人間侵略作戦1
頭の悪いばけものは、なぜ人間に勝てないのかわからなかった。
自分たちのほうが力持ちなのにと。
「おいおまえら。人間たちに勝ちたいのか?」
現れたのは悪魔だった。
「そうさ。力も無いくせに世界中でエラそうにしているのがむかつくのさ」
「じゃあ、ぼくが人間をバカにしてあげるよ」
悪魔は人間に、自分のもつ能力のほとんどを与えた。
離れているものと会話や情報交換する力。
自分が覚えなくても、指を動かすだけでなにかに記録できる力。
考えなくても、問題さえ伝えれば勝手に解決してくれる力。
そのかわりに、人間のすばらしい力を奪っていった。
考える力を。
人間は悪魔の技術をもとに、コンピューターやインターネットとつくりあげた。
それはとてもすばらしいものだ。
しかし、人間は考える力を失っていた。
だからそれらがつくられた目的も忘れていった。
便利にするため、仕事をたくさん効率よくするためにつくったもの。
なのに、人間はそればかりに頼って今までできていたこともできなくなった。
それら無しでは。
結局、機械の力を差し引いた人間の能力は下がっていく一方だった。
「おい、ばけもの。人間はバカになったから、力の無さを補うものが無くなったことになる。もう攻めてもいいんじゃないか?」
「まだいいよ。もう少し見ていたいんだ。面白いから」
「わかった。準備はできてるからね。いつでも機械の力を全停止させられるよ」