お祭りに浮き足立つ件
ついに100話です。いつもありがとうございます!
いよいよ収穫祭である。
街は活気に溢れ、屋台がたくさん出ている。馬車から外を見れば、様々におしゃれをした人がいるので少し気分が浮き足だった。
リナリアは本日、サフィールに引っ張られて行った。皇族の方々が護衛を出してくれたので。
張り切っておしゃれをさせてしまったけれど、リナリアはやっぱり磨けば磨くほど美しくなるのでやり遂げた感はすごかった。こっそり町娘スタイルの衣装をマダムから購入しておいたのはグッジョブ私だった。
ところで、余計な気を回したとかそういうのでなければいいなって。
リナリア、私にばっかり構って遊んでいる様子がなかったから気になったんだけど、なにが楽しいかなんて人によって違うからなぁ。その点、意外と気がつかえるサフィールも一緒なので問題はないと思うけれど。
「楽しそうだね、ノエル」
「ええ。やはりお祭りというのは心が弾みますわ」
メーティスに話しかけられてそう答える。
まぁ、私は夏の花火大会と秋祭り、ハロウィンにクリスマスみたいな感じで年中お祭り騒ぎをしていた国の出身なので。単純に旅の途中なんかは魔物が闊歩してたせいでこういう普通のお祭りってなかったし。
宴会には招待されたけど、何入ってるか分かんなくってめちゃくちゃ怯えていたのを少しだけ思い出す。
あの時よりは人間不信がマシになっただろうか。けど、あれはあれで仕方がないと思うんだ。自分を守れるのは自分だけだったのである。
そんなこと言って、セドリックさんやアレンには大変甘やかしていただいていたと今ならちゃんと思えるけれど。
「楽しんでいるのならいいんだ。君はずっと気を張っていたしね」
優しい顔でそう言ってくれるメーティスにきゅんです。
そんな私のために頑張ってくれるメーティスが非常に好きです。ラブです。
久しぶりの聖女衣装で皇族が管理している教会の前で降りる。メーティスにエスコートされながら。
世界よ。私の夫はこんなにも素敵です。
……私のですけどね?
「行こうか、ノエル」
「はい」
リーリアとランティスは本日セラとそのご両親、エレナ、クルーガー様とお屋敷でお祭り気分を楽しんでいる。家族パーティーである。
私たち参加できないけど。
本当は子供たち連れてくるつもりだったのだけど、クルーガー様に大反対食らった。せめて家で楽しませてやれとのことである。
家によってはパーティーをしたりするんだけど、我が家は私が聖女なので家のパーティー多分永遠に無理ですね。
大きくなったらやりたいって泣くのだろうか。もしそうなったら、これ免除してもらえないかなぁ。
それはそうと、たまには二人きりもいいなぁとも思ってしまう。
はしたない、かな?けれど、好きな人とデートしたいっておかしいことではない筈だ。




