見守る目は多い方が良い件
完成したものを見ながら、聖女の能力ってデタラメみたいな強さね、と感心した。そりゃ狙われるわけだ。
リーリア用に洗い替え含めて5枚。ランティス用に産着に小さめの刺繍を5枚。ブランに聞いた方法で作ったそれを毎日ちゃんと身につけるようにさせた。小さいとはいえ流石に公爵令嬢の着るものに刺繍を入れる度胸はなかった。リーリアのものはセラに、ランティスのものはエレナに管理をお願いする。鍵もかけろってちゃんと言っておいた。
「……奥様はどうしてお嬢様に気を配られるのですか?」
「小さな子を傷つけたくないのは当然ではなくて?」
説明した時にセラにそう言われたので返答すると、難しい顔をしていた。彼女はリーリアの生母と乳兄弟だったらしい。そのまま侍女として、リーリアの乳母として残ってくれたとの事なのだけれど、その実情は知らない。リーリアにとって害にならぬのならそれでいい。
「ランティス様にとって、お嬢様は邪魔なはずです」
その言葉に、確かにそうだと思う。
それと同時に、それとこれは別だしなぁとも考える。
「だからって人倫にもとる行為を是とはしないわ。これは仮初の爵位。余程の愚か者に育たぬ限り、公爵家は未来のリーリアのものです」
最初から説明されてたしね。私自身は現段階では心配してたほど、暴走しなかった。そりゃあ息子は可愛いけれど、リーリアだって可愛い娘だし。
「奪われたものが大きいのなら、その未来がより良いものであれば。そう願っているわ」
弟以外との家族仲がそこまで良くなかった気がする私でも、たまにあの子は元気だろうか、風邪は引いてないかしら、無茶を言われていないかしら。そう思ってしまうのだ。奪われたのならその先にもっと良いご褒美がないとやってられない。いやまぁ正直爵位がご褒美になるかはわからないけど。
「そうですか……」
心なしかホッとしたような顔のセラ。
何にせよ、あの子にも味方がいるのならそれに越したことはない。
「とはいえ、わたくしだって人間です。いつか考え方が変わるかもしれません。その時はどうか、リーリアを守ってあげてね」
「かしこまりました。必ずや」
子供を見守る目線は多いに越したことないよね!事故死とかやめてほしい。幼児に多いって聞いた。




