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話を聞かない王子を説得してみました


 本日は王家主催の昼食会。

 第4王子マーク様の婚約者であるわたくしは出席しないわけにはいきません。

 そこまで大規模な会ではありませんが、最近妙にマーク様が大人しいこと、両陛下が不在であることに一抹の不安を覚えていましたの。



「お前の罪状を告発してやる」


 案の定婚約者殿は騒ぎだしたようね。

 パーティー会場に王子のまだ幼さが残る声が響きました。

 彼の隣には可愛らしいご令嬢が。



「お前のような冷血女とは婚約ハキだ」


 まあそんな(棒読み)


「この女は婚約者としての交流をすっぽかした」


 あらあら、いつのお話でしょう? お茶会をすっぽかされることはあっても、わたくしからはキャンセルしたことは‥熱を出した時だけですわ。


「下町に一緒に行こうと誘ったのに無視された」


 ああ、あの時の。わたくし伯爵令嬢ですから下町になんか頼まれても行きませんよ。それに王族が下町なんてとんでもございません。



「学校の宿題を手伝ってほしいとどんなに頼んでも聞いてくれなかった」


 ご自分の宿題はご自分でなさいませんと。



「それにボクが嫌いなピーマンを食べてくれなかった!」


 わたくしは首をかしげました。これって断罪なのかしら。



「僕はお前との婚約をハキして優しい男爵令嬢ポーラと婚約する。彼女はボクの望みを何でもかなえてくれたからな!」


 なるほど、お隣のお嬢さんが一緒に下町に行って宿題を手伝ってくれてピーマンを食べてくれたのですね。


「衛兵、この者を捕えて、ええっと国外追放とせよ」


 え、その程度で国外追放?

 あら衛兵がやって来ましたよ。すっごく困った顔で。


 ちょっとそこの王太子殿下、笑っていないでお止めになって!



「陛下がご存じない所での婚約破棄は殿下であっても罪に問われます。裁判なしに勝手に刑に処すことも同じく」


「うるさいうるさい! 王族であるボクに逆らうな」



 正論が通じません。マーク様はまだ13歳ですからね。難しい言葉遣いは苦手ですし。18のわたくしから見たらまだまだかわいらしいお子様なの。



(あら、つまりマーク様でも分かる言い方にしないとだめなのね!)



 言葉を伝えるためには相手に合わせた言葉を使用しないといけません。

 社交術の基本よね。



(えっと子供に分かりやすく伝えるには‥)


 我が家の小さい弟(5歳)を思いうかべます。

 そうだわ、あれにしましょう。




「殿下なんて嫌いです、もう遊んであげませんわ!」


 子供には「もう遊んであげない」が一番応えますのよ。




「な、なんだってぇ!」


 ほら通じました。




「そこまで」


 やっと王太子殿下が立ち上がります。


「余興は終わりだ。衛兵は下がるように。マークとソフィア嬢はこちらへ」




 わたくしたちは控えの間に誘導されます。男爵令嬢も連行されていますわ。

 

「マーク、ソフィア嬢を国外追放にしたら、どっちにしろもう遊べなくなるじゃないか」

「あ、そうか」

 

 マーク様分かっていなかったようね。


「勉強するのも野菜を食べるのも、お前の大切な役割だ。他の人に任せてはいけない」


 お兄様に諭されてマーク様はうなだれていますわ。



「あと、婚約破棄の意味は分かっているのかい?」

「えっと何か本で読んでカッコ良かったから使った」


 分かっていませんでしたわ。


「婚約を破棄しましたら、もう殿下とわたくしは結婚できませんのよ」

「えええ! やだよ。ボクはソフィアと結婚するんだから」


 それを聞いた男爵令嬢は狼狽しております。


「そんな、婚約者をソフィア様からわたくしに替えてくれるのではなかったの」

「ああ、え~っと、ごめんね」


 それはさすがに失礼だと侍従長からも説教されていますわ。


「だってポーラはボクの望みを全部かなえてくれるじゃないか」


 殿下は目をパチパチさせながら言い訳しております。

 男爵令嬢がかわいそうになってきましたわ。




「だいたい、何でこんなことしたんだい?」


 王太子殿下は優し気にたずねました。


「だってソフィアは最近、本当に冷たくて」


 しょんぼりするマーク様の口から本音がこぼれだします。



「昔はボクが頑張るとすぐほめてくれたのに」


 確かにそれは心当たりがありました。

 お父様に小さい子はいっぱいほめてあげなさいって言われていたので、昔はすごいすごいと持ち上げておりましたの。


 もう思春期ですから止めていたのは確かね。



「今はどれだけ努力してもハグもキスもしてくれない」

「恥ずかしいかと思ってひかえましたのよ」

「じゃ、これからはもっと」


 マーク様が手を差し伸べて来ますが、広げて下さらないと。


「殿下、胸を触ろうとしないで下さる?」

「む、昔はそんなこと言わなかっただろう」

 

 王太子殿下がゴホンと咳をして止めに入ります。


「マーク、いくら婚約者と言っても節度は守らねばいけない」

「そんな‥昔は顔をくっつけても怒らなかったのに」


 な! わたくしの顔が熱くなります。


「子供だからと油断しましたわ」


 昔は身長差があったのを利用しましたね。

 恥ずかしさで震えが。


「しばらくは遊んであげません!」


 


 後日、王家から正式な謝罪が。


「また遊んで欲しいそうだ」


 陛下から説得されてしまいましたわ。

 わたくしも受け入れるしかありません。



 だって‥よく言いますでしょう? アホの子ほどかわいいって。




 数年したらマークは黒歴史に頭を抱えます。

 


 ポイントありがとうございます(≧∇≦)ノ

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