パーティーに出席した件
なんか、皇妃殿下の誕生パーティーがあるらしい。
妊娠を公にすると余計なちょっかいとかもあるらしいのでまだ隠している。そのため、とりあえず参加しないといけないらしい。というわけで出ることになっちゃった。
お腹の部分は締め付けないデザインのそれはコルセットを着けないようになっている。メーティスが真剣に選んだアクセサリーを身に着けると、魔法が発動した。何の魔法かは分からないけれど、きっと私の身を守るものだと思う。
「本当は大事な時期の君を連れて行きたくはないんだけど……」
「あなたがこれだけ心配してくれる。それだけで十分ですわ」
心配そうな顔の彼だけれど、対策とかも必死にとってくれていると思う。この世界で一番私を思ってくれる人なので。この人を信用できなければこの世界滅びていいと思う。
手を引かれて馬車に乗り、城へと向かう。
その存在を強調するような壮麗な造りだ。
その周囲には湖があり、城が映える。城の入り口に見える庭園には今は秋の花が咲く。
城の入り口に馬車をつけると、使用人が招待状を確認してその扉を開いた。
魔力で動いているというシャンデリアは眩いばかりの光を放ち、内部の豪奢な装飾に驚くばかりだ。
気分は完全に上京したての子、という感じだけど一応公爵夫人になったのであくまで表情には出さない。アリシア様の教育が生きている今日この頃である。
会場となっている広間は一層華やかだ。
美しく舞うドレス、上品かつ高価そうな調度品、立食パーティー用の色合いも鮮やかな料理。どれをとっても一級品であることが教養の少ない私にもわかる。
一応、このような場では身分の高い人に自分から話しかけに行くのははしたないとされているので私たちは基本的に話しかけられない。
気遣うようなメーティスの視線に驚いている人も見るけれど、一体外でどんな態度をとっているのか気になってしまう。基本的にメーティスは真面目なだけなのでそこまで恐ろしいことを行ったりはしていないはずなのだけれど。
「ノインシュタイン卿!」
深紅のドレスを身に纏う派手な女性が話しかけてきた。メーティスを見て頬を染めている。対するメーティスは彼女を見てすらいなかった。袖を引いて促すと、どうでもよさそうな顔になっている。…社交向いてないな。でも外ではうまいことやってるって皇太子直々に聞いてるんだけどなぁ。
「ミシェリア侯爵令嬢、何か用だろうか」
冷たい。
けど、私にはそんな顔見せないのでなんというか…たまに見るとそんなメーティスも格好いい気がする。惚れた弱み、かしら。
ミシェリア侯爵令嬢とやらは私を見て鼻で笑った後、ダンスを申し込んできたけれど、メーティスは「妻としか踊るつもりはないんだ」と私の手を引いた。
「この方、わたくしのことしか見えませんの」
ごめんあそばせ。
通りすがりに小声で言うと睨まれた。
「ノエル」
「わたくし、自分以外があなたの手を取るのが許せませんの。心が狭い、とお怒りになります?」
「いや、僕も同じ気持ちだよ」
そんなこと言われると調子に乗っちゃう!




