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日本陸軍第13戦車中隊  作者: ワンステップバス
第二章 治安維持編
7/9

第六話 異変

前回のあらすじ:岡山で発生した事態は、結局第13戦車中隊の出番は無く、独断で出撃した第15即応機動連隊の活躍により終息した。

だが、それだけでは終わらない。

 1月27日… 07:21… 日本原駐屯地…


「あららー…」


「まぁ、仕方ないと言えば仕方ないですが…」


 事件から2日立った27日。

 第13旅団の豊岡少将と第14旅団の君津少将が降格処分になった。

 前の岡山事件の時の独断行動が原因で降格になってる。

 まぁ、そうだよね。こんなのが認められちゃったら、昔の陸軍みたいになっちゃうもんね。


「世間は独断行動に不安を覚えているみたいですね」


「うん」


「独断で武力行使が認められてしまえば、反乱を起こす事も容易になりますからね。世間の反応は妥当でしょう」


「うん」


「あ、昨日の国会やってますよ。きっとこの話題で持ちきりでしょうね」


「うん」


 私は大尉の言う事に『うん』と返事するしか無かった。

 だって私の思ってる事全部言っちゃうから…。


 〈――では部隊は上層部の許可無く、勝手に出撃したと言う事ですか?〉


 〈美延陸軍大臣〉


 〈お答えします。勝手に出撃した訳ではありません。参謀本部の指示の元、第15即応機動連隊は出撃しました〉


 〈馬場 久則君〉


 〈では何故、部隊は『独断で行動した』と言っているのでしょうか〉


 〈美延陸軍大臣〉


 〈それは、中部方面総監の指示無く行動したからです〉


 〈馬場 久則君〉


 〈えー…中部方面総監の指示無く行動したとは?参謀本部からの指示は受けているのでは?〉


 〈美延陸軍大臣〉


 〈中部方面隊を通さず、直接参謀本部に指示を求めて来ました。それに対し、返答したまでです〉


 〈馬場 久則君〉


 〈何故中部方面隊を通さず、指示を求めたのですか?ご説明下さい〉


 〈美延陸軍大臣〉


 〈そ、それは…えー…〉


 あ、詰まってる詰まってる。

 そりゃ、言えないよね…あの人の信用が無いなんて。


「そう言えば、国会では同性婚の議論が為されてましたが、それ所じゃ無くなりましたね」


「そうだね。これを放置しちゃったら、千里内閣が倒れちゃうかもしれないしね」


 世間は『陸軍暴走の危機』として、この前の岡山を捉えているみたい。

 そのお陰で『銃で武装した集団が日本国内で暴れた』って言う所に目が行っていない。

 うーん、陸軍の暴走に注目するのも良いけど、武装集団が暴れない様にする対策も議論して欲しいな。


「あ、少佐殿。動画の撮影依頼が来ています」


「え?広報?」


「はい。中部方面隊の広報課から来ています」


「うん。分かった。OK出しといて」


「はい。分かりました。後程連絡します」


「そう言えば大尉」


「はい、何でしょう?」


「大尉が失くしたって言ってた、ハンカチ。あったよ」


「!!本当ですか!ど、何処に落ちてました!?」


「PXの近くに落ちてたよ。はい、コレ」


 私は大尉にハンカチを渡す。

 大尉のハンカチは、性格に反して可愛かった。

 白地にクマちゃんの柄。

 誰も、このハンカチが大尉の物だと思わないだろう。

 …タグに書かれている名前を見ない限り。


「あ、ありがとうございます!少佐殿」


「どういたしまして~」


 タッタッタッタッ…


「中隊長!勝山大尉!」


「どうしたの?」「どうした?」


「と、とにかく来てください!」


 切羽詰まった顔で駆け寄って来た府川上等兵。

 どうしたんだろう?



