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原っぱから歩くこと長時間

「あぁーーーーーー」

終わりが見えそうで見えない原っぱを歩くこと早一時間。

会社のことを考えてしまうあたり心はまだ社畜のままだった。

「どこだよここはぁ!見る限りの原っぱが!」

誰もいないのをいいことに俺は叫び続けた。

そうでもしなければ、考え事に脳を焼かれそうだ。

「異世界転移か、タイムトラベルのどっちか。」

アスファルトという見慣れた道路はどこにもなく、整備されていないただの畦道がどこかへと伸びている。

踏まれたであろうその部分だけ草が生えずにハゲ散らかしているあたりなにかが頻繁にここを通るのは容易に考えつく。その道をひたすらただひたすら歩き続ける。

もちろん。都市の方へ向けてだが。

「明らかにおかしいだろ。なんでこうなったんだほんとに。早起きすればよかった。」

俺には今三つ心配がある。

1つ目の心配はすでに元いた駅のホームで死んでいる可能性。

2つ目は俺の部屋だ。あの汚らしいゴミ屋敷を放置したままというのは俺は許せない。というよりあんまり見つかってほしくないやつがある。

3つ目は今の心配。飢餓である。暴飲暴食を繰り返した俺のわがままボディはすでに歩くことに疲れ嘆いていた。

「リングフィットをもっとやっておけとあれほど。」

息を切らしながら、過去の自分へ悪態づく

「世界を滅ぼすことを願ったから俺だけ別のなにかに飛ばされたのか?くそったれがぁ」

歩き続けて今スマホが指す時間は『11時22分』きりが良い。とそんなどうでもいいことに意味を見出したいほどには余裕があった。

といってもすでにあの8時52分からすでにだいぶ経っている。

これでもまだ道半ばであると遠く見える都市が言っている。

変化のないこの草原にも甚だ飽きてきた。

車でもあれば楽なのに。

そう思っても歩みは止めない。そこで後方からガラガラと音が近づいてくるのが聞こえた。

振り返れば馬車…いやあれば犬?でもでかいな。モンハンのガルク?よりも2周りほどでかい犬に開いた口は塞がらない。デカすぎんだろ…道を譲るように半歩後ろに下がるとそれに乗る人に話しかけられた。

「おう兄ちゃん。こんなところでどうしたんだ。随分珍しい格好してるじゃねぇか。新作の装備か?」

メラニン色素がどっかへすっ飛んでいるかのような底抜けの白い肌が日光を反射して物理的に眩しい。目に毒なそいつを見て思う。異世界ってことでいいかこれ。

「ぼーっと突っ立ってんじゃねぇよ。こんな場所での垂れ死ぬ気か?おーい兄ちゃん。おーーーい。」

ハッとして俺は「すまん。」と一言。

「いやぁまぁなんか気がついたらここにいて…申し訳ないんだが、あの都市に行きたいんだ。どうかつれていってくれないか?」

白い肌のそいつはへぇと呟く。少し考えたあとに

「金…はあるのか?」

と言われるが手持ちは日本円しかない。

「これで足りるなら。」

とおおよそ紙幣など意味がなさそうだったため、10円を見せてみる。

「おうおう。どこの金だこれ?まぁいいか。金はねぇってこったな。よしじゃあ積み荷を下ろす手伝いをしてくれるってんなら乗っていいぜ。」

気前の良い白い肌のそいつは荷台を親指で指して乗るように促す。

「申し訳ない。ありがとう。」

「おう!よろしくなぁ!俺はドンテっていうんだ!ストラバに付いたら荷下ろし頼むぜ。」

ドンテと名乗るそいつは犬の尻をポンポンと叩く。

それが合図だったようで犬は吠えると軽快に走り出した。

「なぁあんた。名前は?」

「あぁ、すまない。俺は向井 奏だ。」

「カナデ…ほおん。さてはお前あれか。日輪の人間か。」

日輪?なんのことかさっぱりわからないが、面倒だったから「そうだ」と答えた。

「それでこの原っぱでくたばってたわけだ。俺が通って運が良かったな!」

ガッハッハ!と笑いながらこの草原を駆け抜ける。そこそこもスピードが出ていて顔面にうける風が心地よい。

「おうにいちゃんいい顔してんねぇ。狗車に乗るのは初めてか?まぁ特等席だからな!いいだろう!」

やけに上機嫌なドンテはまた豪快に笑いながら話しかけてくる。正直まだ考えていたかった。この土地とか場所とか。でもさっき意味のない嘘を言ったために知ったかぶりをしなければならない。

「あーあの今から向かう場所についてなんだが…あそこは都市なのか?」

素っ頓狂な顔をしたドンテは訝しげに眉を上げた。

「んー?いくら日輪からの旅人だとしてもわざわざ海を渡ってきてるんだ。あそこに用があるんだろ?」

会話をミスった。

「あーいやあの都市の向こう側だ。用があるのは…」

と言いながらヤッベェ墓穴掘ったと思った。

「あれの向こう側ってことは…何もねぇな。兄ちゃんひょっとして…いいやちげぇか。そんなレアもんこんな場所にいるはずがねぇ。」

少し嘆息気味に息を吐くとドンテは話し始めた。

都市と思っていた場所はポスタルト共和国の街でストラバという商業区だということ。

商業が盛んでそこに荷下ろしに行くこと

きっと流浪の人間であると思ったのだろう。彼はギルド組合まで同行してそこで冒険者登録をした方がいいと言ってくれた。

そして向こう側にはただ何もない砂浜が広がっているということも

「だからよ兄ちゃん。兄ちゃんがどっから来たとかなんの用事で来たとかそういうのは何も聞かねぇ。野暮ってもんだ。だがよ、あんまりそう嘘言われちゃ悪くしかしねぇぜ。」

図星。キュウと胸が痛くなる。ただそれもそこまで。今まで俺はそうやってぬらりくらりと生きてきた。

「ごめんなさい。今の状況が自分でもイマイチ飲み込めなくて…信じられるかわからないですけど、気がついたらここに居たんです。」

そういうとドンテはハッとした表情をして

「ほー!じゃあ召喚者ってやつか。レアもんだなぁ…神のご加護がありますように。じゃあ荷下ろしが終わったら街案内に飯も付けてやる。少しの間兄ちゃんの時間くれや。」

そう言って狗車はストラバへと向かう。ガタゴトと小気味よく揺れながら。




新キャラ(当たり前)出てきましたねぇ。

誰ですかドンテってドンキホーテですか?ペンギンなんですか?まぁいいです。そんなに関係ないんで。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

ストラバは俺もピンときてません!書きながら固めていきます。

まぁ読み苦しい箇所いくつかありますが、今後もよろしくお願いします!

今後後書きは不定期です!

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