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異世界召喚された聖女は穏便に幸せになりたい  作者: 雪菊
聖女、結婚しました

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困ったことが起こっている件




メーティスに「あまり僕以外に心を許さないで欲しい」と言われた。少女漫画の世界にでも来たんだっけ?


サフィールは「殿下のガチ度見てると、聖女様と殿下くっつけたクソ野郎がまともに見えてしまうところがすごいっすね」と感心したように呟いた。

陛下はマジのクソ野郎なのでなんというか、少し遠い目をしてしまう。



「ところで、そろそろ何か生活に困った事はないかい?」

「特には……。ねぇ、ブラン?」



きゅいっ!と元気よくお返事をしてくれた白いドラゴンをヨシヨシと撫でる。

正直、ネズミとかが餌な事も覚悟していたのだけれど、この子は人間とほぼ同じもので育ってくれるようでホッとしている。

日常生活に関してはむしろ旅してた頃とか、お城で針の筵だった時のがキツかったので全然大丈夫だ。

そういえばお世話してくれていた親切な人たちは無事かな?



「なら良いのだけれど。結界などに異常もないかい?」

「そちらは頻繁に誰かが攻撃を加えてきているようです。瘴気に呑まれた…おそらく人間も数名いるようですけれど、私もそこまで見にいくのは流石に危険かもしれないと思って…」

「人間が攻撃を…?」



顔色を変えたメーティスに首を傾げる。



「この国の方は、基本的に上位貴族にいくほど私のことがお嫌いでしょう?私を殺して新しく公爵夫人となりたい方も多いのではありませんか?メーティス様は素敵な方ですもの」



まぁ、おそらくは王様が邪魔な私らをぶっ殺したいだけだと思うんだけど、息子にそれを直接言うのって憚られるよね。

あと本当にこの可能性はちょっとありそう。メーティスってば素敵なので。少なくとも私にとっては。



「そこまで言うの聖女様くらいっすよ…」

「兄上達に比べると僕は地味だからね。それはそうと、王都に居たならば何回か不敬罪で死んでいるよ、サフィール」



呆れたようにそう言うメーティスだけど、実際にそんなことをするタイプの人ではないので、サフィールも「すんません!」とカラカラ笑っている。


というか、メーティスが地味って何…?いやまぁ、そりゃあクロード殿下みたいなキラキラ系でもセドリックさんみたいなワイルド系でもないけれど、堅実で誠実そうな眼鏡が似合いそうなイケメンだと思うんだけど。この国の女、メーティスを地味って言ってるならちょっと目がおかしいか理想が高すぎる。


黄金色の優しい髪の色も、若葉のような新緑の瞳も彼にとても似合っていて素敵だと思うのだけれど。

ちょっと吊り目なのが厳しい印象を与えるのかもしれないけれど、少なくとも私の前では表情が優しく綻ぶ。

聖女なんて言われながらもそう特別扱いされていた気はしないのだけれど、メーティスに見つめられている時だけは自分がとても素晴らしい人になった気すらするのだ。



「そうなのかしら?でも、その方が嬉しいわ。メーティス様を特別に想うのは私だけで十分だもの」

「ノエル……。願うことならば、君を特別に想う人間も僕だけであれば良いのだけれど。君の愛らしさや、心根の美しさは滲み出てしまうものだから心配でならないよ」

「はーい、そこの夫婦本題に戻れー?」



パンパンと手を叩くのは執事服を着たクロウだ。彼は「暗殺者なんて雇わない」という三人を「じゃあ、俺今日から執事やる」とか言って唖然とさせた。なお、リナリアには「見習い、言葉遣いを直しなさい!!」と現在進行形でキレられている。本採用は遠そうだ。



「常識的に考えて、今結界をぶん殴ってんのは旦那様の父君の命でしょうね」

「だろうな。だが、そうと断ずる証拠もない」

「もう罠仕掛けて逃げます?持ってきてありますよ。旦那様のとっておき」



その言葉に軽く首を傾げると、サフィールが笑った。



「そういや、奥様が大体の問題を解決してくださったから、先の黒瘴石の件では結局お披露目してませんでしたね」



曰く、私の旦那様は結構優れた魔法具技師らしい。精巧な人形を意のままに操ることができるのはこの国でもメーティスだけとのことだ。

メーティスは何もできないなんて言っていたが、お風呂にお湯を張る魔道具も、夫婦の寝室に置いてある空気清浄器もメーティス作らしい。動力は魔石だ。


何もできなくないじゃん!

メーティス一人いたらたぶんどこでも生活できるじゃん!

私の方が役立つ場面少なくない!?



「殿下は人形の顔もその気になれば本物の人間そっくりにできるから、それに誤魔化す感じの魔法かければ時間稼ぎにはなりますよ」

「持ち上げすぎだ。ノエルの清らかさをあんなもので再現できるわけがないだろう」

「奥様の素晴らしさは人形には収まりませんもの。仕方ありませんわ」



同調するリナリアを見ながら小さい声で「私どう考えても地味系なのだけど」と呟くと、サフィールは「殿下の場合は恋は盲目ってやつっすね」とこれもまた小声で返してきた。リナリアはなんだろう…?いやあの…私リナリアのことは大好きだけど、この信仰?具合よくわからない。


それにしてもなんで、そんなかっこいい上に賢い感じのメーティスこんなとこ送っちゃったの?

まぁ、私はラッキーだからいいけど。

Q.なんでお役立ち王子様を追い出したの?

A.それ以上に王様や某公爵親娘にとっては使いにくくて厄介かつ融通の利かない面倒な人材だった。

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