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異世界召喚された聖女は穏便に幸せになりたい  作者: 雪菊
聖女、結婚しました

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旦那様が可愛い件




到着までに一ヶ月程かかったけど、もうそれは新婚旅行だと思うことにした。


ところで、道中教会で祈っていると夫になったメーティス様に尊い尊いされたんだけどなんで?確かに奉仕活動はちまちましているけど。


貴族と比べて平民はちょっとしたことで死ぬ確率高いからね。

治れ〜ってやってるだけなんだけど、それやってると拝まれてしまう。付いてきてくれているリナリアなんかたまに涙ぐんでいる。怖い。

こっちは目の前で死なれて気分が悪くならないように必死である。魔物の死もそれなりに堪えるけど、同じ形をした生物の死は更に気分が滅入る。魔王討伐の旅で多少は慣れてしまったけれど、これって忘れちゃいけない感覚だなって思うんだ。


そして道を浄化しながら普通に健康に領地までたどり着いてしまった。

思ったより広い豊かっぽい土地だったけど随行してくれた騎士の人曰く無事に着けたのって「奇跡」らしい。まぁ、私の聖女としての実績は他より高いので……。それにしてもそんな奇跡でしか無事に辿り着けない土地が褒賞って大丈夫?



「一応、お家はあるんですねぇ」

「バカにするにも程があります!!こんなボロ…きた……古いお屋敷をよこすなんて!!」

「まったくだ。否定のしようもない。ノエルが体調を崩したらどうするつもりだ」

「雨風凌げて、特に壊れてはいないのですから」



雨の日の野営ほどテンション下がるものもないしね。特に壊れてはいなさそうだし…と思いながら言えば、より怒りが増した。なんで私が宥めた時って大体相手への怒りが増すんだろう……。


与えられた屋敷の中は埃まみれだった。ドアノブを触ると手が真っ黒になるレベルである。



「人が居なくなって久しい土地だから仕方がないとはいえ……ノエルの身体のためにもしっかりと掃除をしなくてはね」

「私よりも殿下の御身が心配ですわ」

「僕は男だからある程度丈夫だし平気だよ。それと…もう夫婦なのだから、二人の時は殿下等ではなく、ただメーティスと僕の名を呼んではくれないか?」



顔を耳まで赤くしてそう要求してくるうちの夫可愛すぎでは?私より新妻ムーブかましてくる。女子力というやつ……?

これが、社交界で氷のプリンスとか城で真面目王子(笑)とか言われてたの意味わからない。

冷遇確定婚姻とか言われていたけどめちゃくちゃ愛されてるので多分あなた達の好感度がマイナス突っ切ってただけだろうなーって思います。


そもそもこの優しい王子様の好感度下げるってよっぽどでは?何やったの?



「では…メーティス」

「っ……、何かな?」

「ふふ、呼んだだけよ。あなた」



夫婦っぽいよね、あなたって呼びかけ方。よくお隣の老夫婦がそうやって笑い合ってたなぁ。懐かし。

どうせだからそういう関係を築いていければいいのだけれど。



「君って人は…」



私に伸ばそうとした手は、リナリアの咳払い一つで止まった。



「恐れながら旦那様。汚れた手で奥様に触れるのはいかがかと」

「た、確かにそうだ。ノエルはいつも愛らしい事を言ってくれるからつい触れたくなってしまう」



困った顔で、愛しそうに言われるとちょっときゅんとしてしまう。ぐ、これが2つ年上……。

心臓を押さえていると、心配そうに顔を覗き込んできた。大丈夫です。死因がキュン死ならまだ救いがあるので。私もしやチョロい?

いやでもセドリックさんにはきゅんしたことあんまりないな。お兄ちゃん枠だったからかな。



「殿下ー、そろそろ片付け始めねぇと今日も野営ですよ」

「それは困る。ノエルに暖かいベッドと風呂を用意してやりたい」

「殿下、ホント聖女様にゾッコンですね……」



アレンの友人(仮)かつ、ロージア辺境伯領まで一緒に来ていた青年は今回も随行してくれていた。王子につけるのが騎士一人、侍女一人とかなかなか無いよね。ちなみにクロウもついてきている。コッソリと。



「こんなに美しい人を愛さずにいられる男がいるわけがない。サフィール、お前も変な気だけは起こすな」

「いや、殿下ホント女をどこで判断してんのかワカンねぇっすわぁ……」



それは私もわからないので。

美しいとは何がだろう。私そこまで綺麗な外見してないし、結構俗っぽい性格してると思うんだけど。奉仕活動だって見てるだけが嫌だからやってただけだもんね。成果をルイーゼさんに取られてるの否定できないけど、それはそれで国が荒れなきゃいいよ私は。関係ないし。



「俺はノエル様の護衛とか、あのばい…お嬢様より親しみやすいんで気楽でいいんすけどね」



本当はなんて言おうとしたのかなって思ってメーティスを見ると、「聞かなかった事にしてくれるかい?」と言われた。

とりあえず生活魔法クリーンで手を綺麗にしたら抱き寄せられた。



「とりあえず、厨房とお風呂。お部屋を三つ片付けましょうか」

「奥様、四つでは?」

「えっ?夫婦って同じお部屋ではないの?」



我が家ではそうだったけど、異世界だし各ご家庭の決まりもあるかも?

……そういえば王様と王妃様達の部屋も別か。

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