2.運命の輪
ガルロイが率いる旅の一団から離れ、毒に倒れたクロウとオアシスに残ったリリアは、早速クロウに女だとばれてしまった。前途多難な第二章です。
西の空では、赤く輝く太陽が全てのものを黄金色に染め始めていた。
王都から荒野へ続くひとけのない道を、騎馬が二騎、駆け抜けて行く。
「くそっ! こんなに遅くなるとはな!」
「団長! 危ないって! 飛ばしすぎだよ!」
騎乗してるのは、ガルロイとルイだった。
ガルロイが率いる旅の一団は、クロウ達と別れてから一晩を荒野で過ごし、翌日の昼頃には無事に王都へ辿り着いていた。
「盗人なんか、ほっておけばよかったんだ」
「馬鹿を言うな。あんな男を無罪放免になどできん!」
「俺は、副団長が怖いんだけど。突然仕事を押し付けられて、ものすごく機嫌が悪くなっていたよね」
「心配ない。あいつは俺なんかよりよほど優秀な男だ。うまくやるさ」
ガルロイはクロウに毒を盛った男を街に入るなり衛兵に突き出した。
だが、思っていた以上にいろいろと問題のあった男だったらしく、聞き取りなどにかなり時間を取られてしまったのだ。
先ほど仕事を仲間の者に任せて休憩も取らずにそのまま飛び出して来たのだが、すでに彼らが向かう東の空は夜の帳が下りようとしていた。
「飛ばすぞ!」
「えっ?! 無茶だよ~」
ルイの情けない声は、速度を上げた馬の蹄の音に掻き消された。
「クロウ! どこだ? クロウッ!」
「お~い、クローウ。迎えに来てやったぞ~」
夜が明けたばかりの誰もいないオアシスに、ガルロイとルイの声だけが響き渡る。彼らは月明かりだけを頼りに、夜通しここまで一気に駆けて来たのだ。
「返事をしろ! クロウッ!」
ガルロイのクロウを呼ぶ声に、不安が滲む。
「見事に誰も居ないよね」
必死なガルロイの横で、ルイは呑気な様子であたりを見渡している。
クロウの身を案じ一緒に付いて来ていたルイだったが、本気で探す気があるのか無いのか、いつも以上に気楽な様子にガルロイは苛立ち始めていた。
だが、それは単なる八つ当たりだと自分でも分かっている。
ガルロイは馬を走らせながら、クロウ達をあのオアシスにたった二人で残してきた事をずっと後悔していた。自分にすがり付いてきたあの少女の美しい緑色の瞳を見たその時から、冷静な判断が出来なくなっていたようだ。クロウの剣の腕はガルロイが知る中で最強だ。普段ならあの男の傍が一番安全だと言い切れる。
だが、今、彼は体調を崩している。
「団長。もうここにはクロウ達はいないみたいだね。あのおチビさんを連れて、別の道を行くことにしたんじゃない? あぁ~、羨ましい。あいつ、役得だよ。あんなに可愛い女の子と二人きりで旅ができるなんてさ」
「おまえという奴は……」
本気で悔しがっているルイに、ガルロイは思わず呆れた眼差しを向ける。だがそれは一瞬で、すぐに表情を硬くする。
「……やはり気が付いていたのか。あの小柄な少年が本当は少女なのだと」
「当然。で、あの子と何の話をしていたの? あんなに丁重な対応をする団長を見るのは初めてだったんだけど。あの子がどうかしたの?」
少し癖のある明るい金色の前髪をかき上げながら、ルイはにこやかにガルロイに尋ねてくる。見た目に反し、その声には有無を言わせない響きがあった。嘘やごまかしでは納得しそうにない。ルイには以前から誰を探しているのかと、聞かれている。この若者はいつも軽い調子で陽気に振る舞ってはいるが、実はよく人を観察しているところがあった。ガルロイは苦笑を漏らす。
