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特典選びと転生

どうも、狸親父です、別の作品を投稿するという奇行をしたうえに、一ヶ月ぶりの更新になります、もしも、更新を待っていたという方がいるなら、本当に申し訳ありませんでした。

「では、サイコロを振ろうか」

エヴィリアさん微笑みながら言った。

「はい」

俺は短く返事を返し、サイコロを持っている手から目の前にある机に軽く…つい緊張して少し力みながら投げる、俺の手から投げられたサイコロは無事、机に着地をしコンと妙に小気味の良い音をたて、文字通りにコロコロと転がるとエヴェリアさんの直ぐ目の前で止まった、エヴィリアさんは転がり終わったサイコロを見て少し驚いた様な顔をし、直ぐに苦笑いをするとサイコロを手に取り、

「何と言うか、君は凄いな」

俺に見える様に差し出した、俺はサイコロを見て、

「おぉ!」

つい、声を上げてしまった。

いや、こういうのってさ、大きい目が出ればいいなと期待してしまうんですよ。

閑話休題それはさておき

要するに出た目は一番大きい目だった、というわけで、俺は十八の特典を取得可能になった。

俺がサイコロの結果を見てニヤニヤしているとエヴィリアさんが、パン、と手を叩き、

「じゃあ特典を選ぼうか、これまた特殊なんだけど」

半透明の板の様なものを俺に手渡してきた、と、半透明の板が渡された瞬間にサイコロが光の粒子になって俺の体に吸い込まれた、

「うおっ!」

突然の謎現象に驚いてしまい、座っている椅子から転がり落ちてしまいそうになりかけるが何とか立て直して、ほっ、安心の一息をついて、俺にサイコロが吸い込まれたことについて聞こうと、エヴィリアさんの方に顔を向けると、口元を押さえてプルプルと震えていた、恐らく笑ってしまいそうになったのを堪えているのだろう、確かに、驚いて椅子から落ちそうになっていた俺は随分と滑稽だっただろうが、つい少し、ムッと顔を顰めてしまう。

「くっ…ぷふ…すまない、い、いや、予想以上に驚いた君が面白くってね……ぷふっ」

俺が顔を顰めていたのに気付いたのか、エヴィリアさんが素直に謝ってくる…笑いを堪えながらだが……いや、もう謝られたし、気にしないさ、うん。

で、それよりもだ、

「何でサイコロが君に吸い込まれたのか、かい?」

「え、あ、はい」

聞きたいことを、エヴィリアさんに先に言われて、反射的に返事をしてしまう。

俺の返事を聞いたエヴィリアさんは、コホンと咳払いをして、口を開いた。

「まずは、先程も説明したけど君は転生をするにあたって自らの『魂』が昇華されている、昇華された『魂』は、特殊な能力、要するに特典を得ることのできるスペースが空けられるようになる、で、そのスペースを空けるのが君が振ったサイコロで、そのサイコロを君の『魂』に入れて、出た目の数だけ特典を得られるスペースを空ける、因みにだけど、普通なら空けられるスペースは六個分が限界なんだよ?」

「ふむふむ、確か俺のサイコロの目の数が多かったのは俺の『魂』が関係しているっていってたけど?」

「うん、しかも、君の『魂』の原型には君の前世が殺した創造神の力が取り込まれてたからね、その分も含まれて、サイコロの目の数が増えたんだろうね……」

俺の質問に答えたエヴィリアさんは、俺の前世にされたことを思い出したのか、少し顔を歪めた、俺がサイコロを振る前とは違う、少し、悲しそうな表情で。

「あ……すまない、ついさっきに約束してくれたのにな」

エヴィリアさんは、自分の顔が歪んでいるのに気づいたのか、俯いて、申し訳なさそうに謝ってくる、

「いえ、家族が酷いことをされたら誰だっていい気はしませんし、ましてや俺達の親なんでしょう?怒るのも悲しむのも当たり前です、約束はしましたけど、エヴィリアさんが悲しんだりしてはいけないなんてことにはなりませんよ、むしろ神様なのに人と同じ感情を持ってて安心しました」

俺は、エヴィリアさんの悲しそうに歪められた顔を見て、自分の思っていることを言う。

俺の言葉を聞いたエヴィリアさんは、俯いたまま、おもむろに両手を広げると自らの顔目掛けて振り下ろ―――


パァ――――ン!!


―――され、エヴィリアさんの頬に当たった瞬間、あたかも爆弾が爆発したかと思うような轟音とともに、衝撃がこの白い空間中に走り、俺の全身にも直撃した、辛うじて椅子からは落ちなかったが、びりびりと体が痺れた様な状態で指先一つとして動かせない。

エヴィリアさんは、少し腫れて真っ赤になった顔を上げ、

「すまなかっ――いや、ありがとう、私としたことが申し訳ない、親が子に諭されるなんてね――って、あれ?悟君?」

俺の様子を見て、首を傾げたが、すぐに、俺に何があったのかを理解したのか、慌てて俺の額に手を当てる、と、同時にピクリとも動かせなかった体が動かせるようになった、俺の体を動かせなくしたのも含めて、さすがは神様である。

