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総合魔導学習指導要領マギノ・ゲーム  作者: 天川守
第3章 秋 ~戦いの季節~
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第67話

 ――クラウディア撃墜。

 この情報に誰よりも驚愕したのは赤木香奈子、その人だった。

 周囲を飛び交っている魔力球、囲まれた空間の中でそのことを忘れてしまう程彼女は我を忘れる。

 棒立ちになる彼女を和哉の魔弾が襲う。

 しかし、その魔弾はまるで初めからそんなものはなかったかのように掻き消える。


「ん、ダメ。私がダメだった。ごめんね、クラウ」


 慌てる必要などないのだ。

 こんなものはそもそも彼女に触れられない。

 破壊の魔力が身体を覆うように溢れだす。

 そう、赤木香奈子は未熟さが目立つ魔導師である。

 真由美がそう看破したように実戦経験は乏しく、さらに言えばせっかく発現した固有能力も砲撃との併用でしか活用できていなかった。

 だが、それはある恐ろしい事を示唆している。

 香奈子の固有能力『バランスブレイカー』と名付けられる破壊系を他の系統と同時に運用できるようにするこの能力は現段階を以ってして未完成だった。

 つまり――成長するということである。


「ん……。立浪、行こう」

『りょ、了解です!』


 向こうの方が数では有利になった。

 なるほど、ならば1人潰せばいいだけだろう。

 シンプルな思考で香奈子は次のターゲットを無造作に選ぶ。

 葵は満身創痍だが、直ぐ傍にほのかがいる。

 優香も同様に大宮が、健輔はクラウディア撃破後の動向についてはわかっていない。

 ならば、潰す相手は2択。

 そして、2つとも消し飛ばせば問題はない。

 黒い魔力光を纏い、冷たい表情で君臨する魔王は敵に宣誓する。


「ん、ここで1人は終わらせる」


 静かな1言と共に、威力ではなく範囲を重視した砲撃が放たれる。

 彼女を覆う魔力光により、純魔力攻撃は完全に無効化される。

 『魔王』――圧倒的な力で魔導師を蹂躙する魔導師がついに成長を始めた。




「これは無理だわ」


 放たれた砲撃は速度を落として範囲を拡大している。

 こちらの陣地の半分は薙ぎ払えるだろう。

 2発で更地になるのは確定だった。


「となると、俺たちも敵陣行きだな」

「ありゃ、交代する? あれがこっちくるのに1分はあるよね?」

「遅いからな。密度とかもまだまだだが、あれだけ強くて成長できるというだけでも脅威だわ」

「実戦で追い詰められて覚醒とか、なんていうか主人公補正持ってるね」


 迫りくる破滅を目にしながらも彼らは変わらない。

 既に真由美撃墜で恥を晒しているのだ、上塗りだけは勘弁して欲しいという心境だった。


「ま、やれるだけはやろう。相手側の後衛の1人」

「立浪っていうみたいだね。そこを狙う感じ?」

「ああ、頼む。俺はもう要らんだろ。健輔のやつもいい感じに消耗しているが1(・・)だけならあいつは如何にかできる」


 あっさりと互いの役割を決めて和哉は死地を選ぶ。

 真希も彼の覚悟に口を挟むことなく頷き、進行を開始する。

 これで味方の陣地は空になる。

 相手側が陣の制圧を優先してきた場合はバックスが落ちて完全に詰んでしまう危険性すらある。

 それらの危険性を考慮した上での決断だった。

 相手は待ち構える形になっている。

 ならば、それを大きく動かすようなことはないだろう、と。


「うんじゃあ、囮をよろしく」

「任された。お前もきちんと仕事しろよ? 割と分水嶺だぞ、ここ」