そして、ふと見覚えのある場所に目を向けた途端、眉間の皺が深まった。
「……見てみろ」
いつにない固いガルロイの声に、ルイは言われるがまま彼が凝視している場所に視線を向けた。晴れ渡った空のような明るい青い瞳が最大限に見開らかれる。
クロウ達のためにルイが建てたテントが無残に壊され、砂の中に半ば埋もれていたのだ。
「え? ……まさか、そんな──」
「大丈夫だ。戦闘跡が見当たらない。うまく逃れたようだ……」
ガルロイはテントの残骸を砂の中から引きずり出し、注意深くクロウ達の痕跡を探す。
「盗賊かな? 最近は遭遇する事さえなかったのに……」
「奴らも無暗に襲っている訳ではない。誰だって怪我なんぞしたくないからな。おそらくだが、これまでは盗賊の方が俺達を避けていたのだろう」
「じゃあ、俺達がクロウ達を置いていったのを見ていたとか?」
珍しく狼狽えているルイに視線を向けながら、ガルロイは苦渋の表情を浮かべる。
そして、黙ったまま強い眼差しを丘へ続く岩場に移す。
「分からん。だが、何かあった事だけは確かだ。俺はこのままクロウ達の後を追う。ルイ、おまえはどうする?」
「いまさらそんな事を聞く? それより、本当に教えてよ、団長。そんなに必死になっているのは、クロウのためだけじゃないよね?」
大股で愛馬の元へ向かおうとしていたガルロイは足を止めた。振り返り、ルイを見る。恐らく彼にはガルロイが動揺していることを気付かれている。
だが、ルイは辛抱強くガルロイの言葉を待っているようだった。わずかな逡巡の後、ガルロイは少し擦れた声で一人の女性の名前を紡ぐ。
「リリティシア・フォン・アーレンベルグ」
「? ……それって、王女様の名前だったよね? もうこの世にはいない──」
「さすが、女性の名前は一度聞くと忘れない男だな」
「何? どうしたのさ、突然。……まさか、あのおチビさんがその王女様だとか言わないよね?」
引き攣った笑みを浮かべるルイに対し、ガルロイは事実を告げることにした。こうなってはルイに本当のことを話し、彼と共に一刻でも早くあの少女を探した方がいいと判断したのだ。
「そうだ。おそらく、あの方はリリティシア王女殿下だ」
完全に動きを止めてしまったルイに背を向け、ガルロイは愛馬の元へ向う。もうその足取りには何の迷いもなかった。
「ルイ! すぐに、ここを立つぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ、団長! どうして、十年以上も前に亡くなった王女が生きているって知っているのさ」
「話は後だ。早く馬に乗れ!」
ガルロイは動揺を隠せないルイを急き立てながら、すぐさま自分の愛馬に飛び乗った。可哀そうに馬達にはかなり無理をさせている。
だが、もう少し頑張ってもらうしかなかった。労わるように馬の首を優しく撫でながら、クロウが向かった先に見当を付ける。
(今のクロウなら安全な道を選ぶだろう。ならば、先ず峠を越え人々の往来がある街道を通って王都へ向かうはずだ)
ルイが慌てて馬に乗るのを目の端で捉えると、比較的なだらかな斜面を選び、岩場を勢いよく駆け上って行く。
(頼む! クロウ。俺達が行くまで、何としてもあの方を守っていてくれ!)
