子供の命は狙われたくない件
弟の世話を焼こうとちょろちょろしているリーリアは本当にかわいい。
あと、刺繍は秒速でお役立ちした。やめてよ。そういうので忠誠心集めたくない。私は平穏に穏便に生きていきたい。幸せになりたい。あ、幸せでした!!
愛する人に甘やかされて可愛い子ども二人いて非常に恵まれた生活を送っています。でも子供の命を狙われたくない。
ただ、変に上を目指すとろくなことにならない。そういうことをルイーゼさんが体現している。
クロード殿下だけで我慢しておけば将来安泰溺愛生活だっただろうになぁ。
なんか、アニータが妊娠してるらしいのであと半年無事に過ごせば初の子どもが産まれる。一方彼女にはその兆しはないらしい。アニータの手紙が届くようになって嬉しい。前回の手紙にお守りを入れておいたし、少しだけ女神様にお祈りしておいたので母子共に元気で臨んでほしい。私みたいにキツいのは辛い。ふ、二人目は楽だとイイナー!
まだもう少し間は空けてもらうつもりだし、メーティスは妊娠時の私の様子を見て躊躇しているっぽいけど将来的には二人目欲しいんですよね。
「奥様、お茶会などの主催はされないのですか?」
「今不用意に屋敷に人を招き入れることはしたくありません。ランティスも産まれたばかりですし」
尋ねてきたメイドが去ったので同時にクロウの名前を呼ぶ。それにエレナは顔を顰めたけれど仕方がない。
「あの子、調べてくれる?」
「かしこまりました」
苦笑するクロウにお願いね、と微笑みかける。
「お披露目もまだなのにお茶会を勧めてくるのは少し気にかかるわ。念入りにね」
私は家族に何かあったら絶対許さないので。リナリアがそっとカップにお茶を注いでくれる。
「疲れておいでのようでしたので、甘いものも用意致しました」
心遣いにホッとする。
産後、より一層神経質になった気はしている。
「目当てが自分ならここまでしないのだけれど……」
小さな子の生死がかかっているとどうしてもそうなってしまう。メーティスも気にかけてくれてはいるのだけど、お仕事もあるし。なんか爵位にはこういうのが付き纏うものなのかなぁ。
「周囲が敵、という状況が多かったからどこまで信用して良いものか」
「利害関係を調べてみると良いかもしれませんね」
エレナの言葉に頷く。確かに、今の状況が嬉しい人もいれば忌々しく思う人もいるだろう。
私ってば結構利己的な性格なので、あんまり周囲に目が行かないんだよなぁ。苦笑して教えを請うと、エレナがリストを作ってくれた。もう少し体調が安定しないと催し物はキツい。勉強と体調の都合も考えながら詳しい夫人たちを招くようにしたいと言うと、エレナは微笑んで頷いた。
なお、メイドは黒だったのでクビにした。
「自分はまぁ…女神様が守ってくれるし」と思っているのが透けて見えるので過保護気味になる夫。




