第零話 日本原のナナヨン達
ここは岡山県の日本原駐屯地。
第13特科隊・第13戦車中隊・第13高射特科中隊が駐屯している駐屯地。
私はその第13戦車中隊の中隊長。
最近退役が噂されてる74式戦車を運用してる部隊の隊長。
ちょっと、嬉しいような悲しいような。
「少佐殿、ここに居ましたか」
「あれ?勝山大尉?どうしたの?」
この子は勝山 小夜。13戦車中隊の副隊長。私の大事な右腕。
「少佐に目を通してもらいたい書類がありまして」
「どれどれ…」
茶封筒が渡された。
内容は何だろう。
「……へぇ~……」
「?どうかしましたか?」
「私達、横須賀に行かなくちゃ」
「え?横須賀?横須賀って海軍の?」
「そう。海軍の横須賀基地」
「それはまたなんで…?」
「なんか上陸演習をするみたい。その演習に私達が呼ばれたみたい」
「へぇ~、そうなんですか」
「うん」
「それで…横須賀まで行軍ですか?」
「ううん。鉄道連隊で運んでくれるって」
「あの新しく出来た連隊ですか」
「うん」
「…少し心配です」
「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても」
「そ、そうですね」
上陸演習…ちょっと楽しみ。
今まで演習場でしか演習した事無かったから、ほんのちょっと楽しみ。
揚陸艦…だっけ、乗れるのかな?
「移動は、2週間後みたい」
「2週間後ですか。結構期間がありますね」
「うん。多分、初めての鉄道連隊の任務だからね。鉄道会社側と色々話してるんじゃないかな」
「恐らく」
「じゃぁ、中隊の皆に話そっか」
「はい」
20分後…
私は中隊員を集めてこの事を話した。
中隊員の反応は様々だった。
驚いて声が出ない隊員に、興奮しすぎて半ば発狂している隊員、その場で震えてる隊員。
十人十色だね。
「少佐殿、上陸演習。頑張りましょうね!」
「うん。頑張ろうね」
2週間後…
いよいよ横須賀に行く日が来た。
隊員達は皆興奮してたけど、私は不思議と落ち着いていた。
まずは新しく出来た高野貨物駅に行く。
そこで、戦車と弾薬、それと私達を列車に載せる。
「中隊!前進!」
ブロロロロ… ブォォォォォォ…
正門から出て、国道53号線を西へ。
駅に向かう。私は列車の事はよく分かんないけど、戦車や弾薬を載せるには特別な駅が必要って事位は私でも分かる。
「中隊各車、車間距離3mを厳守」
普通の車とは違うエンジン音を轟かせながら、駅へ向かって進む。
演習場の前を通り過ぎて、少しすると街の中に入る。
歩いてる人達がスマホで写真を撮ってる。
珍しいもんね。公道を走る戦車って。
「少佐殿、人気者ですね」
「そうだね、大尉」
[中隊長!今回演習に参加する部隊は何でしょう!]
「えーっとね、海軍側はまだ聞いてないんだけど…陸軍側は、私達と第8歩兵科連隊が参加するよ」
[了解!]
第8歩兵科連隊って米子だから…もう乗ってるのかな?
30分後… 13:12・・・ 高野貨物駅…
「少佐殿、積み込み準備完了しました」
「了解。後は列車が来るのを待つだけね」
「はい」
「列車は快適かな?」
「だと良いですね」
丸一日の移動だから、快適な列車がいいな。
到着は明日の朝7時になるみたい。
フィィィィッ!
「!?」
「来たみたいですよ」
ガタン…ガタン…ガタン…。キィィィィ…。
迷彩色をした機関車…迷彩色をした車両…。
これが鉄道連隊…!
初めて見る鉄道連隊に驚いてると、列車の中から1人降りて駆け寄って来た。
「第13戦車中隊の新見少佐ですね?」
「はい。貴方は?」
「私はこの第9鉄道連隊の連隊長を務めております、大津 蒼井と申します」
「私は…既に存じ上げてるかもしれませんが、第13戦車中隊の中隊長の新見 凛です」
「新見少佐、宜しく」
「えぇ、こちらこそ。大津大佐」
「車内へご案内いたします。こちらへどうぞ」
「はい」
私が呼びかけなくても、中隊員達は私に付いてきた。
…快適な車内だといいな。
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