優しい嘘
※サラッとお読みください
わたしの名前はフィ。孤児院で開かれる文字の勉強で私はお父さんに拙い文字で手紙を書いた。
ほくほくと大事に手紙を抱えて帰ろうとすると、三歳年上のアレンが話しかけてきた。アレンは綺麗な黒髪に赤色の目をした綺麗な少年だ。裕福な家庭なのに態々孤児院で開かれる勉強会に来る変わり者だ。
「フィ、その……誰に手紙を書いたんだ?」
「アレン、どうしてそんなこと聞くの?」
「べ、べつに良いだろ。それで誰に書いたんだ?」
「お父さんに書いたの。言葉じゃ上手く喋れないから手紙にしたの」
「そかっ。おじさんか、良かった……」
「アレンは誰に手紙を書いたの?」
「俺は、その……誰にも書いてない……」
「うそつき、目が泳いでるもん。手紙、渡せると良いね」
「お、おう……その手紙を書いたのはお前宛なんだ」
「そうなの?嬉しい!!アレン、ありがとう!!」
アレンからの手紙を大事に受け取り家と帰る。
わたしは家に帰って来たお父さんにドキドキしながら手紙を渡す。
「お父さん、今日はねお父さんに手紙があるの」
「凄いじゃないか、フィ!!もう、文字が書けるなんて俺の娘は天才だな!!」
お父さんは凄く喜んで私を抱き上げくるくる周りゆっくりと下ろしてくれる。お父さんは嬉しそうに私の手紙を読み始めた。
『わたしのお父さんはとても優しくてカッコいいです。
いつも優しいし、頭も良いです。
お父さんはわたしの自慢です。
わたしが良い事をすると自慢の娘だとほめてくれます。
わたしのお父さんは本当に自慢のお父さんです。
でも……お父さんはうそつき。
お父さんはうそつきです。
お金があるってうそをつく。
疲れてないよってうそをつく。
仕事があるってうそをつく。
お店にいってもお腹がすいてないってうそをつく。
幸せだってうそをつく。
何も心配はいらないよってうそをつく。
お父さんはわたしのせいでうそをつく。
わたしはお父さんに必要ですか?』
手紙を読み終わったお父さんは泣きながら痛いくらい私を抱きしめる。わたしも泣きながらお父さんにしがみつく。
「フィ、フィ、お前は俺の一番大事な宝物だ。フィがいればなんだって頑張れる。フィの笑顔を守るために嘘をついてごめんな。フィは俺にとって一番必要な存在なんだ」
「お父さん、ありがとう、ごめんなさい」
オデコを合わせ二人で泣きながら笑う。
そういえばアレンから手紙をもらってまだ見ていないことに気づいた。
「その手紙はどうしたフィ?」
「アレンからもらったの。今から読もうと思って」
「その手紙、お父さんが先に読んでも良いか?」
「?いいよ」
お父さんはアレンの手紙をみてフルフルと震えている。どうしたのだろうか。
「お父さん、どうしたの?」
「フィ、この手紙を読むのはまだ早い。もっと大きくなったら読まないで欲しいが、読みなさい」
「?わかった、アレンにはそう伝えておくね」
明日になったらアレンに謝ろう。
これは貧しくても優しい物語り。
読んでいたき有難うございます!