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路地裏

おや、クソったれな皆様お久しぶりでございます。

ジャン・ダーニングでございます。

わたくしはいま服屋を探してる途中でございます。

初めて来る町なのでどこに行けば何があるか手探りなわけです。


というわけで、忙しいのでそこを通して欲しいのですけど。

えっ?なに?ここは通れない?

道があって通れないとは何かの謎解きでございますか?

確かに初めて来る町で独自の慣習などよくありますが、なにぶん田舎者でありまして何卒ご容赦願いたいところなのですが。


「お前、頭イかれてんのか?」


「いえいえ、アナタたちほどではありませんよ。こんな幼気な子どもに寄ってたかって、ハエですか?」


「やっぱ頭イかれてやがるみてーだな!クソガキ、後悔しやがれっ!」


いやーやはりハエというやつはどこに行っても鬱陶しいものですね。

どこからともなく現れてブンブン、ブンブンとうるさい。

少しメインストリートから外れて歩くだけで沸いて出てくる。

平穏な一日も一匹いるだけで気に触るってものです。

それが四匹もいればなおさら。


「ハエはハエらしく叩いて落とすとしましょうか」


「ぶっ潰す!!」


やや暗がりの路地に入った途端、前に三匹、後ろに一匹。

威勢良く飛び出すは三匹の内の一匹。

子どもと侮ってか、馬鹿正直に正面から大振りに殴りかかってくる。

自分の小さい身体を活かして懐に潜り込み、すかさず股間を強打。


「おらっ!!グゥッ・・・!!!」


「まず一匹・・・」


「何やってんだよ、ノロマ!」


「お前!後ろから抑えとけ!!俺らで潰す!」


「おうっ!」


前からは二匹がニヤニヤと迫ってくる。

後ろからは一匹が羽交い締めにしようと手を伸ばしてくる。

ふむ、やってみるか。


「捕まえたぜぇへ?!ガッ!!!」


「あんがい腕力があれば素人ながらでも決まるものですね」


振り向きざまにハエの伸ばして来た手の裾と首元の襟を掴んで自分の身体を屈めて巻き込むように腰でハエを持ち上げる。

いわゆる背負い投げってやつだ。

素人なのでモドキだと思うが。


「お、おい!何しやがった?!」


「気をつけろ、変な動きしやがる!」


さてさて、警戒されてしまいましたね。

とりあえず、もんどりうってるハエの顔面に体重をかけながら飛び乗ってっと。

あはっ!のたうちまわってる、ウジに逆戻りだな。


「どうします?続けますか?」


「調子乗ってんじゃねーぞ!!」


おっ、一匹だけ釣れた。

やっぱり虫には連携なんていう人の知恵はないのですね。

タックルで組み伏せるつもりですかね。


「よっ!っと」


「アガッ!!グェッ!ブェ!」


顔面にヒザ蹴り、顔を仰け反ったところにノドをパーンチ。

蹲った瞬間にトドメにもう一丁顔面に掌底、と。


「あとはアナタだけですね」


「うっ・・・」


あらま、せっかく子どもらしい愛らしい笑顔で接しているのに恐ろしいモノを見た顔をしなくてもいいですのに失礼なハエですね。

ハエに期待する方が悪いですね。


「まったく私はこんな事したくないのに、困った方たちですね。町中なので勝手に処分もできないから大変ですよ。ものはついでです。アナタ、服屋を知りませんか?」


「は?えっ?し、知るか!!」


「はぁ、そうですか。もういいですよ、さっさと行ってください役立たず。それとも彼らのようにウジに逆戻りしてみますか?」


「くっ、クソがっ!覚えてろよ!」


おぉ、本当にその台詞を言う奴を初めて見ましたよ!

ちょっと得した気分ですね。

さて、どうやらこっち方面は治安が悪そうですし、反対側に行きますか。

おっとその前に戦利品を・・・しけてやがる、ぺっ!



◆◆◆◆◆



ふぅ、やっと服屋を見つけられました。

この町、おそらくそこまで大きくはないようですが以前暮らしていた寒村とは流石に比べるべくもなく多くの建物がある。

さらに、わかりやすいように商店が立ち並んでいるわけもなく、綺麗にディスプレイされているわけでもない。

おかげで思ったより時間が掛かってしまいました。


道行く人に聞いたりしてみましたが、大抵は相手にされません。

良ければ無視、悪ければ怒鳴られ、しつこければ石を投げつけられかねません。


みんな日々の暮らしにいっぱいで家族や親戚ならいざ知らず、赤の他人に施せるほど余裕はない。

やはり人は衣食足りて礼節を知ると云いますし、何事も余裕が無ければ人に与えることは難しいのでしょう。

所詮こんな中世的な時代の平民、教育などに回せるリソースなど推して知るべしですね。

私は余裕を持った生活がしたいものです。


何はともあれ、いざ行かん服屋。

迷って路地裏

ハエ叩き

服屋発見

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