憧れが現実になりそうな件
うっかり治したのがメーティスの知り合いの妹でした!!死にそうなのを治癒したからか兄妹二人ともにギャン泣きされてしまいちょっと困惑した。
一方、メーティスは安定のメーティスだった。メーティスの私LOVEっぷりは本当にブレないなって思うし、私以外の女には塩なメーティス最高に好きです。愛の力で心なしか魔法パワー強くなってる気がします。
しばらく通えって言ったからかマリアンヌというらしい彼女は毎週末にアーロンさんと一緒に訪ねてくる。
婚約者が嫌なやつだったらしいので「婚約破棄になってよかったですね」って言ってしまった。クズに捕まると碌なことにならないので。
「髪ももう生えないと言われておりましたのに」
「これも女神様のご加護にございます」
この国でも女神様が祀られているのでしっかりと株を上げておいた。なんかわかんないけど、夢で女性の声で「わたくしの信者を増やしてくれてありがとう」って言われたのでこれもまぁ、喜んでくれるかもしれない。でもとりあえず儚げな美少女を野放しにすると危害食らうって学んだから「顔がまだ見せられないってことでヴェール被る?」と聞いてみたところ彼女は頷いた。お兄ちゃんにもっと良い男選んでもらって欲しい。私の旦那様はダメです。あれは私だけの夫なので!
ちなみにアーロンさんはラティスフォード殿下に取り込まれた。
殿下に「ああ、メイの嫁の副業で聖女をやっているノエル殿か」と言われたらしくすっかり聖女だとバレた。まぁ、そこまで隠してるわけでもないし。ただ、メインはメーティスのお嫁さんってだけの事なので。
おかげで聖女ガチ勢聖女は夫と離すべきではない過激派になってるんだと。悪意を弾くお守りをそれとなくマリアンヌちゃんにつけておいたおかげで現状、驚くくらいイキイキ仕事をしてるってメーティスが言ってた。
ラティスフォード殿下は優秀な部下がひきこめてニッコニコである。
「弟に跡目継がせて傀儡にしようとした奴らもそろそろ吊し上げできそうだし、いやぁ、優秀な人材が沢山いると仕事が楽だよな!」
「人の家で他人の嫁に茶を入れさせて寛ぐんじゃない」
丸めた紙でパシンと皇太子の頭を叩くメーティス。たまたまリナリアがお買い物に行ってくれてたので私がお茶を出したんだけど、それがまぁ気に入られたようだ。アリシア様のスパルタ特訓ってちょくちょく役に立つよな。これクリアしてないならルイーゼさんめちゃくちゃ苦労してんじゃないの?やっぱり真面目って美徳なのかもしれない。
「それにしても、聖女の力がこれほどとは思っておりませんでした」
「聖女なんて言われても欠損部位はそのままですし、死んだものは生き返りません。稀にそういう無理を言う方がいらっしゃるのですが…」
「ああ、だから自らすすんでは聖女を名乗られないのですね」
そう。何故だかわからないけれど、世の中にはそういう奇跡を期待する方もいるのだ。死んだ嫁も旦那も子供も婚約者も何もかも生き返らない。まぁ、アンデッドになるのを阻止することはできるけれどね。
「奇跡を期待するのは勝手ですが、できない事をやれと言われて人質を取られようものなら、私はきっとそれらを許せないでしょう」
隠してはいないけれど、大っぴらに騒ぎもしないのは多少そういうところもある。
「だが、その力のおかげで助かったのも確かだ。褒美をやろう。何が良い」
「いえ、別に……」
ラティスフォード殿下の役に立ちたかったわけじゃないからなぁ。
「では、メイに金を渡しておこう。夫君に強請るといい」
「あら!メーティスからであれば欲しいものがあります!」
こういうちょっと平和な時に言っておいた方が良いよね、と彼に向き直る。
「私、二人で揃いでつけられるような指輪が欲しいのです」
「指輪、かい?」
「ええ。私の故郷では、結婚する時にお揃いの指輪を交換する事が多くて、私も結婚式で指輪の交換をするのが夢だったのです」
ちょっと照れるけれど、いつかはきっとと思っていたのでこちらにそういう風習がなかった時はちょっとどころかかなりガッカリした。
「ダメ…でしょうか?」
「そんなわけないだろう?どの指か、なども決まっているのかい?きっと、君に似合うものを用意しよう」
「左手の薬指です!相手の心を強くつかむ、という意味があるそうです」
「うっ……僕の妻がこんなにも可愛い……」
「メイのこんな姿を見る日が来るとはな」
「いやぁ、まったくですよ。ところでもっと詳しく聴きたいところですね。この風習流行るかもしれません。早めに商売に紐付けしたいとこです」
「そうか」
「はい。ラティスフォード殿下の結婚式でやってもらえれば一発だと思うんですけど」
「……騎士になった変わり種と聞いていたがやはり中身は商売人か」
なんか買ってくれるらしいのでやったー!あとサフィールがなんかジリジリこっちに近づいてくるのなんで?




