思ったよりキツい件
なんだか両国の権力争い的なものに知らないうちに巻き込まれていたらしい私は現在つわりというものに悩まされている。
キツい、辛いみたいなことは聞いたことがあった。けれどそれはどこか他人事で、実際に体験してみると、私が気分が楽になるようにと魔法かけた時に救われたような顔をした彼女たちの表情のわけが痛いほどわかる。
一方、自分に魔法はかけられるけど、そんな余裕がない私はリナリアに付き添われて死にそう。医者には申し訳なさそうに「つわりが始まる時期は個人差はあまりないのですが、終わる時期になると多少個人差が……」と言われてなかなか終わらない可能性に崩れ落ちた。一応は12〜3週くらいで終わる人が多いらしい。なんだかまだ先の長い話である。
世の中の妊婦さん、お母さんにはリスペクトの気持ちしか起きない。
「妊娠がこんなに大変だなんて……」
産んだ後の事は不安が大きかったのだけれど、子供をお腹で育てる事自体がここまで大変だなんて思わなかった。
吐くからって食事を取らなければお腹の子供に悪い。
リーリアだって寂しがって泣くからなるべくそばにいるようにはしている。
「世間のお母さんはこの時期をどうしているというの…!?」
「貴族は基本的に乳母がつきますので…」
「うちも金はあったから人を雇ってたな」
「放っといて死ななかったヤツだけが育つ」
落差がやばい。最後のクロウの言葉に、「子育て支援政策立てなきゃ」と思った。まぁ、私って権力ないのでそんなことできませんけどね!!
口を濯いでから果実水をもらう。
一口飲むと結構温い。身体を冷やすのは良くないらしいからやらないけど、冷やしたほうが多分美味しい。
「今でしたら何か食べられそうですか?」
そう聞かれて、少し考えてから頷いた。
今は少しでも栄養をとって欲しいとメーティスは私が食べられるものを必死に探してくれたりもしている。忙しいのにありがたい話である。
しばらくはもう巻き込まれ案件はないだろう。
なんやかんやこっちの国の公爵家に入ったので私たちが国を出るという心配が減ったことにも起因しているとは思う。
もう一つ、ガラテア王国に関してはクロード殿下もやる気になっているしロージア兄妹が付いている以上悪いことにはならないと思う。
健康に気をつけて、良い子を産む。それだけを考えていればいいんだけど結構大変だなぁ。ほんと。
そして私は今日も帰ってきた夫に甘やかされて生活を送るのです。




