例外はダンジョンマスター
「ううん、ん?」
意識が覚醒し、まず目に入ったのは真っ白の見たことのある天井だった……あれ?
「俺は転生したはず……?」
赤ちゃんになったわけでもなく、普通に声が出せるし、手と足も転生前、死ぬ直前まであった俺のものと同じだ、エヴィリアさんは……いない、椅子も机も無い。
とりあえず、現在の状況をまとめるとだな……。
あ…ありのまま今起こっている状況について話すぜ!エヴィリアさんに転生させてもらったと思ったらまた真っ白の謎空間にいた、エヴィリアさんもいないし、体も俺の生前のものだ……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起こっているのかわからなかった……夢オチだとか幻覚だとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねぇ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
と、こんな感じだ、あれ?これって詰んでる?
いや、確かエヴィリアさんがついでに説明してくれたやつに、『ステータス』があるって言ってたよな?
……響子のライトノベルにもステータスとかがあったよな、えっと、ステータスの確認方法は―――
「ステータスオープン!」
だ!!……何もおこらねぇ!詰んだ!詰んだよ!転生した直後に人生詰むってどう言うこ……ん?んん!?何か頭の中に浮かんでくるぞ……?
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名前:桐嶋悟 種族:迷宮主
年齢:0
HP3000/3000 MP171000/171000
体力:1500
筋力:1350
耐久:900
敏捷:1050
魔力:57000
耐魔力:42000
運:150
能力:[錬金術LV1][魔力開放LV1][模倣L1]
[気配隠蔽LV1][魔力隠蔽LV1][能力改造残:13][異世界言語翻訳]
固有能力:[振るわれたハリボテの十一の刃]
[握り潰したハリボテの十一の心臓]
[最期に触れたハリボテの十一の処刑]
[最期に突き刺されたハリボテの十一の槍]
[最期に喰い千切られたハリボテの大顎]
[最期に投げつけられた最強無敵の石ころ]
[感情の欠陥したハリボテの人形ども]
[無限を内包したハリボテの小さな木箱]
[全てを拒絶する不可視の障壁]
[改竄されたのは本物の記憶]
[歩み続けたのはハリボテでできた五十の箱庭]
[迷宮創造]
加護:原初の創造神の加護
称号:[転生者]
DP:1000
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おお!ステータスあった!って、何この固有能力!?名前が暗すぎるぞ!?見てるだけで頭がおかしくなりそうだ!多分と言うか絶対に俺の前世が反映されてるよね!?そうとう酷い目に遭ってるだろ!ろそりゃあエヴィリアさんも怒るよ!
うん、こうなったらもう、幸せにならないとな、よし、俺の前世能力のせいですっごい地味になっちゃってる[迷宮創造]が俺はすっごい気になるんだ、俺の種族も迷宮主だし……詳細とか確認できませんかね……?お、お?また何か浮かんできたぞ……。
[迷宮創造]……ダンジョンを生成し、生成したダンジョンを強化したり、
迷宮魔物を生成することが可能。
ふむ、そのまんまダンジョンを造る能力ね……で、どうやってこの能力を使うんだ?そのまま、
「ダンジョンクリエイト」
とか言えばいいの?
『[迷宮創造]の発動が確認されました』
「うおっ!?」
な、何だ!?頭の中から声が聞こえたぞ!?何か気持ち悪い!
『ダンジョン生成する場所が指定されていません、迷宮主の現在地にダンジョンを生成します……現在地を特定することができませんでした、よって、ランダムでダンジョンを生成します』
頭の中から聞こえてくる謎の声がそこまで言うと同時に俺の立っている真っ白の空間が揺れ始め、光りだし、俺の視界はまた真っ白に染まった。
それからしばらくして、揺れと光が収まり、俺の視界も回復したと思ったら、今度は、真っ白な空間ではなく、洞窟の様な、所々でこぼこしている天井、土でできた真っ白じゃない地面、そして微妙に広かった、微妙に。
ぽつん、と、微妙に広い洞窟のような場所に立っている俺、しかし、このままなのもあれなので、周りを見渡すも、出口が無い。
「……やっぱり、詰んだ?」
ぽつりと、諦めの言葉を呟いてしまう、微妙に広い空間なだけあって実に虚しい、そのまま呆然と立ち尽くす、どうしよう。
『ダンジョンの最終階層が完成しました、ダンジョンコアを生成……ダンジョンコアは既に存在していました、このダンジョンは三年後に強制開放されます』
立ち尽くしてたら、再び頭の中からナレーションが聞こえてきた、どうやら三年後に強制開放されるらしい、ってことは三年待てばいいのか?
