道中気ままなお話を
揺られること気がつけばすでに1時間経っていた。
スマホを確認すると12:46を示していた。昼である。
「おぉ?兄ちゃんそりゃ一体なんなんだ?」
ふふ。それはそうだろうこれが文明の持つ究極の汎用型携帯電話!と思いながら
「これはスマホだよ。」
妙な雰囲気を出しながら自慢げにスマホを紹介しようとするが。
「おー遺物じゃねぇか。」
「異物?」
「そう遺物。」
「え?なんでこれが異物なの?」
「それはだなぁ。あーそのなんだ?兄ちゃん…新聞はあんまし読んでこなかったのか?」
新聞あるんだ…。そんなことより
「新聞ではなんて書いてあったんだ?」
「世紀の大発見!って銘打ってあってな。そりゃあすごいぜ遺跡から4つも出土品を持ち帰って来れたんだ。その中でも用途不明なのがその板に似たやつってんだ。」
話を聞くに、どうやらこれと似たものがあってそれが板らしい。ただの板だと思うが…古代にこんなのあってたまるかよ。
「ま、まぁそれとは関係ないとは思うが…」
「ハハハ!ジョークだよジョーク。まぁでもここいらじゃみねぇなそれ。一体何に使うんだ?」
俺は電源を入れて画面を見せた。
「んーなんて書いてあるかさっぱりわからねぇな。」
俺も慌てて画面を見るが「13:10」をただ表示しているだけだ。
「数字って言ってわかるか?」
「んお?商人なめんじゃねぇぞ。それくらいわからぁ!」
「1はいちだよな?」
「そりゃそうだ1はいちだ。」
「どう書くんだ?」
「そりゃあこうだろ。」
宙にスーッと書くと文字通り光の線が浮き上がる。
しかし横線で漢数字のように書いた。
「じゃあ2は?」
それを聞きドンテは+の字を書くと
「これが2だぞ。」
と言った。やはりもうここは異世界である。確信に変わった。
「そうかぁ…ちなみにこれはね、13時10分って読むんだ。」
スマホの画面を見ると1分進んでいたが、まぁそれはいいだろう。
「ふーん。時間を写してくれる道具ってことか。意外と要らなそうだな。」
「いいやそれだけじゃない!」
食い気味で反論するとおれは聞かれにしていないスマホのことについてあれこれ説明した。
「あーあー!もういいもういいってわかったわかった。悪かったよ。要らないなんて言って。」
改めてスマホの画面を見るとわかったことがあった。
電波がある。
ドーユーバンクの回線が謎に生きていた。
ゴーグルにもアクセスできることがわかると一旦スマホをしまう。
「さぁ。もうすぐ着くぜ。」
どうやらストラバの防壁の前まで来ていたらしい。
14:01のことだった。