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発見

微かに漂う魔力の気配。


その源がどこにあるのか、と、アユールは全神経を集中させる。


慎重に、一歩一歩、確認しながら進んでいく。


見落とさないように。

重大な手掛かりとなるものは塵一つ、見逃さないように。


これ以上、待ちたくない。

待たせたくない。


早く、早く、あの子の声をこの世界で聞きたい。

あの愛らしい声を、皆に聞かせてやりたい。


『アユールさん』

『アユールさん、大好き』


その声を聞きながら、この腕で抱きしめたい。


焦燥に駆られながら、森の中をゆっくりと進んでいく。

もうかなり日は落ちて、辺りは薄暗くなっている。


掌から光玉を発動させ、松明の代わりにする。


その時、カーマインから通心(つうしん)が入った。


『屋敷内はくまなく探したが、何も見つからなかった。・・・そちらはどうだ?』

『まだ森の中央にも行けていないが、今のところは何も。叔父貴たちもこっちに来て、捜索を・・・』


とら返そうとしたところで、アユールの言葉が途切れる。


『・・・アユール? どうした?』


カーマインの声が頭の中に響くけれども、今のアユールにはそれに対応する余裕がない。


「見つけた・・・」


ぼそりと呟く。


「ここだ。この奥から魔力を感じる」


アユールは瞬きも忘れ、目の前に現れた洞窟を見つめた。


『おい、アユール。どうした?』


焦ったようなカーマインの声が再び頭の中で響き、アユールは、はっと我に返る。

慌てて、すまない、と声を送り返して。


『叔父貴、見つけたよ。亡失魔法で失ったものを封じてある場所を。・・・今すぐ、ここに来てくれ』


その言葉を聞き終える前にカーマインは皆を連れて『飛んだ』らしく、言い終えると同時に全員が現れた。



「ここが・・・」


ランドルフが小さな洞窟をそっと覗きこむ。


「確かに、僅かだが中から魔力が漂い出ている・・・。アユール、お前、よくこんな微量の魔力を探知出来たな」


シェマンの声には感嘆が込もっていた。


小さく、狭い洞窟。

一見したら、只の洞穴のような。


だが、よくよく見れば、奥へと長く続いているのが分かる。


もう既に夜のとばりは降りていて、辺りは暗闇に覆われている。

ただ、アユールの掌の上にある光玉だけが周辺を照らしていて。


「よし、行くか」


アユールのその言葉を合図に、各自が光玉を浮かび上がらせた。


「オレが先頭に立つ。何か危険があるとは思わないが、念のためだ」


そう申し出たシェマンは、すっと一歩、先に進み出る。


入り口は非常に狭く、屈んでようやく進む事ができるほどだった。


「では、次は私が。カーマインさま、映像を送りますので、お先に失礼いたします」

「すまんな、ランドルフ。頼むぞ」


そうして、シェマンの後ろをランドルフが、そしてカーマインが続いて行く。

最後にアユールが、洞窟の中へと足を踏み入れた。


入り口を通過すると、中は少しばかり空間に余裕が出来、真っ直ぐに立つと頭がぶつかるものの、なんとか立って進む事が出来た。


「這わなくて済むのは助かるな」


苦笑と共に、本音が漏れる。


進めども進めども、一向に終わりが見えない。

これを這って進んでいたら、早々に疲れ果てていた事だろう。


地図上では小さな森の筈だったが、地理的にはあり得ない長さだった。


「空間魔法、か」


ぼそり、とカーマインが呟く。

それに頷いたアユールが、ああ、と言葉を返す。


「それもサルマンの魔力によるものではないな。魔法石か何か、別の媒介を使用したのかもな。そうでなけりゃ、まだここに空間が維持出来ている筈がない」


王城の牢屋に繋がれているサルマンは、既に魔力封じの腕輪を両腕に嵌められている。

彼の魔力によるものであれば、とっくに消えている筈なのだ。


「しかし、長いな・・・」


先頭のシェマンの声には、不安と焦りが混じっている。


「シェマン、まだ何も見えてこないか? だいぶ進んだ筈だが」

「いや、まだ何も・・・うん?」


そう答えながら前方に光玉を掲げたシェマンは、何かに気づいたような声を上げた。


「どうした?」

「・・・見えてきたぞ。多分、あそこでこの穴も行き止まりだ。・・・一瞬だが、この光玉の放つ光に反射して、何かがきらりと光るのが見えた。あそこに何かがある筈だ」



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