忙しくしている件
最近は何故か皇女殿下たちとお会いする機会もそこそこに多い。元気になったらなったで、遠方の瘴気で苦しむ方々のために宝石を使った浄化アイテムを手配していたりとか、子供たちのための衣類に刺繍を入れたりだとかでそこそこ忙しくしている。
あとは最近はたまにお茶会を開いたりはしている。やっぱり、リーリアのために社交は頑張っておかないと私のせいで馬鹿にされたら許せないしねぇ。
目に映りやすいのがヤバいやつばっかりだったけれど、お会いした方々は基本的に良心的だ。まぁ、心のうちでなんて言ってるかは知りませんけど。人間って怖い生き物だし。
それもあって、ガラテア王国が今喪に服しているとかそんな話も入ってくるようになった。
クロード殿下は即位したらしい。王妃に据えられたのはアニータらしい。ルイーゼさんじゃなくてホッとしたけど、一体何をしたの彼女は。でもあれと仕事してたら呪いじゃなくても禿げる。ストレスで。なんかハゲから薄毛くらいに戻ったらしいし、ルイーゼさん王妃にするのやめといてよかったと思う。
アニータは元気な女の子を出産したらしい。彼女と同じ赤い髪と、クロード殿下そっくりの顔。誰もクロード殿下の子であることを疑うことはない。
一方、妊娠の兆しが全くないルイーゼさん。今大暴れ。
と同時に、影に見られているとも知らず幼馴染二人と結構爛れた関係になっているらしい。
男の方って好きな女の人を共用するのって有りなの?そう、ついメーティスに聞くと。
「今後、来た手紙は僕が最初に読むね。あと、僕は絶対に無理」
そうにっこりと笑いながら言われて、「わたくしも無理ですわね」と頷いた。現代に生きてきた元JK的に言うと、周囲に異性を侍らせる女の子がいなかったと言えば嘘になるけれど、正直これどうなのかしらって思うな。
顔の良い男を侍らすのって楽しいの?私はメーティス以外あんまり格好良く見えないんだけど。顔が整っているなぁとかは思うけど。考え方は人それぞれか。
「ところで、ノエル。最近少し寒くなってきて乾燥しがちだろう?加湿器を改良してみたんだ」
メーティスが2回手を叩くと、クロウがそれを部屋に運んできた。前のよりコロンとして小型化している。なんだか可愛い。
「まぁ。可愛い」
「快適に過ごせるように空気を温める魔道具も再開発したんだ。寒い夜に君と寄り添い合って眠るのも悪くはないけれどね」
そう言って手を取られる。
なんか、いつまで経ってもメーティスは素敵な旦那様だなぁ。
「ねぇ、たまには僕のことも構って欲しいな。僕の可愛い奥さん」
そういえば、最近はお母さん業をせっせとしてあんまり二人の時間取れてなかったなぁ。
そうね!と笑ってメーティスが好きな銘柄のワインとかを持ち込んで二人でゆっくり過ごそうとしたら、久しぶりに腰の鈍痛と一緒に目を覚ますことになった。
あれ?
そう簡単に髪は戻らない。
執行猶予期間中なので呪い自体は止まってる。このまま頑張ればふさふさに戻れる。
ルイーゼは引き続き周囲に煽られてヒステリーを起こしている。