あの宝玉の輝きに似た美しい翠緑の瞳が思い浮かぶ。短い髪に少年の服を着ていたが、間違いなくあの少女はリリティシア王女だと断言出来る。
ずっと探し続けていた王女が、突然成長した姿で目の前に現れたのだ。冷静でいられるはずがない。あまりに長い時間が経っていた。
これまで、王女が生きているという証もなく、どこにいるのかさえ分からない状態だった。王女だと名乗り出て来る者があっても、その娘が本物かどうか見分ける自信などすでになくなっていた。
だが、あの少女の澄んだ瞳を一目見ただけで、すぐにリリティシア王女だと分かったのだ。あの瞬間、心臓が止まったかと思ったほどだ。
ところだがどうだ。己の判断の甘さで、再び彼女は幻のように姿を消してしまった。ガルロイは無意識に奥歯を噛みしめる。自分の不甲斐なさがなんとも腹立たしかった。やるせない思いを胸に押し込め馬を北へ向かって走らせる。流れる去る景色を横目に、彼の記憶は十四年前へと引き戻されていった。
運命の輪はあらゆるものを巻き込みながら、すでに大きく動き始めていたのだ。
**********
ガルロイ達がオアシスに到着するほんの数時間前まで、リリアとクロウの二人はまだオアシスに居た。
時は前日の朝にまで遡る。
「何をしているの? クロウ」
「出かける準備だ」
リリアが女だと分かったクロウは、泉から戻って来ると出し抜けに愛馬に荷を載せ始めた。それを見たリリアは慌てて荷造りを止めに入った。
「待って! そんな体では無理よ」
「熱は下がっている。今ここを出発して夜通し進めば、明日の夜明け前には王都に到着するだろう」
クロウは淡々と説明をしながら、全く手を止めようとはしない。
熱が下がったとはいえ、先ほどはふらついていたのだ。今のクロウの体では、夜通し馬に乗るなんてどう考えても無謀としか言えなかった。
もちろん、このオアシスが病人にとって良い環境かと聞かれれば良いとは言えないが、とにかく眠って体力を戻す事が今のクロウには大切な事だった。
「クロウ。少し食事をしませんか?」
突然リリアが話を変えたので、クロウは怪訝な顔を向けてきた。
「食事?」
「ごめんなさい。食事と呼べるほどのものではないです。でも、あの、クロウは昨日から水以外何も口にされていないでしょう? だから、スープを作ってみたんです。どうですか? 少し飲んでみませんか?」
クロウの返事も待たず、急いで木製のお椀にスープをよそい、こぼさないように注意しながら彼の目の前に湯気が立ち上るスープを差し出した。
リリアはクロウの身体を拭くため泉に水を汲みに行ったその時に、スープも作っていたのだ。
「いつのまに……」
クロウは苦い笑みを浮かべる。
「俺は、ずっとおまえに世話になってばかりだ」
苦々しく言うクロウに「そんな事はない」とリリアがどんな言葉を並べたとしても、きっと彼は自分を責め続けるだろう。
リリアは何も言わず、彼の手を引っ張って木陰に座らせると強引に器を持たせる。
「そう思うなら早く元気になって、私を王都へ連れて行ってくださいね。では、早速このスープの味見をしてください!」
今のリリアは自分のことよりも、ただ少しでも早くクロウに元気になってもらいたかった。
突然器を持たされ、クロウは戸惑っていた。温かな器を持ったまま湯気が立ち上るスープをじっと見つめる。リリアが作ったというスープからは、とてもよい香りがしていた。はっきり言って、まったく食欲などなかった。
なのに、その香りを吸い込んだ途端、彼の胃袋が音をたてて空腹を訴えてきた。
クロウは自嘲気味に苦笑をもらし、目の前に座っている小柄な少女に視線を向ける。すると、彼女はにっこりとほほ笑んだ。とても優しい笑みだった。
だが、すぐに真剣な表情になってクロウと器を見比べている。どうやら、早くこのスープの感想が聞きたいようだ。
クロウは視線を湯気の立つ器に視線を移し、そのまま熱いスープに口をつけた。
「! ……うまい! こんなにうまいスープは初めてだ」
お世辞ではなかった。