『あ、メニュー表渡すの忘れてた、はい、これ使って適当にダンジョン造っちゃってください、あと、エヴィリア様からのプレゼントもどうぞ……あっ、口調が……』
「へ?」
つい出てしまった俺の間抜けな声と一緒に、目の前にファミレスにあるようなメニュー表の様なものと、分厚くも薄くも無い普通の本が出てきた。
いや、その前にだな、さっきまでの口調はどうしたんだ!?急に素に戻っちゃったって感じになっちゃ駄目だろ!何でこの謎の声まで人間臭いの!?
『あー、もういいや、えーっと、今貴方の目の前に出てきたメニュー表は、[迷宮創造]で、できることが書かれてます、で、エヴィリア様からのプレゼントには、この世界について色々と書かれてます、それじゃ』
謎の声は、口調を気にせずにそこまで言うと、プツン、と電話を切ったときの様な音が聞こえ、それから謎の声は沈黙してしまった。
いや、もう突っ込まない、うん、それよりも、メニューヒョウトカノホウガキニナルナーチョウキニナルー。
と、言う訳で、「ダンジョンメニュー」と表紙に書かれたメニュー表を読んでみる。
因みに、ページ数は表紙を除いて二ページ。
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[迷宮創造]にできること
基本
出入り口生成……生成したダンジョンの最上層への出入り口を生成する。
ダンジョンコアが生成されてから一年以上経たないと出入り
口は生成することができない。
階層生成……DPを消費し、階層を生成する。
生成する階層の広さに比例して、DPの消費量が変わる。
迷宮魔物生成……DPを消費し、迷宮魔物を生成する。
生成する魔物によって、DPの消費量が変わる。
罠設置……DPを消費し、作成した階層に罠を設置する。
設置する罠によって、DPの消費量が変わる。
環境設定……DPを消費し、生成した階層の環境を設定する。
設定する環境によって、DPの消費量が変わる。
地形設定……生成した階層の地形を設定する。
DPは消費されない。
宝箱設置……DPを消費し、生成した階層に宝箱を設置する。
宝箱だけを設置するため、DP消費は変わらない。
その他
物生成……DPを消費し、物を生成する。
生成する物によって、DPの消費量が変わる。
施設生成……DPを消費し、施設を生成する。
生成する施設によって、DPの消費量が変わる。
迷宮魔物創造……DPを消費し、オリジナルの迷宮魔物を創造する。
創造した魔物によって、DPの消費量が変わる。
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……あれ?これって……最低でもあと一年待たないと出られないの?
いや、まだ、出る為の手段があるかもしれない、エヴィリアさんからのプレゼントに何か、何かここから脱出する方法が……!
俺は藁にも縋る思いで、エヴィリアさんからのプレゼントされた本を手に取り、ページをめくる、と、一枚の紙が挟まっていた、俺は挟まっていた紙を取って先に読む。
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この本を読む前に、
私の予想を超えて、迷宮主になってしまった悟君へ。
君が転生した後君の様子を見たら、迷宮主になっていて不覚にも笑ってしまったよ。
まあ、それは置いといて、このままでは君が混乱して立ち尽くすだけの人生になってしまうだろうと思ってこの本をプレゼントさせてもらった。
この本には君が転生した世界について、大まかにだが書いてある、これから生きていくとして、この本に書かれていることが役に立つといいな。
あぁ、それと、君は迷宮主と種族にあるが、実際には迷宮核と完全に同じものになっている、だから、最低でも一年、ダンジョンの出入り口を生成することができるようになるまでは、どんなことをしようが、君のダンジョンからは出られないよ、まあ、何も知らないまま飛び出して私との約束を終了させてしまうよりかはいいだろう、この世界は、前に君のいた世界よりも圧倒的に危険だ、ダンジョンから出られるようになるまで、君の魔物を生み出す能力で戦いの修行でもしたらどうかな?
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「……修行しよ」
本文が酷いことになっていたため、改稿いたしました。