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転職します

「それでは早速転職しましょう!」


シュルカは先ほどまでと打って変わり元気よく声を上げた。

いつもの活発なシュルカに戻って一安心である。


「そうだな。それで、俺に与えられた転職候補は何があるんだ?さっき他は有望と言っていたからにはそれなりのものがあるんだろう?」


「ええ、もちろん!ありますとも!」


シュルカは元気にサムズアップして答えた。


「とりあえずありすぎて困っちゃうので戦闘系か非戦闘系でそれだけでも決めていただいていいですか?」


む。そんなに多いのか。しかしこれは大事な決断になるな。

バトルジャンキーと言うわけではないが、戦いは嫌いでないし、何より俺が商売や生産業をやってる姿が想像つかんな。

ここは戦闘系だろう。


「戦闘系で頼む。」


シュルカは頷き「わかりました。」というと紙に何かを書き始めた。どうやら俺の適正職業のようだ。


書き始めてしばらくすると、ふぅ。とシュルカが一息つき紙を手渡してきた。


「どうですかコウエンさん。あなたにはこれだけの職業適性があるんですよ。」


そう言われて渡された紙を見ると確かにたくさんの職業が書かれている。しかもそのどれもが初級職ではなく、中級、上級果てには超級まで出ている。


今まで神殿に来ても剣士系の職業が新たに出ているかしか聞かなかったのでここまで多いとは思っていなかった。


「こんなに俺には適性があったんだな。」


俺は呆れからか思わず自嘲してしまう。


「そうです。でも、だからといって今までの人生を否定しようとしないでくださいね。今までの経験があったからこそここまで沢山の職業が現れたんですよ。」


俺の考えを読んだのか、先にフォローしてくれる。本当に良い子だ。


「そうだな。何から何までありがとう。シュルカは気がきくから良いお嫁さんになれるよ。」


シュルカは顔を真っ赤にして俯いてしまう。照れているのだろう。シュルカは昔から褒められると顔を真っ赤にするのだ。早く良い相手が見つかると良いなと心から願う。


「全く。今信じられないぐらい失礼なこと考えたでしょ。」


失礼な事だったのだろうか?ただただ、心からシュルカの幸せを願っているだけなのだが。

俺が首を傾げているとシュルカは呆れた顔をした。


「もういいです。本当にわからない人ですね!」


シュルカは少し怒ったような口調になり俺から紙を取り上げた。


「それでですね、コウエンさんに渡しからオススメするのはこの、魔導王ですね。ほかの職業も悪くないですがこれだけは他と比べ物にならないくらいレアな職業です。普通なら超級魔導師のマスターを獲得し、さらに才能があれば就けると言われる職業なんです。それが最初から出てるなんてありえないんです。今までありえないことばかりしてるコウエンさんだからこそもっとありえなくなりましょう!」


シュルカは話してるうちにだんだんと熱が入って来たのか、前のめりになり不思議な言葉遣いになっていた。


「シュルカ、わかったから少し離れてくれないか。近すぎるぞ。」


「し、失礼しました。ごめんなさい。」


シュルカは慌てて跳びのき反省しているようである。


「その魔導王ってのが凄いのはわかったんだが、魔法のまの字も知らない俺が突然そんな職業について使えるものなのか?」


俺は素朴な疑問を投げかける。初級剣士ではスキルや武技を熟練度を上げ全てを徐々に獲得していった。最初はそれこそ剣の振り方すら知らなかった。幸い俺には剣を覚えるのに不自由な環境ではなかったから良かったが、ほかの冒険者を見ると基礎ができていないものが多いのだ。


「コウエンさん。大変言いづらいのですが、上位の職業に就くとその系統の下位の職業のスキルを習得した状態で就けるんです。」


これは衝撃だった。これは、俺が知らないだけで世界では常識だったのだろう。

たしかに上級職にランクアップした途端剣の腕が上がるものがいたのはそのためだったのか。


「でもですね。基礎がしっかりしないというのは確かにあります。あくまでスキル頼りの戦い方になってしまいます。剣士や、斧使い、戦闘系の中でも格闘系では、起こりやすい問題ですね。ですが、魔法使い、神術使い系はスキルに依存する部分が多くあるのであまり問題にはならないと思います。」


シュルカは「だからこそ格闘系以外の職業では最初から上級職についていると疎まれがちなんですよ。」と付け加えた。これはシュルカ自身の身の上の話も含んでいるのだろう。


シュルカはこの村出身で小さい頃から俺に懐いていた。10歳になり神術の才能があるとわかり王都の神官育成所に行ったのだが15歳で突然帰って来たのだ。


12歳でランクアップした際、中級を飛ばし上級神術士になったことが周りに疎まれたのだという。ここに帰って来たのも一種の左遷だったらしい。


シュルカが少し悲しい顔をしていたのでこの話を早く進めてあげよう。


「よし、ここまでシュルカに頼りっぱなしなんだし最後まで頼らせてもらうよ。」


「じゃあ、」


「ああ。魔導王に転職させてくれ。」


「わかりましたやっちゃいますよ。」


俺は魔導王になった。


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