優しい味だが、薄味というわけではない。甘味と塩味と野菜の味がうまく合わさって口の中に広がり、舌と胃袋を大いに喜ばせた。
「ああ、よかった! お口に合ったんですね。これは我が家秘伝の携帯食なんです。野菜の茎を濃い味付けで煮て乾燥させて作るんですよ。それをお湯で煮出だすだけで、こんなに美味しいスープになるんです。すごいでしょう? 他にも何か食材を足せば、もっと美味しくなるんです。でも、さすがにここではこの味が精一杯なのですが」
少し得意げに、そしてかなり残念そうにリリアは自作のスープについて一生懸命に説明をしていた。
だが、一方でその眼差しはクロウがスープを飲む姿を注意深く見守っているように感じた。
お椀の中身はすぐにクロウの胃袋の中に納まってしまった。あまりにもの美味さに、思わず二杯目を求めたほどだ。リリアはすぐに本当に嬉しそうに空になった器をもって駆け出して行く。その華奢な後ろ姿を見送りながら、クロウは深く息を吐いた。
毒に苦しみながらクロウの心は酷くささくれ立っていた。
だが今は違う。
不思議な事に、いつのまにか心の中はとても穏やかなものになっている。それは久々に美味しいものを口にし、胃袋が満たされたからだけではない。どうやら傍にリリアが居ることが大きいようだ。
昨夜、クロウは悪夢にうなされ目を覚ました。どんな夢を見ていたのかはもう覚えてはいないが、その時、クロウの右手はリリアの両手の中でしっかりと握りしめられていた。その小さな手に縋り、再び眠りについたことを朧気に覚えている。その後はもう悪夢にうなされることもなく、目を覚ませば朝になっていた。
『大丈夫ですよ。私が傍にいますよ』
優しく語りかけてきた彼女の声だけは、今も耳に残っている。
(さすがに目が覚めた時、リリアの姿がすぐに見当たらなかった時は、かなり肝を冷やしはしたが……)
これまでクロウは多くの人々と出会い、そして別れてきた。リリアとも、もうすぐ別れを告げなければならない。そのことをとても残念に思っている自分がいる。
ここ数日、クロウの視線はずっと彼女を追っていた。初めはフードを深く被ったまま、おどおどしている少年の姿があまりに不審過ぎて、気を付けて見ていたのだ。今となっては、彼女は女だとばれないように必死だったのだと分かる。それなのに、彼女はこの楽ではなかったはずの旅の間、ずっと幼い子供達を気遣い、献身的に面倒をよく見ていた。
さらに、王都目前で倒れたクロウと二人きりでオアシスに残ることを言い出したのは彼女の方からだった。今も自分の事よりもクロウの事に心を砕いている。
性別や年齢など関係なく、彼女に好意を持たない者などいないだろう。
そう、自分はいつのまにかこの華奢で頼りなげな不思議な少女に惹かれ始めているようなのだ。
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リリアの説得により、もう一晩オアシスで過ごす事をクロウは渋々承諾してくれた。
クロウはリリアが作った秘伝のスープを口にしてから、目に見えて顔色が良くなっていた。良かったと喜んでいると、俺は昼間十分に眠ったからと、リリアはクロウによって夕刻早々にテントの中に押し込められてしまった。彼の優しさに甘え、少し仮眠を取るつもりで目を閉じたリリアだったが、看病と旅の疲れのせいで深く眠り込んでしまっていた。
「……リ、…………リア、リリア!」
誰かが、リリアの名前を呼ぶ。眠り込んでいたリリアは驚いて目を覚ました。
「……え?!」
「しっ!」
思わず声を上げたリリアの口を、突然大きな掌が覆う。
「ふぐ! むぐっ!! ふぐぐっ!!!」
現状が分からず恐慌状態に陥ったリリアの体は力強い腕に拘束された。リリアは必死で手足をばたつかせその腕から逃れようとした。
だが、暴れれば暴れるほど、彼女の体に巻き付く腕の力がさらに増していく。
「俺だ。クロウだ。リリア、落ち着いてくれ」
耳元で囁かれ慌てて首を回せば、真横にクロウの顔があった。
「……手を離す。頼む、声は出さないでくれ」
