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4/4

満足ぅ?


「楽しかった~!」


「それは何よりです」


 2人だけの人生ゲームは彼女の圧勝だった。俺は序盤から借金を背負わされて人生積んでいた。


「面白いね! 満足したから連鎖反応が止まったよ! また遊ぼうね!」


「それはいいけど……いつまでこの家にいるつもりなんだ?」


 核爆発が起きる前に何度も「ご機嫌麗しゅうございますか」と、遊び相手になるのは精神がすり減る。やってられるかというのが本音だ。


「わかんない。いつ研究所の人たちがアタシのことを見つけるか、時間との勝負だったり?」


 追われ身。それもそうか。国家機密の核エネルギーを扱う人型ロボット(?)なのだから。


 ――って、ちょっと待て。そうなると、俺は誘拐罪とか国家転覆罪とかで刑務所送りにされるのではなかろうか。呑気に人生ゲームしている場合じゃないのかもしれない。


「とにかく、アタシがここにいる間は、定期的にアタシのご機嫌をとってね……お兄ぃさん♡」


「はいはい、世界平和の為に頑張りますよ」


 今後どうするべきか胃の痛みを感じていると、ピンポーン♪とチャイムが鳴った。


 インターホンを見ると、午前中に来ていた配達員が立っていた。


『お届け物で~す』


 玄関に出向くと、彼の足元には既視感のある大きさをした段ボール箱が存在していた。送り主は親父。


「ども、またお荷物っス」


「その荷物って重いですか?」


「っスね」


「ああ……」


 リビングまで運ぶ。


 カッターで切れ込みを入れようとした瞬間、段ボール箱が大きく震えた。


 なんだこの展開。見たことがあるぞ。


 リビングに置いたままだった傘を使ってツンツンと段ボール箱に刺激を与える。すると、段ボール箱が小刻みに震えた。


 アマテラスに目をやると、ニコニコとした笑顔をこちらに向けていた。恐らく、中身が何であるのか知っているのだ。


 再びカッターを手に、段ボール箱に近づく。


 ガムテープに刃が触れた瞬間、黒い影が勢いよく段ボール箱から飛び出した。


「うわぁっ!」


 腰を抜かして床にひっくり返った。


 なんだこの状況、午前中にあった出来事とまるっきり同じじゃないか。


 悪寒に襲われつつ、やはり段ボール箱に存在していた何かを確かめるために顔を上にあげる。そこにはまたも女子小学生が存在して、俺を見つめていた。ただし、今度はゴシックロリータの衣装を着こみ、ピンクのランドセルを背負った奇抜な恰好で彼女は告げる。


「お初にお目にかかります。私は自立式機密実験兵器磁場型二号機【じゃ】と申します。地球の破壊を阻止するのであれば、お兄様が私を満足させてください」


「………………勘弁してくれよ」


 どうやら、世界平和にまだまだ時間がかかるようだ。




< 完 >






読んでくれてありがとう

はばーないすでい

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