夢で女神様に逢った件
「懲らしめてやろうとしただけで、世界を危機に陥れたかったわけじゃないのよぅ!」
女神様と思わしき長く波打つような淡い水色の髪に同色の瞳の美しい女性がそう言いながら、泉に手をつけていた。
そこに映るのは色合いのえらく変わったルイーゼさんが妖艶に微笑みながら冒険者っぽい男性をベッドに引き摺り込んだシーンである。R18かR18G映像になりそうだったのでここから加護ができないか試しに祈ってみた。
すると、ルイーゼさんは悲鳴を上げて後退りする。男性は焼け爛れた彼女の皮膚を見て逃げ出した。何もやってないのにそんなことになるのは確かに怖いけど、女の子が傷ついてるのにさっさと逃げる男もどうかと思う。まぁ、今回に限っては犠牲者なので見逃すけど……。
「の、ノエル……!?」
「はい。ノエルでございます」
はじめましてと頭を下げると、女神テティシアはうるうるとその美しい瞳を潤ませて走り寄ってきた。
私を抱きしめると、「あまり力になれなくてごめんなさい」と震える声で言ってから私を拘束する腕を解いた。
「わたくしはテティシア。この世界の創生神です」
女神像はきっと彼女の姿が見えた人が作ったのだろう。
多くの地域で見た女神像は彼女に似ていて、けれど、その美しさを表し切れてはなかったように思う。
この世界に呼び出された件についても謝罪を受けたけど、これは今回別に女神様のせいってわけでもないので…。
「なぜか改心したらしい現国王が召喚方法などの魔術書を片っ端から燃やしてくれたから今後はないはずだわ」
クロード陛下思い切ったことをするなぁ、と感心していると「やっと祖先の恥を雪いでくれたから呪いは解いてあげたわ」とにっこりしていた。呪いって薄毛か?薄毛なのか?
「それであの、聖女の成り損ないの事なのだけれど」
「成り損ない…」
「その資格だけはあったのよ。努力もせずに己の美しさだけ磨いていた子だから無駄だったけれどね。才能と人格は比例しないものよね」
結局お前のせいじゃねーか!
内心でルイーゼさんを口汚く罵ってしまう。まぁ、今はそこまで怒ってもいないけどムカつくもんはムカつきますよね。
メーティス見てるとお花畑な「運命の人」という言葉しか出てこないくらいには愛し愛されているので、そのおかげで普段は怒りが減っているだけだけれど。
「元々、悪意に塗れた性格だったのか、それとも何かのせいで歪んだのか…こちらでは判別がつかないけれど、そのどちらかのせいで瘴気を溜め込みやすい体質だったようなの」
魔王というのも馬鹿ではないらしく、脅威になりそうな聖者の素養を持つ人間を積極的に取り込むようにしているらしい。
教会が近くにあったことや、私が召喚されたことで瘴気が薄まったりして取り込まれていなかったルイーゼさんだけど、私が国から離れたことと彼女にかけられた神罰、それから彼女自身のやらかしによって外部へ流出、瘴気を溜め込み魔王化ということらしい。
「まさか、あの娘のために牢屋を素手で破壊して出てくるような人間を想定していなくて……」
こうなるならさっさと神罰(じわじわ系でなく物理)で殺しておくのだったわ、と謝られた。
いや、私に言わないで私の知らないところでしてください。お願い。
結局ルイーゼ(中身転生者)のせい