テントの中に僅かに差し込んでくる月の光の中、クロウの真剣な表情を見つめリリアは何度も頷く。すると、彼はゆっくりと手を離した。リリアから身を離すと、さっと背を向けテントの外を覗う。
彼の様子が尋常ではない。何か恐ろしい事が起こっているのかもしれなかった。
「リリア。出来るだけ身を低くして、俺の後に……」
振り向いたクロウが言葉を途切れさせる。震えているリリアに気付いたのかもしれない。恐怖でさらに体を強張らせたリリアの背にそっと手を回し、クロウはそのまま逞しい腕の中に優しく包み込んでくれた。
「大丈夫だ。何も心配しなくてもいい。さあ、荷物を持って、俺の後に付いて来てくれ」
リリアは頷くと、近くに置いていた自分の荷物を胸に抱き抱えた。
すると、クロウの大きな手がリリアの方へ伸びてきて、震えていた手をぎゅっとにぎりしめた。その力強い手に引かれ、リリアはテントの外へと導かれる。
まず、リリアの目に飛び込んで来たのは、月明かりに照らされた紺色の濃淡だけで彩られた幻想的な景色だった。それは太陽の下で見るものとはまったく別の世界で、こんな時だというのに思わず目を奪われる。
だが、クロウに連れられ岩場の影で待っていた彼の愛馬を目にした途端、自分たちがどれほど緊迫した状態でいるのかを思い知らされた。その口には布が巻き付けられ、声がもれないようにされていたのだ。 それでも、彼の愛馬は大人しくリリア達を見つめている。
「リリア、今からこの岩場を登る。出来るか?」
クロウの黒い瞳に気遣いが感じられる。
リリアはしっかりと頷いて応えると、自ら急な斜面をただひたすら頂上を目指して登り始めた。振り向くと、後からクロウも愛馬の手綱を引いて登って来る。
辺りはとても静かでリリアには自分達が踏みしめる石の擦れ合う音と呼吸の音以外何の音も聞こえてこない。
だが、すでにクロウは何かを感じ取っているようだった。頂上まであと僅かという所で、リリアにも馬の蹄の音と嘶きが聞こえてきた。慌てて振り返れば、クロウが固い表情で王都の方角を見つめている。
「あともう少しだ。急げ!」
クロウの緊迫した声が飛ぶ。動揺したリリアは足が震えてしまって上手く登れなくなってしまった。思い通りに動かなくなった体に気持ちばかりが焦る。恐怖で涙が溢れてきて、視界がゆがむ。
ちょうどその時、今まで煌々と照らしていた月の光を厚い雲が覆い隠し、あたりが闇に包まれた。
「クロウ………!」
「リリア。大丈夫だ」
悲鳴のような声でクロウの名を呼べば、追いついたクロウがリリアの手を掴み、ぐいぐいと上に向かって引き上げて行く。崖の下が騒がしくなった時には、リリア達は下からでは見えない場所にまで無事登り詰めていた。
「リリア。ここで、シェーンと一緒に待っていてくれ」
愛馬の手綱をリリアに渡し、クロウは一人で崖の縁に寄ると、崖の下を見下ろす。その目には剣呑な光が灯っていた。
ガルロイ達の可能性もあったのだが、微かに聞こえた馬の嘶きと嫌な胸騒ぎにとりあえず安全な場所へ避難したのは、どうやら間違いではなかったようだ。
六人もの長剣を携えた男達が、先ほどまでリリアが眠っていたテントを中心にあたりを見回している。月明かりに頼れなくなった彼らはわざわざ松明に火を灯し、必死になって何かを探し回っている。
だが、その光はもうクロウ達の所まで届く事はない。クロウは彼らの事がひどく気になっていた。彼らの動きは統率されていて、盗賊でないことは明らかだったからだ。
(王都で、何かあったのか?)
疑問を抱えながら、クロウがリリアの所へ戻ろうと踵を返そうとしたその時、男達の中に見知った顔を見つけた。
クロウの眼差しはさらに厳しさを増す。
(あの男が、なぜ?)
疑問を残しつつ、再び月光があたりを静かに照らし出す頃には、クロウはリリアを伴いこの場から静かに姿を消していたのだった。
話が大きく動き出してきました。一緒にリリア達を見守って頂けたら嬉しいです。
*2016年11月18日加筆しています。




