第2話 特殊詐欺調査(アヤネ編)
昼前に、全員一致で決まったのは、妖狸の特殊詐欺、人族の高齢者から現金を騙し取る行為を辞めさせる。
まずは、全員で人族に紛れている、妖狸の特殊詐欺組織に繋がる情報の入手する。
抜け駆けせず、アカの外出戻りをハダと待ち、副業の伝を駆使して情報を得る為、普段より早めに出勤。
わたし達3人の副業は夜のお仕事、勤める先は、銀座の高級クラブ玉藻で、店のオーナーは、大陸から渡来してきた妖狐で九尾の玉藻前さま。
クラブ玉藻は、従業員の多くが人外で、他店ではキャストに課せられる同伴出勤に、メール・SNSを使った営業活動が一切無しと言うより、必要が無い人気店。
理由は明白、キャストが美人・妖艶・清楚・華麗・可愛い・巨乳・一部に人気の貧乳を、複数兼ね備えた外見のキャストが揃い、話しも巧みと成れば種族に関係無く男が夜な夜な通うから。
早めの出勤理由、3人揃って最有力、店のオーナー玉藻前さまへ尋ねるも、妖狸の特殊詐欺組織に繋がる情報は得られず。
ハダ、アカの2人は、玉藻前さまに続き、妖怪族の同僚に尋ねるも期待外れの結果で、残るは、贔屓にしてくれているお客へ望みを掛けると言っていた。
わたしの発想は、クラブ玉藻のお客さまに同僚、特殊詐欺に関わるような人族に妖怪族は、会員資格を得られない!社員採用されない!
関わっている連中は、会員申請を却下された中にいる。
同僚で気狐のヨウコを伴い、同じ建物内でクラブ玉藻には入店が許されない客用の、下層フロアーへ。
「ヨウコ、さっき聞いた特殊詐欺をしてそうな奴はいる」
ヨウコは、種族に関係無く、悪事を行っている者が匂いで分かる特殊な能力持ち、クラブ玉藻の会員入会審査役も務めている。
容姿は、シャープな輪郭で切れ長のつり目、高くて筋の通った鼻、髪型は軽くウェーブの掛かった黒髪ロングで、すらっとした長身。
「アヤネ、人族だけど、あそこの席でふんぞりかえってる奴、人を騙している匂いがプンプンですわ」
目線を送った先へヨウコが向かうので、後に付いて行くと、上の階から降りてきたので、回りからの注目を集め、ふんぞりかえってる奴、まさか、俺の席にと期待しているのが表情から丸わかり。
「上のフロアー、クラブ玉藻のヨウコですわ」
「同じく、アヤネです」
「お邪魔しても良いですか」
クラブ玉藻のキャスト2人が同席、座るのが隣では無く対面とはいえ、見つめられ、クラブ玉藻の客にでもなったと勘違いをしたのか上機嫌。
此方から話題を振らずにいると、困った時の芸能人に似てる話を始めた。
「ヨウコさんは白木メイサ」
「アヤネさんは石川さとみ」
「似てるって言われるでしょう」
ヨウコから、任せて視線が送られて来たので、頷いて、よろしく合図を返す。
「それって、気が強そうって事ですの」
一瞬、怒った感を出し、相手がえ!って表情になったのを見逃さずに、キツイ系の容貌から繰り出される満面の笑顔。これで大抵は、ヨウコに夢中になる。
「正直、よく言われますけど、お婆ちゃん似なんですって分かんないですわよね」
「そのお婆ちゃんが、危うく特殊詐欺に遭うとこだったんですの」
「最近の特殊詐欺は、電話での話し方から金の受け取りまでを、マニュアル・シナリオ化したのを販売する奴が居て、それが良く出来ているって言うから、騙されなくて良かったね」
ヨウコの魅了と誘導に、喋ってはいけない情報を話し出した。
1人目で、期待の人物を確保!個人情報が欲しいから。
「社長さん、名刺頂けますか」
慌てて名刺を取り出し、要らない自己紹介。
「金井豪翼、IT関連会社の社長をしている」
名刺を受け取り、わたしも満面の微笑みを提供してあげた。
これで目標達成と思っていたら、会話に交えて、ヨウコが、情報の深掘り。
「社長さん、最近、特殊詐欺に注意ってテレビで毎日ですけど、なんで被害が減らないんですの」
「さっきも話した、特殊詐欺のマニュアル・シナリオ、世情に合わせて毎月更新されるから、同じ被害者から何度もって程だよ」
頷きながら、ヨウコのナイスなパスを受け。
「そんなに凄い人なら、ほかの仕事をすれば良いのに」
「小説家らしいけど、騙す話し以外、平凡以下の物しか書け無いらしい」
騙す以外は平凡な小説家って間違い無く妖狸、組織で使っているのを横流しだと確信。
ゴール目がけてシュートを放つ。
「社長さんは、その小説家さんをご存知なんですか」
「アヤネさんは、特殊詐欺に興味があるの」
ちきしょう、躱された!知ってるか答えろ!
「特殊詐欺には興味が無いですけど、その小説家さんは、どんな人なのかなと思っただけですよ」
リバンドを再度、シューーーート!
「連絡は出来るかな?」
よし!決まった、ゴーーーーーール!
特殊詐欺のマニュアル・シナリオを提供する者に、連絡が出来ると言った時点で、関わっている事を公言。
「流石ですね、社長さん」
アフターに誘われるも。
ヨウコへ引き上げ合図を送ったら、席を立ち上がって。
「私達をアフターに誘うには条件をクリアーして、上のフロアーに上がれてからにして下さい、ご期待していますわ」
名刺を渡し名乗ったにも関わらず、最後まで社長としか呼ばなかった事にも気付かない上に、階段へ向かう正面のガラスに映る、わたしとヨウコの後ろ姿を見ている表情から、淡い期待が透けて見える。
名刺を手に、090で始まる携帯番号を見て、わたしから後日連絡して誘い出せば、欲しい情報を提供してくれるはず。
クラブ玉藻のフロアーに戻り。
「ヨウコ、ありがとう」
「凄く助かった」
「悪い奴を懲らしめる手伝いなら何時でも」
「実際に、懲らしめに行く時、同行させてもらえると嬉しいわ」
「了解、呼んであげる」
ヨウコが自分目当てで来店した客の席へ向かって行くのを見送り。
代わってハダとアカが近づいてきたので、特殊詐欺の、かけ子・受け子が使うマニュアル・シナリオを書いている、妖狸の情報を持った人族を見つけたと話し、もの凄く悔しがられ。
良しと小さく右手ガッツポーズ。
これで、皆へお願いが出来る、実際には、社長へのお強請りの権利、頂きだわ!