そして聖女は
(一応)最終話
メーティスの元に帰ると、リーリアにもランティスにも爆泣きされた。
大丈夫です。お母様、しっかりこの世の瘴気消しとばしました。いや、魔物がそれで全部消えるわけではないけど、数世代は魔王なんてものは出ないだろう。
まぁ、この世には想像を絶するバカもいるからどうなるかは分からないけれど。
女神の装身具は私が死ぬと共に女神様の元に戻るらしい。もし何かあったら次の聖女が受け継ぐことになる。本当に女神様の選んだ聖女が。
ちなみにちゃんと頑張った上で呪い止めてもらったガラテア国王クロード様ですが、「何かあればまた神罰を与えます」と女神様が言っていたので、アレンに伝言を頼んだ。
今後もガラテア王国を取り巻く環境はしばらく厳しいものとなりそうだけれど、まぁセドリックさんやアレンもいるので平気だろう。ちなみに来年、レイラ皇女殿下は嫁いでいかれることになりました。これで私の夫狙われずに済むと私もにっこり。メーティスもにっこり。
帰って6ヶ月後、私は双子の男女を授かり、知らない間に恋仲になっていたサフィールとリナリアは婚約していた。双子が産まれて半年くらいで見事ゴールイン。同じくらいの時期に皇太子ラティスフォード様も結婚した。
私の四人目の子供とリナリアたちの第一子、皇太子夫婦の第一子が同じくらいに産まれてくることとなった。
私たちの毎日は魔王が居なくなっても物語のように「めでたしめでたし」なんていって終わりはしないけれど、こうやって当たり前の日常が当たり前に過ぎていくことがたまらなく幸せだ。
それから数年後──
「お母様!!今日のお茶会にいた子が酷いの。私がお母様の子供じゃないって言って笑うのよ!!」
大きくなったリーリアがそう言ってぷんすか怒っている。全くである。リーリアは私の可愛い娘だ。私がお腹を……。
……痛めてないわ。
「お父様とお母様の子供じゃないなんて嘘で笑うのは酷いわ!!」
いや、私の子供だけど私は産んでないわ。
家族会議が必要だわ。
というか、めちゃくちゃ私が産んだつもりで育ててたな。ちらっとリナリアとセラを見ると「そういえば…!?」という顔をしていた。
その後ろでランティスが「僕の姉上になんて酷いことを言うんだ!!」と怒っていた。
すまん。息子よ。
確かに血は繋がっていない。
帰ってきたメーティスと会議をしたり、きちんと話した結果可愛い娘にガチ泣きされたり、ランティスが「僕のお嫁さんになったら良いんだよ!!」という閃きのもと知らない間にリーリアを口説いたり。
まぁ、トラブルはたくさんあって尽きませんけど。
概ね、私は周囲にそこまで恨まれたりせず穏便に幸せに生きています。
もっと書こうか悩みましたが、一旦完結とすることにしました。
ちなみに育ててるうちにマジでリーリアが自分の子だと思い込んでいたノエルはリーリアが怒って帰ってきてようやく、「そういえばそうだった」と焦りますし、淡い恋心を抱きながらも「姉にそんな感情持つ自分はやばい」とそこそこの年齢になってから常に死んだ目だったランティスは息を吹き返す。
また何か続きとか番外編とか書きたくなったら書いちゃうかもしれませんけど、とりあえずこれで完結にさせていただきます。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。




