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リア王は嘘つき

作者: keisei1
掲載日:2018/02/15

食べることもない 飲むこともない

天国か地獄があるのなら


僕は神さまに訊きたい

その道筋はどこで 何か意味があるのかと


17年前から止まって動かない時計が

僕を見つめては 道化になれなかった僕を憐れんでいる


業火に焼かれるのなら 好きな人の傍にいたいよ

抱きしめあったままで 悪魔に罵られるのならそれでいい


母の葬儀で流した涙は マグマに飲み込まれて

それでも愛の種子を芽吹かせる


いつの世相にも取り残された赤子はいて

愛に飢えたままで 舌を出したり 怒ったりもしている


僕は一人の傍観者で 聖者にもなれなかった男だ

ただ一つ言えるのは だからそれが何? ということ


処女懐胎の物語 「多く」を語っては

「多く」を知りえない闇の中へ葬って


裏切り者のユダ そいつは人間じみていて

食べることも 飲むことも 普通に出来ていた男さ



どこかでね 見つけた船は 誰の声も聞こえない場所へ 僕らを連れていって

どこでもない 誰にも知られない 夢の世界へ二人を誘っていく


光の灯る未来 未来はきっと美しい 誰かがそう言った

だけど悔やみきれない過去も多く 昨日から明日へつながる道も 閉ざされた気分だ



義眼で見た隣の部屋は やけに眩しくて 輝いたままで

名もなき猫の 閉じた瞳は 僕らが分かちあえるまで開かないかもしれない


出来るならば時間を戻したい 5才の頃の母親と駆けっこした時間へ

酒にひたる気も 時間もないが 今飲み干した水だけは せめて味わいたい


リア王は嘘つき 僕らに偽の悲劇をすり込んで

快楽も歓びもある 痛みなど何もない 地球という星をあざむいて


ところどころ切れ切れの記憶 断片だけつなげても意味がないのなら

パズルのピースなんて 初めからない方がいい すべて投げ捨ててしまえ


うなだれるだけ 僕らは打ちひしがれて

うなだれるだけ 僕らは叩かれては叩き返して



君はどこから迷い込んだの 宇宙の端のこんな惑星に

僕はどこから歩いてきたの 後ろを振り返れば キレイな花が咲いていて


明かりの灯るその未来へ 手を伸ばしては 届かぬことを知る君と僕

顔を伏せることも 打ち沈むこともない その場所で 僕らはただ


生きている 呼吸をして 生きている 

息を吐き 息を吸い ただ美しいこの場所で


生きている


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