなるって嘘を教えたの!

 シロの入手情報はハズレで良かったとの思いと、個室でも、肉を運ぶ店員の目はあるので止めてくれ~。

 これ以上、下手なことを言って、ならば今夜と言い出すのが想像でき、放置が最善と判断。


 耳元でアオから。


「シロが、この場で服を脱いで、社長へ強要しなくてよかったです」


 なんて恐ろしい事を!

 アオの小声が聞こえたようで、頷いたハダが、猫又の珠代さんへ、やはり小声で「貧乳同士、シロと仲良くね」と伝えているのが聞こえた。


 この後、散々寿司を食べたと言っていたにも関わらず、夢破れたアヤネのやけ食いと、上の空だったシロへ、「胸が栄養、脂身を求めているわよ」とハダが言ったら、特上カルビを食べ続け、店主の鞍馬山僧正坊殿が自ら姿を見せ。


「すみません、もうカルビが・・・」


 翌日、焼き肉天狗は一部商品の品切れで臨時休業となった。


 焼き肉中、アオがアヤネに話しているのが聞こえた。

 内容は、「猫波に珠代を住まわす言い訳をしてましたが、やはり、社長はロリなのでしょうか?」違うと叫びたかったのを我慢をした。

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