治療が終わった件
まさかの緊急治療が終わり、ホッとしているとメーティスがこのお兄さんが「アイザック・フォリア」……ルイーゼ兄だと言い出した。
えっ、ホント?似てなくない!?
ルイーゼさんサラッサラの金髪だけど、こっちは割と傷んだ感じの朱い髪。瞳は確かルイーゼさんは桃色だった気がするけれど、こっちは碧眼だ。
「ああ、彼とあの女は母親が違うからね。アイザックの母親は彼を産んだ次の年に亡くなっている」
アイザックさんもルイーゼさんも母親似なんだって。
政略結婚だったアイザック母よりも、恋愛結婚のルイーゼ母の方が好きだったらしく、公爵はアイザックさんを邪険にしがちだったらしい。いやまぁ、兄弟でも優先順位ってあるもんだよねぇ。私の家も弟最優先でした。顔か?顔が綺麗だからか?
弟は他の家族よりは私優先だったけど。確か「姉ちゃん以外、俺への接し方が気持ち悪い」だったかな。顔が綺麗なのも大変なのかもしれない。無事を祈る。
それにしても、これ黒瘴石の効果だった気がするんだけど大丈夫かな?本人が気合いで自分の身体から漏れないように魔力で瘴気を覆っていたようだけど。
そう考えていると、ブランに「周囲への影響はないよ」と言われた。それじゃあいいや。
「でも、こんな時間に急患に来られても、僕がノエルと二人の時間が減ってしまうから困るね」
「ふふ、ごめんなさいね。けど、命には代えられませんもの」
近くで死なれると寝覚め悪いし、ブランが連れてきたんだったら悪い人じゃないと思う。
メーティスとの時間は一番大切だけれどね!!
「君も疲れているだろうしもう寝なさい?彼は僕が見ているよ」
「いいえ、メーティスは明日もおしご……」
仕事だから休んで、って言おうとしたら唇が重なっていた。
「君が僕以外の看病をする方が寛げないよ。たまには年上らしく頼られたいな」
メーティスは爽やかに笑った。ギュ……と、胸が締め付けられる。私の夫が今日もこんなに格好良い。
私だけに見せるその微笑みが好みにクリーンヒットな事に気づかれている気がする。本当に誰だ私のメーティスが地味とか言ったやつ。どこが地味なの。ときめき製造のプロだとしか言いようがないじゃない。
「メーティス生涯どころか永遠に推せる……」
部屋を出てから、思わずそう呟いてしまった。
こんなの好きにならない人いるの?この魅力を知って欲しい気持ちちょっとあるけど、私だけのメーティスなので知らないで欲しい気持ちもある。
これが…独占欲!!
割と初めての感情に擽ったい気持ちが残った。




