浄化(物理)をしたかった件
「お、おい……そこまで念入りに浄化するか?」
「この後屋敷ごと燃やしましょう二度とあの手のやつが来ないように」
「いや燃やすな燃やすな!!」
アレンに止められてしまったけど、ちゃんと焼き払った方が浄化になるんじゃないかなぁ!!
そして久しぶりにまた増えた聖遺物系アクセサリー(ネックレス)。
綺麗かもしれないが、取れないから呪いにしか思えない。そして、邪魔だと思ってたら肌と同化して痣のようになった。そしてなおかつそれを隠せるようになった。益々呪いじみている。女神様、これマジで聖遺物?
おかげで泥棒に盗られたりはないけれど。
私がアンティークドール系の人形が少しトラウマになった程度ではそんなに休暇が取れないので、1日休んだあとサクサク次へと進む。
もう聖遺物(?)に呼ばれてるんじゃないかなって気がしてきた。女神様、聖遺物回収の旅のために私呼んだ?
なんか次は洞窟に棲みついた魔物が放つ瘴気が辺りの水脈に影響してとんでもないことになってるとかで、そちらへ向かうことになった。
「それにしても、このタイミングで多くの聖女のための装具が見つかっていると、お前を大事にしろという女神からのメッセージのように感じるな」
「このご時世ですから、今すぐにとは言いませんが、旅が終わったらぜひそうしていただけると嬉しいです」
「無論だ。命の恩人で国の英雄の一人になるのだ。力の及ぶ限り大事にしよう、婚約者殿」
旅に出る前は女狐呼ばわりもされていたが、友人レベルが上がるに連れ気安くなった気がする。なお、私も警戒レベルが少しだけ下がったらしい。アレンは少なくともそう言っていた。
まぁ、王都に戻ればまた警戒心マックスになっちゃうんだろうけど。王様もだけどあの国の貴族、多分私のこと利用するだけ利用してポイの気配がするんだよなぁ。
少し困ったような顔をした私に「……この国はやはり信用ならんか」と彼は呟いた。
「それが普通だ。王都から離れられるならその方がいい。お前の力が有れば辺境でも生活は可能だろう」
「殿下」
「城に留まるよりは大司教について教会のトップにでもなった方がマシかもしれぬ。……陛下がどうお考えかは分からんがな」
アルトさんの咎めるような声を無視してそう続けたセドリックさん。きっと、それは私が覚えておくべきことなんだろうと思って、選択肢に増やす。
正直、あまり知らないフォリア公爵も怖い。
だってルイーゼさんがあれだけ真っ直ぐに突撃してくる……お馬鹿さんにしか見えないお嬢さんなのにそう悪く言われていない、良く捉えられている、城への出入りを禁止されていないというのはおそらくお父さんかお兄さんかは知らないけれど彼女の保護者が非常に優秀ということだろう。それ故の忖度として私が酷い目に遭う可能性だってまるっきりゼロではない。
いくら彼らの召喚の被害者でも、だ。
あまりゾッとするような事は考えたくないが、それを放棄すると余計に酷い目に遭うだろう。痛い目には遭いたくないものだ。
そっと、さっきまでネックレスのかかっていた首を撫でる。今の私はルイーゼさんなんて比べようもないくらいの力を持っているだろう。これらの装具がより私の力を押し上げている。
右手首、左手人差し指、首。
これらの装具をよこせと言われたら私には外すことができない以上、従うことができない。
無理に取り上げられる可能性を考えれば、自分がどうなるかなんて馬鹿でもわかる。
手首を落とせばいい。
指を切ればいい。
断頭台に上げればいい。
そういう判断を王がすれば、誰からも守ってなんてもらえない。
女神様、これがあなたのご意思であればどうか私にも幸せを。もし邪魔をされたならばその相手にそれなりの報いを。
それくらいは祈ったっていいでしょう?




