前世の私 1
前世の私 1
私が、まだ大学生として学業に毎日を追われていた頃。
自分でも大げさだと思うが、毎日が課題や小テストに追われ、冗談ながら「異世界とか二次元に行きたいなぁ」などと馬鹿げた妄想を繰り広げていた。
実際、この頃は特に「転生」や「異世界トリップ」というジャンルの小説をよく好んでいた。
だからか…、このような事態に陥ってしまった現在でもある程度落ち着いていられたんだろう。
しかし、未だ完全に自分の状況、世界観、その他多くのことを理解できたわけではなく。
ただ、自分の身の周りのこと、ほんの少しのことだけしか理解できていない。
それもそうだろう
…と勝手ながら考えている。
お決まりの「神様のミスでごめんね」、「実は君の前世は…」などと言った「どうしてこうなったんだよ」という案内役兼説明役の方による展開はなかったし。
また、「神子」、「勇者」、「魔王」などの「召喚されました系」でもなかった。
…念のため、上記のことに関してはそういう噂などは少し探してみたりしたいと考えている。
自分自身がそういう役割があるとは、考えていないが、まだ断定はしないでいる。
…自分でもあほらしいと思っている。
私なんかが「特別な人」になれるだなんて期待しているわけではない。
ただ、…そう、ただ怖いのだ。
この私の新しい人生は未知そのものであった。
本当にまったく一切説明なしのガチの人生だった。
だから、「ありえないこと」でもすでに私という「ありえないこと」が起きている以上。
そのようなことも考えや選択肢の一つに入れておくことも大事であると考えている。
ま、私が読んできた小説を思い出し、主人公たちを見習って、ない頭で考えた。
一日でも長生きするための方法である。
……所詮、脇役人生だろうけどね。