溺愛夫が大体解決してくれる件
ボールペンの中身が確かこうなってたような……という図を書いたところ、この世界ではまだない材質で難しいみたいな事を言っていたサフィールだった。まぁ、そうだよねぇ。
それを見ながら少し考え込んでいたメーティスが「インクを吸い上げて、こういう風にペン先を作ればインクが流れるんじゃないか?」と言いながらすらすらと設計図みたいなものを書きはじめる。
「なるほど……職人たちに聞いてみます」
「ある程度形になったら見せてくれるかい?こちらでも支援金は出すので、ノエルのために早めに一本仕上げて欲しい」
というか、素人のよくわからない説明でわかるの?大丈夫?私は単に最近出すことの増えた書状や手紙や招待状で面倒なものを横着しようとしているだけなので無理なら無理で大丈夫なんだけど。
……でもメーティスの書いた設計図をギラギラした目で見るサフィール的にいけそうな感じもするなぁ。「売れる!」っていう目だ。
「サフィール、実家に戻ったほうが輝くのでは?」
「とんでもない!奥様ってばたまにぽんと売れそうな商品の話をしてくださるのでここにいた方が楽しいです。それに俺はこれを全部実家に投げて終わりですからね」
伝達係か。
それにしても別に私はそんな話した覚えないんだけど。夏は冷えた飲み物が飲みたいって言ったら魔石を使用した冷蔵庫を作ってくれたり、足が冷えるって言ったらもこもこの素材を狩ってきて靴下や膝掛け、ショールを注文してくれたりするメーティスがすごいのでは?公爵がわざわざ一狩り行くのはヤバいと思うけど、そこいらの冒険者よりメーティスのが強いからなんとも。
他にもなんか何も食べれなくて液体だけしか口にできなかった時もミキサーみたいなの作ってくれたなぁ。でも、肉類をミキサーするのはマジでやめて。
「奥様を大事にする旦那様の発想力と行動力のが商品に繋がってる気がするんだけど……」
クロウはそう言いながらお茶を用意してくれた。
なんだか言葉遣いはまだアレだけど、すっかり執事が板についた気がする。
「そうだな!でもそういうのがあるから辞めらんねぇんだよな!」
楽しそうに笑うサフィールに、溜息を吐くリナリア。
久しぶりの軽口に少しホッとする。すると、ランティスの泣き声が聞こえて立ち上がる。
「僕が見てくるよ」
「ふふ、では二人で行きませんか?」
手を取り合ってランティスのところへ行き、抱き上げて戻るとその頃にはスヤァってなっていた。いつも思うんだけど、子供の寝かしつけってめちゃくちゃ大変だって聞くんだけど、うちの子達全然そんなことないなぁ。
「奥様が抱っこするとすぐに泣き止みますね」
不思議そうな顔でエレナはそう言った。
うん。私以外が抱き上げると不思議とびっくりするくらい泣くんだよね。
謎だなぁ。
メーティスは他にもなんか色々作ってくれる。だからノエルは本気で快適に異世界生活を送ってたりする。
そして、その結果ラティスにもそこそこの恩恵が与えられてたりするので皇族からも有り難がられている。




