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合宿2

帰り道、夕暮れ時、風に髪がなびく。、それを軽く手で抑える美女。彼女は隣にいるイケメンと言葉を交わす。

「あんたが委員長ってどういうことなのよーーーー」

可愛らしい見た目に似合わない怒声が響いた。

「白雛うるさい」

「"白雛うるさい"っじゃないのよボケ!」

「俺がボケだと……本気で言っているのか?もしそうだとしたらお前はアンポンタンってことに……」

「ならないわよ!!」

整った容姿からは想像の出来ない罵声が飛び交う中、もう疲れたのか諦めたように言った。

「もう、いいわ…だからなんで委員長になったのか教えて」

と少し落ち着いた様子で聞いた。

「………和田って人に喧嘩売られたから買っただけ」

藤はなんともなかった様に答えた。

「もっと詳細に!」

「役割を決める時、和田だけが立候補して俺が推薦された。断ったら、"あなたみたいに責任感のない人にされるのは一番困る。それになんで推薦されるのか分からない"って言われた。」

それを聞いて私はどことなく嬉しくなった。

「なんとなく分かったなー。委員長を引き受けた理由……でもなんで委員長なの?副委員長でも良かったんじゃない?」

当然の疑問だ。和田さんがやる気を持ち立候補したのならそちらが委員長になるのが普通だろう。

「多数決をして決めた結果だけど?」

これはさすがに和田さんが可哀想になってくるな。そんな事を思っていると藤に質問された。

「白雛はなんで副委員長になったんだ?白雛もそういう役割しない方だろ?」

言えるわけない、推薦で委員長になった藤に対して私は同調圧力に敗北したからなんて!数秒考えた後、こう言った。

「委員長の人に指名されて、私も優しいから引き受けちゃった。………とか?」

なんだよ、"とか"って絶対いらなかったよ!!

「…………。」

藤も黙って私の方見てこないでよ!言いたいことは分かるけどさ!

「まぁ、そういう事にしといてやる。白雛は昔から優しいもんな。」

「優しくなんてない。」

反射で返した言葉だった。

「……そういえば俺らのクラス同じグループになったよな」

「えっそうなの?!」

委員長が代表で引いていたので知らなかった事実に驚いた。

「……ククあははははっ」

「なによ知らなかったからって笑うことないじゃない」

「いやそっちじゃなくってお前の顔の方」

にやけ顔でそう言われて、ムカッときた。

「なに?!ブスだって言いたいの?もしそうならその考えを改めるべきよ。私学校でマドンナって噂されてるんだから。」

少し、っていうか結構恥ずかしかった。

「自分で言うのかよ」

「悪い?」

「顔真っ赤」

そんな仕様もない会話をしているといつの間にか家に着いていた。


 後日、ホームルームの時間でクラス内の班分けを行った。なんでこうなったのかな〜。

「みんな知っていると思うけど北川です。よろしくね。」

「小町 白雛です。よろしくお願いします。」

「花岡で〜す。よろしく〜。」

「松田 糸って言いますー。よろしくっ!花岡さんも小町さんも気軽に糸って呼んでいいからね!」

意地でも呼んでやらねぇよ。このヤンキー。

「相田 翔です。こいつのことはフル無視でいいからね。」

「おい酷いって翔ー。」

ここでどうしてこうなったのか説明すると……。

「やぁやぁお一人さん。」

「どうも。お一人さん。」

「うん?私は今この瞬間お二人さんになったけど?」

このように舞とは爆速でチームを組んだ。最近私への態度が雑になってきているが、それは私も同じなのでスルーした。

「最低四人、あと二人どうしますっかねー。希望とかありますかえ?」

「別に誰でもいい。」

口調が特徴的だったが、そこもスルーしていく。

「んー?他の女子たちはこぞって北川狙いっぽいですぞー。次点で松田と相田ですかねー。」

松田 糸。藤とも北川とも違うタイプのイケメンだ。ノリが良いと評判らしい。それに反して相田 陽向はその三人には顔が少し劣るが性格が神の様だということから男女問わず人気な印象だ。

「むむむ!隊長特大情報です。」

「なんだ言ってみろ、花岡小隊長。」

「はい!北川と松田と相田が一緒に班を組むらしいです。」

……マジで言ってる?学年いや校内でもトップレベルのイケメンとして有名なあいつらが同じ班になるなんて女子の間で紛争を起こしたいのか?

「隊長非常に言いにくいんすけど、あそことは組みたくないっす。」

「同感だ。」

そんなことを話していると

「小町さん同じクラスの佐野だけど、班決まった?もしまだなら僕らと組まない?」

この時表情は一切変わらなかったが、私の胸は確かにチクチクしていた。舞の方を見ると、彼女は私に選択権を委ねる様に、にっこり笑っていた。少しばかり戸惑ったが他に組む相手も居ないので了承の意を伝えようと

「………じゃあ、」

よろしくと言いかけた時だった。

「ごめんね佐野くん。小町さんと花岡さんと一緒の班になるって約束してたんだ俺たち。そうでしょ?」

北川が私に視線を送る。私は急な展開に焦って、すぐさま言葉を発することができなかった。

「それ、本当?結構怪しいんだけど。それに、小町さん、どうなの?!」

周囲から視線が集まる。

「……わ、わたしは」

声が震え、喉の奥がジワジワと痛くなり、目頭がジンワリ熱を帯びる。限界だった。その時、

「あははー、ごめんごめん。白雛にはまだ言ってなかったよー。実は私チーム組もうって言われて、了承したんだよねー。だから、ごめん!他を当たってけれない?」

舞がそういうと、佐野達も引き下がって行った。


そして、今に至る。

「なんかうちの空がごめんねー、急にあんなこと言っちゃって」

「誰がお前のだ」

「別に、大丈夫っすよ〜。それに、それを言うなら私にも責任ありますからぁ〜。」

「スルーかよ」

松田と北川と舞は結構良い感じの雰囲気で少しほっとする。

「小町さんは僕たちと同じチームで良かった?」

相田とは、ほぼ初対面だが丁寧に接してくれて、気遣ってくれて、一瞬自分が物語のヒロインになったかの様に思った。これは男女問わず人気が高い理由がわかった気がする。

「うん、予想はしてなかったけど、舞が楽しそうだし、それで十分かな。」

それは紛れもない私の本心だった。そのはずなのに

「そうじゃなくて陽向は小町さん自身がどう思うかを聞いたんだよ。」

北川にど正論を言われて、むかついた。

「皆んなが楽しそうならそれでいいと思う。それが私の答えで、それは変わることは無い。分かってくれた、北川?」

「あっ小町さん呼び捨てじゃーん!俺のことも糸って呼んでも」

「わー!ダメです!下の名前を呼ばれる特権は私唯一のものです。最低でも小隊長クラスに昇格してからにしてください!」

「謎設定だけど、何か意味はあるの?」

そんな和気藹々会話の外で

「分かるわけがねぇだろ臆病ヒナドリが」

という言葉が発せられた。だが、それに気づく者は誰一人としていなかった。


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