夫以外の男に興味がない件
サフィールに指輪とか結婚云々を聞かれた私は素直にちゃんと答えておきました。なんというか、商売に目が向くのすごいな。私はただの憧れでおねだりしたけれど、そういえば指輪買うならジュエリーショップとかにお金が回るものだものね。
そして左手薬指にメーティス自ら指輪をはめてくれたので私はハッピーです!
追放しやがったのは絶許だけどメーティスを私の夫にしてくれたのだけは感謝してやろう!…ちょっと偉そうだな、私。
マリアンヌちゃんも髪が生えてきて嬉しそうだ。ヴェールをした彼女を笑う人もいるみたいだけれど、彼女自身は治っているので気楽にしている。
そんな中、一応治癒師を名乗ってたまに治療を行う事にしたのだけれど、貴族っぽいのが紛れ込んでる時がある。
なんか、優秀な治癒師はお抱えにしたがる人もいるらしい。いや困る。
いつも通りに基本的には治癒師雇える程度の人は他に回している。
これ、慈善事業なので。薬案件になったら流石にお金もらうけど。
でも、最近しつこいのがいる。
オズワルド・キャヴァリアという男だ。
焦げ茶色の髪でワイルド系?のイケメン風?のチャラ男なんだけど、結構爵位高い家の人らしくって指名してくる。
うるせーここはキャバクラじゃないんだぞ!って言いたくなる距離感のクソ野郎だ。
ちょっと近寄られるとゾゾッとするからいない振りか来た瞬間帰宅している。だって、私メーティスに愛されているので十分だし。
他の治癒師の女の子は「あんなにカッコいい人に追いかけられてるのに何が嫌なの?」って言ってくるけど私はメーティス以外の男とか興味ないし地味顔なのはわかっているので何か下心を感じるのだ。とりあえず「私の夫以上にカッコいい人いないから」とにっこり笑っておいた。
なんか連日来るので、見た瞬間教会から消えてる。この件についてメーティスに伝えたら「斬ろう」と真顔で言ってきたのでそれは流石に止めておいた。物騒である。
でもそれだけ想ってくれるメーティス大好きなので、メーティスに持ってこられたとかいう女からの差し入れのお菓子許せない。私は心が狭いので。
「そうだ。明日、休みなんだ。ノエル、一緒に出掛けないか?」
「良いんですか!?嬉しいです」
おしゃれしないと、とリナリアを呼んで服を一緒に選び始めた。
デート、デートだ!!
「奥様、本当に旦那様が好きですね」
「今日も僕の妻が愛しすぎる」
赤くなっているであろう顔を隠すように覆ってそう言えば、サフィールが「はいはいご馳走様です」と棒読みで答えた。
「それで、クロウはいるか」
「ここに」
「ラティスのところまで行って来い。あんな輩が僕の妻を口説こうなんてどういうつもりだ」
まぁ、僕の妻は愛らしくも清廉で美しく、類稀な慈愛を持つ聖女だから目を引かれるのは仕方がない。
それは許すとか許さないとかとは別物だけれど。
僕の瞳の色を指にはめると、本当に嬉しそうに彼女は表情を緩めた。
薄紅の頬と、その指先に口付けて愛を伝えれば、その可愛らしい唇から「私も愛しています」と夢のような言葉が紡がれる。
「相思相愛になれたというのに、余計な茶々入れをしようと言うんだ。とりあえずあいつには持ち場を離れられないほど忙しくなってでももらわなければ気が済まない」
「お二方って割と報復を物騒な方向に考えないあたりがそっくりですよね」




