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異世界召喚された聖女は穏便に幸せになりたい  作者: 雪菊
聖女、結婚しました

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逃走した件



身を隠した森の小屋に浄化&結界&目眩しの魔法をかける。メーティスが組み立てた人形を私たちの代わりにして様子を見るとかで領地へと続く道は軽く浄化してからここにきた。

いつでも攻め込めるね。

でもさ、そんな簡単に引っかかる?




うんまぁ引っかからないと思ってた。


明らかに罠じゃん。


警戒がそんな簡単に解けるわけないじゃん。





ひっかかりました。





人形を起動している際は神経を使うのであまり動けないらしく、メーティスのお隣にちょこんと座って手を握っていたんだけれど、ちょっとだけ、手助けできるかもーなんて思いながらメーティスに魔力を送り込むと、うっかり現場が少し見えてしまった。


ガチの装備で、私が旅のお供にと作ったお守りまで持って屋敷に攻め込まれていた。

旅のお供持ってるってことは誰か分かりますよね。かつての仲間二人です。


これだから人間信用できないんだよなぁ!!


気づいたメーティスが私を見た時に「後できちんと説明してくださいませ」と釘を刺して置いた。

いやもう、様子見じゃなくて国捨てるの確定ルートで私以外と話つけてやがったでしょこの人ら。私を守るためだっていうのはなんとなくわかるから説明を……うーん、私が人間信用しきれないから向こうも話してくれないのかも!?だったら自業自得なとこあるけど、いや悪いの召喚した連中だから責めまではしないでほしいな!



それにしても、念のため〜とか言って女神の装飾具のレプリカを作って欲しいって頼まれたから、メーティスとの婚姻でお祝いにと贈られた品々組み合わせて二人で作ってみたんだけどそれを回収しているあたりヤバみが天元突破だなって。

というか、私のお祈り聖遺物作れるレベルになってるのかな。ブランを見つめると「聖女の敵を炙り出したくて女神様が軽く頑張ったみたい」と念話が来ました。


それをきちんと私の顔したお人形につけてたんだけど、思いっきりぶっ壊していました。向こうの人には私の内臓が飛び散ってる感じで見えてるはずなんだけど、これマジで聖女に対する対応じゃないんだが。女神様もしやマジでおこかもしれない。空気感的に。最近何となく女神様の感情が伝わってくるときある。私のために怒ってくれる存在があるってまぁ……うん。悪い事じゃないよね。くすぐったい気分。


というか、そういう事情で一応女神様の祝福はお祈りして多少なりともレプリカにも籠っているんだけど、この調子だと属性反転しそう。

最近、ブランに聞いて知ったんだけど、祝福は稀に人の悪意によって反転して呪いになることもあるんだって。

私に対する悪意がマシマシなのか、金色の光が薄ら黒ずんできているので、思ったより簡単に反転するものなのかもしれない。



『普通はそう簡単に反転しないよ。女神様、怒ってる』



ブランがそう伝えてくる。

やっぱりかという思いはありつつもドン引きである。そう簡単に反転しないものを女神様のお怒りを以て呪いに一気に持っていくのはやべーのである。



「私の辺境スローライフが…メーティス様とのゆっくりのんびりな人生設計が……」

「奥様、結構この生活気に入ってたんスね。不便なのに」

「好きな人と聖女パワーとリナリアがいれば大抵なんとかなるもの。……せっかく色々頑張ったのに」



飼ってた鶏さんもお肉になっています。

連れて行くわけにもいかないけどさぁ!



「うう……陛下たち本当に許し難い!旦那様と奥様の幸せを踏み躙るやり方、女神様の怒りの鉄槌を、神罰をくらってしまえばよいのです!!」

「リナリアは本当に殿下夫婦好きな」

「当然です!」



当然なんだ。そっか。








「人形が大破して引き返して行ったから戻ってきたぞ。屋敷に火ぃかけるように言ってたから、使用人の不手際で火が上がり焼死っていう筋書きにするみたいだ」



夜が明けた頃、屋根裏からクロウがそう報告をしてくる。やり口が汚いなぁ、とため息を吐いた。

こんがりローストされてしまった人形に手を合わせる。出来が良かっただけにもったいない。私のなんてどうでもいいけれど、メーティスの人形は正直ちょっと欲しかったのは秘密だ。また「奥様、旦那様のこと好きすぎませんかー?」と揶揄われるので。いや、でも愛の重さは正直メーティスには負ける。なんでここまで愛されるのかがわからない。



「それで、どうするおつもりですか?私の旦那様?」

「君に害を及ぼす国なんて肥溜めのようなものだから出て行ってしまおう」



私の王子様は思い切りが良かった。

良すぎた。


まず、実の親だろうが昔の仲間だろうがサクッと試して切り捨ててしまう時点で分かっていたことではあるが。



「リナリアの家族は平気?」

「私の家族なんてお気になさいますな」

「いえ、でも……」

「お気になさらず」

「リナリ……」

「お気になさらず」



にっこり笑顔でバッサリ切られたんだがもう避難しているという意味だろうか。リナリアの家族ならきっといい人だなって思ったんだけど、もしかして違うのだろうか。果たしてどっち。


それにしても、確かに困った人とやべー人が多い国だったけど良い人もそれなりにいたから何かあるなら困った人とやべー人だけになると良いんだけれど。だって、無実の人が巻き込まれるの気が滅入るし。主に陛下とかは集中的にやられればいいと思う。



「さぁ、行こうか。僕の姫君、我が女神」

「メーティス様、それはそうとこれからはちゃんと状況説明をし合いましょうね。私も頑張ります」



小屋の外に出ると、ばっちり馬とか用意してあって「いつから用意していたんですか」と口に出してしまった。



「逃げる準備だけはいつしておいても良いものだよ。相手が相手だしね」



にっこり笑った旦那様に、(あっこれ初めっから陛下たち信頼マイナスで、私と天秤にかけるまでもなく何かあれば逃げる気だったのでは?)と思ってしまう。

なんか当たらずとも遠からず、な気配がするんですけど。

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