「大丈夫。……わかってるよ」


 常とは違い少し緊張した調子で返してくる。

 真希にしてはらしくないことに緊張しているようだった。

 和哉は殊更明るく激励する。


「お前はチーム1のスナイパーだろうが。――隠密でも負けるんじゃないぞ? やれそうなら狙ってくれてもいいしな」

「っ、うん、そうだね。でも、あの怪物は相性悪いかな」

「そうかい。……じゃあ、とっと行け。時間ないんだよ」


 返事をすることなく真希は駆け抜ける。

 全てを吹き飛ばす砲撃、間違いなく成長した赤木香奈子は強いだろう。


「しかし、残念ながら破壊系には弱点がある。同時に使えない以外にもな」


 それを教授してやろうと和哉は不敵に笑いながら魔力を練り上げる。


「さて、年上に失礼だがド素人に戦場を教えてやるよ」




 クラウディア撃破、そして香奈子の覚醒による大規模砲撃。

 正確な状況は掴めずとも環境が激変していることくらいははっきりとわかっていた。

 その上で彼女――坪内ほのかに出来ることは何もなかった。

 ブンっ、と風を切る様な音を耳が拾い、直感頼りに回避を行う。

 大きな爆発音と共に、石の飛礫が僅かに彼女の身体を傷つけるがそれに反応する余裕すらなかった。


「なんて、なんて出鱈目!!」


 攻防を開始して10分も至らずに彼女の精神は激しく削られている。

 中途半端に系統が近いことから、その絶望的な実力差を感じ取ってしまった。

 ほのかは身体・収束系、対して葵は収束・身体系。

 このサブとメインの違いから生まれるのは重視するものの差だ。

 ほのかは体捌きを重視して、葵は火力を信仰した。

 違いはその程度でしかない。

 ほのかとて、3年生の魔導師だ。

 香奈子と違い昨年の魔導大会にも出場している。

 『アマテラス』との戦いでは桜香に何もできずに撃破され、涙を流した。

 魔導戦隊の理不尽にも嘆いた。

 経験という意味ならば間違いなく『天空の焔』の最上位に位置し、その技量は円熟の域にある。

 『クォークオブフェイト』で言うならば隆志や妃里のポジションなのだ、断じて弱くはない。

 意志力も3年間戦い続けられれば十分なものがある。

 そんな彼女が初心者のように只管に回避に専念しなければならないのは偏に相手が悪かった。


「ふふ、ふふふふ」

「っ……」

 

 追い詰められているのは葵なのだ。

 残りライフは10%、1撃当てればほのかの勝ちなのに何故か唯の1度も攻撃すら出来ていない。

 原因は明白だった。 

 ここまで追い詰められながら笑っている葵を理解できず、完全に気圧されている。

 暴風の様な拳はその表現のままに災害だった。

 近接火力でこれと殴り合うなど余程の度胸があるものでないと選択肢にすら昇らない。

 それでも最後の一線で彼女は役割を遂行していた。

 ほのかが粘る限り葵は前にいけない。


「先には行かせない!」

「ふーん、ま、それならそれでいいけど」


 ほのかの悲壮な決意に特に感慨もないのか葵は攻勢を緩めない。

 香奈子の砲撃を迎撃するために固有能力を発動した以外は彼女は普段通りの戦いしかしていない。

 それはこの場面で能力を使う程の余裕がないためでもあるのだが、1番の理由はほのかとの相性が噛み合っていないからだ。

 じゃんけんで言うならば引き分け、つまりは悪くはないが良くもない。

 そんな状態を強行突破しようが疲れるだけだとわかっているのだ。

 よって、状況を動かすのは彼らになる。


『大宮選手撃墜! ついに前衛が突破しました。しかし、『天空の焔』も負けてはいません! 奮闘空しく、杉崎選手撃墜! 条件は変わりませんが両チーム徐々に疲労が蓄積してきています』

