表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚された聖女は穏便に幸せになりたい  作者: 雪菊
聖女、引っ越しました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/112

夫の特別なのが嬉しい件



隣国へと移ってきた私たちはすぐに冒険者ギルドで登録を行い、寄ってくる女を威嚇するまでもなくメーティス本人が私の見たことないような凍てつくような視線で追い払っていた。

氷のプリンスの意味を知りながら、ラビニア帝国の首都を目指した。


まさかあんな目で見られている人がいるなんて思わないじゃん。私が特別なのかーってほっこりしたけど。私のことが一番なメーティス超好き…。

惚れなおしてしまった。


なぜならこの世界の人間の一番は往々にして私ではないので。

そりゃ、出会ったばかりの女の子より自分の家族が大事だし、私が上に睨まれてりゃ助けてくれませんよねー。メーティスは何があっても助けてくれると思うけど。メーティス以外の王族の倫理観どうなってんの?

いや、この世界ではこんなものなのだろうか?


そして、依頼を受けてお金を稼ぎながらなんとか辿り着いた帝都で宝石とかを売ったりして作った資金で家を借り、冒険者稼業を本格始動することになった。サフィールの実家がこちらに店を出していたのはラッキーだった。妹さん幸せそうだったよ、やったね。


シルヴィー商会っていうとこだった。意外と大きい家だったので、「護衛より実家戻った方が多分良いよ」と言うと、「俺は旦那様と奥様が平穏で裕福な生活を送るのを見届けるまでが使命なので」とサフィールは笑った。なんだその使命。メーティスも同じ顔をしていた。


登録した時はFランクスタートだった冒険者ランクはCまで上がっている。なお、Cまでであれば急にランクが上がるのは珍しい話ではないらしい。

ちなみにだけれど、リナリアは元気に炎をぶちかましている。魔法に対する適性が凄まじい。

サフィールが「魔術師団が知ったら全力で引き込みにかかっただろうなぁ」と言うくらいには才能があった。


曰く、お金を実家の父親に使い込まれて学校に途中で通えなくなったので魔法をあまり勉強できなかったらしい。理由は賭け事。しかも、王宮での仕事が見つかってなかったら娼館に売られる手筈になっていたらしい。


気にするなってこういうことかぁ。


ということは、巻き込んで一緒にお勉強してもらってたのもリナリアの言う恩のうちなのかもしれない。真面目な良い子だし。



「というわけで、家借りるとこまできましたけど、次の目標は?」

「資金を貯めて魔道具店でも開こうかな」

「素敵ですね」

「ありがとう。でも、ノエルの力を思うと診療所の方がいいかい?」

「いいえ、メーティスと違って私のは特にやりたい事というわけではありませんので」



うん。私のは見捨てるのもなんかなぁ、って気持ちからいけそうなら手を出しているだけだからね。

私に対する清純なイメージは早めに捨てておいた方がいいよ。だって性格ってそう簡単に変わらないからね。私は性格良くないです。自認はしっかりしてます。


クロード殿下とか王様が病気して「治せ!」って言ってきても「ザマァ!!」って笑っちゃう自信あるので。


これが普通だと思う気持ちもある。

だってさ、そんなに綺麗な人間いたら気持ち悪いでしょ。それもう聖人とかじゃなくて生きてる治療装置だよ。



「俺もオクサマは治療が好きな物好きって思ってたんだけど」

「見習い」

「へーへー。気をつけますー」

「クロウ、やっぱり護衛で雇うから執事は辞めといたら?」



私はいいんだけど、リナリアがクロウが何か話す度にキレるのでその方が無難な気がしてきた。



「猫被りはうまいから対外的にはやれるやれる」

「信用なりません」



リナリアはぶった斬った。その通りである。



「まぁ、放っておいていいんじゃないですか?平民が護衛従えてるのもまぁまぁおかしな話だし」



サフィールの言葉に頷く。

私は元々異世界に召喚された身寄りない人間で、メーティスは元々王子様だ。それが今は普通の平民。まだこの世界の平民としての感覚が掴めない。



「それはともかく、今後は冒険者やりながらお金を貯めて、旦那様の為の工房を構えるって事で構いませんか?」



そう問われて頷くと、メーティスの手に私の手を重ねた。



「僕の家族だったクズたちのせいで苦労をかける」

「あなたと一緒になれたことが私の幸いです。このくらい、大丈夫ですよ」


「尊い……」



リナリアの謎発言を聞かなかったふりで私たちは見つめ合った。

尊いってなんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