 10分後… 戦車駐車場…

 急いで戦車を止めているへ向かうと、中隊員が1両の戦車に群がっていた。


「どうしたの?皆して群がって」


「道開けて、道開けて」


 中隊員をかき分けて進むと、そこには想像を絶する光景があった。


「だ、誰がやったの?」


「一体誰がやったのでしょう…?1人じゃ到底出来ませんよ…」


「「戦車の分解何て…!」」


 何と、74式が分解されていた。

 ただ、全部分解されてる訳じゃなくて、キャタピラと砲身。

 それと、対空機銃とライトと手すり。

 それ以外にも発煙弾発射機とかが分解されていた。


「この事、大佐殿は知ってるの?」


「はい。3回位聞き返されました」


 大尉が『大佐殿』と言う時は大抵神谷大佐の方。

 杉山大佐を指すことは滅多にない。


「どうしよっか…コレ」


「…さぁ?どうしましょうか。コレ」


「どうしましょうか…って、落ち着きすぎじゃない?」


「えっ?そうでしょうか…?も、もう少し焦った方が良いですかね…?」


「い、いや…そ、そのままでいいよ」


 大尉、これでも焦ってるんだ。


「オイオイ、マジで分解されてるんだけど…」


 神谷大佐が来た。

 苦笑いしながら来た。


「え?誰がやったの?」


 中隊員全員が大佐の質問に、首を横に振る。

 当然、私も大尉も首を横に振る。


「やっぱ名乗り出てくる奴は居ないよなぁ…。警務隊呼ぶk――」


 大佐が警務隊を呼ぼうとしたその瞬間…!


「黙って!!!!」


 大尉が叫んだ。

 大尉が叫ぶ所初めて見た…。


「ちょ、急にどうしt――」


「黙れ!!!」


「ムグググググ」


 大尉がまた叫ぶと同時に私の口を手で塞いできた。

 …大尉の人差し指が私の口の中に入ってるんだけど…。


「っ…!」


 大尉が焦った様子で戦車に飛び乗る。

 そして、車内を覗く。


「爆弾!!!」


「「「「うぇっ!?」」」」


 大尉以外全員驚く。

 当然、私も驚いてる。


「ば、爆弾があるのか!?」


「ありますよ!嘘だと思うなら見ますか!?」


「い、いや…俺は大丈夫…」


「タイマーが無い…これじゃいつ爆発するか分からない…」


 そう言いながら戦車から降りて離れる大尉。


「不発弾処理隊!」


 中隊員の1人が叫ぶ。

 確かに、不発弾処理隊に任せれば爆発せずに終わると思うけど…。

 タイマーが無いから、いつ爆発するか分からない。

 もしかしたら、向かってる途中に爆発するかも…。


「と、取りあえず離れた方が良いんじゃないですか…?他の戦車にも被害が及ばない様にしないと…」


 坂出伍長の言う通り。


「そうだね、戦車を他の所に移動させよう」



 20分後…

 戦車を一応運動場に避難させた。

 そして、当該戦車の周辺には立ち入り制限がかけられた。

 未だ爆弾は爆発しない。


「いつ爆発するんでしょうね、少佐殿」


「うーん…ねぇねぇ、ホントに爆弾だった?ソレ」


「はい。明らかに爆弾の見た目をしていましたよ」


「そっか…ねぇ、大尉」


「はい?」


「何で爆弾があるって気づいたの?」


「音ですよ、音」


「音?」


「ピッ…ピッ…って音がかすかに聞こえたんですよ」


「やっぱり大尉、耳良いんだ」


「い、いえ…それほどでも…」


 顔を赤らめながら言う大尉。可愛いね。


「爆発範囲ってどれ位だと思う?」


「そうですね…見た感じ、広範囲を爆破する程の火薬はありませんでしたね。爆発は車内で収まるでしょう」


「そっか」


 爆発は車内で収まる…。

 大尉の言う事を疑う訳じゃないけど、ちょっとだけ心配。


「今の所、他の場所で見つかったという報告はありません。この1ヶ所だけです」


「皆、血眼(ちまなこ)になって探してるよね」


「えぇ、そうですね。基地内に爆弾が仕掛けられていただけでも大事件。その上複数個所で爆弾が見つかれば…陸軍の名に傷がつきます」


「はぁ…今日は岡山の時以上に大変そう…」


「…頑張りましょう」

お読みいただき、ありがとうございます!

ほんの少しでも「良いね」と思ったらブックマーク、評価の★の方を是非!

(付けると作者が凄い喜ぶよ)

よろしくお願いいたします!

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