『え~と。現在の状況について読み上げます~『天空の焔』――赤木選手、ライフ100%。立浪選手、ライフ100%。坪内選手、ライフ80%となっております』

『対する『クォークオブフェイト』――佐藤選手、ライフ38%。九条選手、95%。藤田選手、10%。伊藤選手、ライフ100%となっております』

『まだ~どちらが勝つかはわかりません~』

『勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか!!』




「お疲れ様、すごいな。ほとんど消耗なしか」

「健輔さんこそ、あの『雷光』を落としたのは大金星ですよ」


 隠密行動をしていた2人は、敵陣深くで合流し機を窺っていた。

 香奈子が強すぎて手に負えない。

 状況を称するならばそうなるのは明白だった。

 優香の本気を使っても勝てる可能性は3割あれば良いものだった。

 香奈子を確認できる位置で息を殺して、潜んでいる2人は細心の注意を払って行動する。


「実際、あれの撃墜はきついな」

「そうですね。私の火力もほとんど無効化されてしまいます。今、必要なのはヴィエラさんとヴィオラさんのようなゴーレム使いですね」

「単純な物理攻撃しかない、ってことか」

「はい、あの魔力光で純魔力攻撃は完全に無効化、その上まだ障壁も残っています」

「真由美さんでも抜けないな、相性が悪すぎる。うちでは葵さんぐらいか……。でも、あの坪内って人は隆志さんと同じぐらいと考えると……これはきついな」


 葵しか香奈子を撃破できないのにその葵が前線で拘束されている。

 相手側も誰が自分に有効な相手なのかぐらいは考えているわけだ。

 クラウディアでは経験不足で葵を止められない。

 最善は撃破だったのだろうが次善策もきちんと用意されていた。


「あの香奈子って人が暴れてる限りどうにもならんからな。今はこっちの陣を潰すのに専念してるけど」

「気休めにもなりませんね。真希さんはこの状況では有効打になりません」


 考えれば考える程、手が1つしか見えてこない。

 健輔は最善を考え、事を成すための手段を考える。

 向こうは立浪という魔導師を交代しようとしているようで香奈子は周囲の警戒を行っている。

 この状況では壁が欲しいはずだ。

 おそらく前衛が出てくるだろう。


「……よし、タイミングはわかるな?」

「はい、前はお任せ下さい。交代される前になんとかしてみます」

「あの香奈子って人は俺が意地でも止める」

「信じてます」


 相手は決まり、タイミングも決まった。

 後は決行あるのみである。


「行きます!」

「おう、『陽炎』! 閃光弾!」

『了解』


 魔力で閃光を生み出し、相手に向かって投げつける。

 小細工だが、まずは視覚情報を潰す。

 バックスによる補佐があれば視界が無くても戦闘可能だが勝手が違えば付け入る隙も生まれる。

 健輔の行動を見ることなく優香は前進する。

 どこか1つでも噛み合わなければ負ける。

 決死の覚悟で彼女は先陣を切るのだった。




「ん……探知はそのまま続けて」

『了解です! すいません、あまり役に立たなくて……』

「ん? 気にしない、それよりもまだ終わってないから」

『あっ、も、申し訳ないです。敵、侵入者2名の探知を急ぎます』

「ん、交代もお願い」

『大丈夫です。後、20――魔力反応!』


 バックスと念話を行っている時にそれは来た。

 香奈子にとって幸運だったのはそれにより素早く対応できたことだろう。

 即座に戦闘レベルを引き上げ相手の迎撃に動く。

 そして、不運だったことはここで反応してしまったことだろう。

 万全の態勢で迎え撃つことがなければ閃光弾の直撃を受けることはなかった。


「ん!? 閃光弾っ!」


 気付いた時は咄嗟に強化された視力で光を直視してしまっていた。

 無論、最低限の保護は掛けてある。

 しかし、予想を上回る光量は彼女の動きを止めるのに十分な力を持っていた。


『来ます! これは――『蒼い閃光です』! 狙いは立浪さん!』

「っ、避けて!!」


 自身のものとは思えない大声に驚きながらも指示を出す。

 思えば彼女にも慢心があった。

 魔力で自分を傷つけることはできない、という慢心が心のどこかに生まれたていたのは間違いない。

 性能が良すぎる道具を手に入れた弊害である。

 道具と自分の性能を誤認するようになるのだ。

 無力だったものがある日、宝籤に当たるように彼女は強くなった。

 持ち得る力と精神が噛み合っていない。

 彼女の高い精神力は無為に耐えるものであり、変化に適応するものではないからだ。


「え……」


 だからこそ、巨人の拳が見えた時、何が悪かったのか悟ることすらできなかった。

 突如として彼女を囲むように現れた巨人に慌てて、砲撃を行うとチャージを開始する。


「ん、まだ! まだ、終わってない!」


 威力を捨てて速度を最優先とする彼女の得意技、その光速の攻撃は真由美すら撃ち落とした。

 しかし、忘れてはならない。

 あくまでもそのような一方的な効果は相性によるものなのだ、と。

 

「いけ」


 放たれた黒き砲撃は巨人に直撃する。

 巨人の胴を貫き、確かな力を見せ付けたと言えるだろう。


「っ!? 嘘……!」


 しかし、巨人は倒れない。

 そもそもこのタイプのゴーレムは破壊されること前提なのだ。

 何より、破壊系の特性さえ無視してしまえば彼女は後衛としては1年生に毛が生えた程度の錬度しかない。

 ゴーレムの拳は香奈子の障壁を殴り壊し、破壊する。

 守りがなくなった彼女には攻撃しか対応方法はなく。

 幾度も砲撃を打ち込み続ける。


「どうして、どうして!」


 人見知りで話す時は必ず詰まっていた香奈子がそんな余裕もないほどに追い詰められる。

 