「いや、ごめんね、自分を奮い立たせようとしてまさかこうなるとは思わなくってね」

俺がエヴィリアさんの凄さを改めて認識していると、申し訳なさそうな声色だが、笑顔でエヴィリアさんが謝ってきた、俺は、もう悲しそうな顔をしていないエヴィリアさんの笑顔を見て、安心する、俺の父さん曰く、

『目の前で女の人が泣いていたり、悲しそうな顔をしているなら、最後は必ず笑顔にしないといけない』

とのこと、まだ幼い頃に、響子が俺の家で遊んでいるとき、躓いて、そのまま前のめりに倒れ額を強打し大泣きしたのだが、俺が、わんわんと大音量で泣く響子に困惑し、最終的にではあるが、必死に痛いの痛いの飛んでいけをして泣き止ませ、もしものときを考え、涙目の響子を俺の父さんが俺を置いて病院へ連れて行き、帰ってたと思ったら、俺の頭に拳骨を叩き込んでから説教をされたのは、今では良い思い出だ。

要するに、目の前で悲しそうな顔をされるのは、俺の場合、常人の二倍は、精神衛生上きつい、良い思い出っていったけど、ぶっちゃけトラウマだよ、父さん怖い、超怖い。

「よし、じゃあ特典選んじゃってね」

俺が良い思い出をおもいだして、内心ガクガクと震えていると、エヴィリアさんが、本題を思い出させてくれた、完全に特典のこと忘れてたよ。

「はい、えっと……?」

よく考えたら特典ってどう選ぶの?あの半透明の板を使うのかな?でも何かが書かれている訳でもないし、ん?

俺が、エヴィリアさんに渡されてからずっと手に持っていた、半透明の板を見つめていると、ゆっくりとだが、半透明の板に文字が浮かんできた。

「ん~?どれどれ?」

しばらく、文字が浮かんでくるのを待って、ようやくはっきりと見えるようになった文字を確かめる。

____________________________________

残り取得可能特典数:十八

取得可能特典:[錬金術][魔力開放][模倣][気配隠蔽][魔力隠蔽]

          [能力改造スキルカスタマイズ]

____________________________________

「……何これ?」

あっれぇー?おかしいな、何で選べる特典が六個しかないの?残りの十二個はどうするん?

「どうしたんだ?」

ようやく文字の浮かんできた半透明の板を見た途端に、何これと言ってフリーズした俺に、エヴィリアさんが首を傾げながら半透明の板を覗き込んで、苦笑いをする。

「これ、どうなってるんですか?」

俺は、苦笑したエヴィリアさんに、ちょっと涙目になりそうなのを堪えながら質問をする。

「これまた君の『魂』がね、また憶測になっちゃうけど、君の『魂』には君の前世の『魂』が統合されて、君の前世の能力を全て、ではないけど潜在的に受け継いでいる、で、特典を取る必要のあるものが無くなっちゃったんだよ、今君の選べる特典はどれもマイナーなやつだし、あ、ついでに説明するけど、君の行く世界だけど、ステータスとか、レベルとかがあるからね」

俺は、エヴィリアさんの答えを聴いて、少し安心する、しかし、

「余ってしまった取得可能数はどうすれば……」

「ん?それなら、[能力改造スキルカスタマイズ]があるから大丈夫だよ」

「と言うことは?」

[能力改造スキルカスタマイズ]は特典取得可能数を消費して使うみたいだよ」

「よかったぁ~」

エヴィリアさんの説明を聞いて今度こそ安心する、じゃあ全部取ってしまおうかって取り方知らねえ、っと文字が消えた……これって特典を取得したってことだよな?

「よし、特典を取ったね、じゃあ転生しようか」

「ちゃんと取れてたんだ」

エヴィリアさんの言葉を聞いて、ふっと、安堵の声を出す、エヴィリアさんは、俺の言ったことに首を傾げていたが、「あっ」と、何かを思い出したかのように声を上げると、

「転生すると赤ちゃんになっちゃうからね、産まれてからすぐには無茶して能力を使わないようにね」

俺に忠告をした。

「はい、わかりました」

俺はすぐに返事を返す、と、エヴィリアさんが微笑んで、

「よろしい、では、幸せな生を」

と、言うと、俺の視界は白に染まった。




「ふぅ……」

真っ白な空間で一人、いや、一柱の創造神が一つ安堵の溜め息を吐く、と、同時に目を瞑ると、

「さて、と、悟君はどうなったかな」

先程転生した例外イレギュラーの様子を確認するし、

「ぷっ……あはっはははは!」

急に笑い声を上げ始めた、もし、この一柱の神の様子を見ているとすれば、とても不気味だろう、真っ白な空間で椅子に座って一人、一柱だけ?で大笑いをしている、美人なだけあって実に不気味である。

「はは…はぁ、はぁ、あぁ、例外イレギュラーとはよく言ったものだ、ふふっ、やはり、人間は面白い!そしてとても愛しいなぁ!さぁ、幸せになれよ!」

笑い終えた一柱の神は、例外イレギュラーに届かない激励の言葉を贈ると、真っ白な空間ごと消えてしまった。

はい、前書きの情けない謝罪をこえて、最後までお読みくださり、誠にありがとうございます、次回からやっと異世界です。

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