表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

馬鹿

作者: 小沢琉祢

「これ、作ったの!食べて食べて」

そう言って置かれたのはブロッコリーが入ったシチュー。

馬鹿。

俺はブロッコリーなんて嫌いだよ。

でもそんなこと知らないだろうから黙って食べた。

「この漫画ちょー面白い!明人も読もうよー」

そう言って渡されたのは超有名な嫌いな人なんていないんじゃないかと思われる漫画。

馬鹿。

俺はこれ嫌いなんだよ。

何回読んでもストーリーがつまらない。

でもこの漫画を嫌いなのは多分俺だけだろうからありがとうと言って借りた。

「最近さ、元気ないね」

馬鹿。

気のせいだよ。

全然元気だよ。

何も心配しなくていい。

俺はずっとお前と一緒にいるから。





馬鹿。

なんで黙ってたの?

本当は知ってた。

ブロッコリー嫌いだってこと。

嫌な顔しないで黙って食べてくれたよね。

漫画も、私と好み合わなかったのにいつも面白かったよって言ってくれた。

なのに、病気だってことは知らなかったよ。

死ぬときになって知るなんて私も馬鹿だなあ。

なんでこんなことになったんだろう。

病院で彼が言った最後の言葉。

『ごめんな、ずっと一緒にいられなくて』

ごめんって言いたいのはこっちだよ。

ごめんね、気づいてあげられなくて。

ごめんね、なにもできなくて。

今更遅いよね。

この言葉はもう、あなたには届かない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