『立浪選手、撃墜! 状況はついに大きく『クォークオブフェイト』に傾きました!! このまま、試合は決まってしまうのか!!』


 後輩の撃墜の報、残りは彼女とほのかだけ。

 極限まで追い詰められた彼女の精神がそこでぶつりと切れてしまう。

 緊張の糸が切れる、というべきものだったがここでは健輔の予想を大きく裏切る効果をもたらすことになる。

 追い詰められ過ぎた人間は大筋、2通りに分かれるだろう。

 諦観するか、立ち向かうか。

 どちらを選ぶにしろ勇気のいることであり、立ち向かうを選んだ場合はより具体的な手段が必要となる。

 この時、香奈子は立ち向かうことを選んだ。

 それは間違いない、だだ熟慮の上でもなければ、諦めない闘争心でもない。

 そんな可愛いものではなかったのだ。

 香奈子の立ち向かい方は世の中ではこう表現される――逆切れ、と。




「ああああああああ!!」


 突如として叫び声を上げた敵リーダー赤木香奈子。

 健輔の直感が最大級の警報を鳴らす。

 この女はキレるとやばい、と。


「なんだ? マジでなんだ!?」


 黒い魔力光が香奈子の身体から瘴気のように放出される。

 収束系でもこうはならない。

 香奈子の系統は健輔の予想では破壊・遠距離だ。

 このような現象が起きる系統ではない。


「っ、『陽炎』!」

『了解』


 やばいから即効で決める。

 健輔の判断はそのようなものだった。

 判断としては誤っていなかったが状況が悪かった。

 元より、どうすることもできないのだ。

 女性のヒステリックを男がどうこうできると思うなど、そんなものは夢想である。


「健輔さん!」

「優香!?」

「離脱を!」


 後衛を撃破した優香が攻撃を仕掛けようとする健輔を掴んで急速離脱を図る。

 まるで、【この光景に見覚えがある】と言わんばかりの慌てようは滅多に見れないものだった。


「っ、わかった。シルエットモード『優香』」

『了解』

「急いで下さい!! その後は下に降りて!」


 優香のその言葉を最後に何かがひび割れるような音がすると同時に衝撃波が彼らを襲う。

 それはまるでかつて健輔が見た『黎明』の自爆と似たような光景だった。




『大規模魔力爆発により、視界が悪くなっております。今しばらく会場の皆様はお待ちください』

『先程の爆発で~赤木選手、ライフ50%。九条選手、ライフ20%。佐藤選手、35%となっております~』


「悪い、庇ってもらった」

「いいえ、おそらくあの人相手に私はお役に立てませんから。これが最善です」


 綺麗に吹き飛んだ相手の陣を見ながら、なんとか爆発から逃げ切った2人は一息吐く。

 予想外に予想外を重ねた様な光景だったが、一体あれはなんだったのか。

 ライフを喪失しているところから見ると自爆に近いようだがまだ撃墜になっていない辺り完全に自爆とも言い難かった。


「さっきのあれは?」

「……魔力の暴走です。おそらく、3つ目の固有能力が発現したのだと思います」

「……マジで?」

「元々、収束系でもないのに魔力量が明らかに過剰でした。おそらく本格覚醒してはいなかったのだと思いますが、ある程度の恩恵はあったのだと思います」

「根拠は?」

「あの状態だと何でも破壊するというわけにはいかないからです。どんなイメージで練習していたかはわからないですが、おそらく砲撃の要素を突き詰めた形だったのは間違いないかと」


 真由美を速やかに撃墜したとはいえあの砲撃性能は破壊系の力に頼り切っている。

 確かに脅威ではあったが種が割れてしまえば対策は取りようがあった。

 例えば、健輔の様に純粋な物理攻撃で相対すればいい。

 投石というもっとも原初的な遠距離攻撃が彼女には防げない。

 普通の魔導師にはできる熟練度があってしかるべきだが、砲撃をまともにやれるようになったのが覚醒後だとすれば経験は1年生と左程変わらないものだからだ。

 もっとも、その弱点はたった今消えてなくなってしまった。


「なるほど、つまりこれが完全体(・・・)というわけか」

「そういうことです」


 破壊の力を極めた後衛魔導師。

 勝利するには勇気の力を持ち、突貫して近接戦を挑む必要がある。


「わお、絶望的だな」

「そうですね。真由美さんの戦闘スタイルを持った葵さんとでもいうべきでしょうか」

「最悪の組み合わせだな」


 2人で顔を見合わせてくすくすと笑い合う。

 これはなかなかに詰んでいる状況だった。

 最強の攻撃力と防御力を持った破壊の力を待つ魔導師。

 黒い魔力光と合わさってまるで魔王のような風格だ。


「じゃあ、俺たちは差し詰め勇者かな」

「勇者、ですか? なんだかかっこいいですね」

「優香は騎士って感じだな。もしく女神様」

「え……、そ、その、ありがとうございます」

「うん? ああ、いやゲームで言うとって意味だからな」

「あ、は、はい、わかってます。大丈夫です」


 強敵を相手に委縮せずにいられるのは2人でいるからだろう。

 1人ならば割と絶望的なこの状況に悲観するしかなかった。


「さて、休憩は終わりだな」

「はい、行きましょう」


 視界が晴れていく。

 向こうも大分落ち着いているはずだった。

 これが最後の攻撃になる。


「すまん、先に落ちてくれ」

「任されました。――後はお願いします」


 蒼いオーラを身に纏い、女神は空を往く。

 地を走る凡人はその眩い輝きに勝利を誓いながら、早奈恵へと念話を繋げるのだった。


「こっちは準備OKですよ」


 健輔の策が動く。

 これが最後の交戦となる。

 勇者が勝つのか、はたまた魔王が勝つのか。

 全てはこの一瞬の交錯に掛っているのだった。


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