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神様が世界を創り変えたようです。  作者: 詩名時くい
一章
3/9

『世界改変の時』

 では、話そう。

 今現在の時間は、二〇XX年、七月七日、だいたい午後一時だ。

 その現在を遡さかのぼり、紀元前……いや、太古の遥はるか昔に私は地球という惑星を創った。


 どのような経緯で創ったかというと……私が幼少時代、と言っても人間から見れば『五百歳』位の時だ。

 私の父親が"宇宙"を創り、"太陽"を創り、次々と新たなる『星』を創っていった。

 勿論、宇宙を創ったからと言って実在する星の全ては父親が全て創ったというわけはなく、様々な神様が名乗り出て様々な星を誕生させてくれたそうだ。

 その中で私の父親が創った星というのは小惑星を含め計『二十八』になる。

 私はそのたくさんの星を見て感動したんだ……。今でも覚えてるよ、星が創られた時に胸が熱くなる……あの『気持ち』をね……。


 とある時、父親が二十回目の星を創った。

 人間達に知名度はそこそこあるだろう星、"金星"だ。その時、父親が言ってくれた。


「おっ? お前も星を創りたいのか? 流石は俺の息子だ! いつかお前にも星を創らせてあげるぞ~! 期待して待っとれぃ! ガハハハハ!」


 父親は陽気な人だったので息子の私にはとても優しくしてくれた。

 そのうえ、神様の頂点とも呼ばれて様々な神から尊敬されていたさ……。

 まぁ、私の父親は東方にある古文書に記述されてはいたそうだが、その古文書は人々の戦争で消えて無くなった。当然だが時代の流れと共にその名前は風化していった。私は悲しかった。神様の力で人類に名前を思い出させてやろうかと思ったけど父は「馬鹿野郎!」と言い、怒鳴り散らされた。そして更に悲しくなった。

 私の事を思ってか、父はまた人間達に覚えてもらえればいいんだよ……と。それならば凄い事をしてやってインパクトを与えてやる! という書き置きを残し。何処かへ消えてしまった。

 そこで私は父の代わりにれっきとした神様をする事になった。勿論、父からの書き置きに「神をやってくれると他の奴らが助かるんだけど、どうだ、やってみねぇか?」と書かれており、直ぐに始めたのがきっかけだ。


 そしてしばらくして私も星を作れるほどの腕前になったのだ。

 最初に創った星は『木星』だった──

 あの時は物凄く感動して、涙腺が緩んでしまって、大量の涙を流していたよ……。記憶に鮮明に残っている。


 次に地球、蒼くて丸い、素晴らしい星──……。

 私はその地球を創ったのだが、生物という物を生み出そうという考えがあった。

 星を創るのがこれ程までに感動するなら生物も……っていう幼い考えがあったからだろうね


 最初は楽しかったさ……。生物が初めて死んだ時を見た時は悲しかったし、新たな生物が生まれた時は嬉しかった。

 だが、それも長くは続かなかった……。

 そう、生態系に人間という確実に私の世界を壊すような者達が現れてからなっ……!


 人間は原始人レベルの時はとても可愛いものだったさ……。

だが、時は経ち……人が言語を覚え、物を作り、そして心を持つようになって善悪が生まれてからだ……。

 全てが終わったも同然なんだよっ……!


 嘘をつき、悪口を言い、平然と汚い言葉を使い、自分が弱い癖に偉そうに文句を言い、生態系を崩すような奴や自分の食べる食べ物の為だけに生き物を育て、殺す。

金銭で解決出来る事が多い世界、勝手に都市を作っては自己満足なルールを作り、社会の言いなりになる人間を増やし、数少ない資源の無駄遣いをして、自分の欲望の為に家族や親友を不幸に、欲望の為に交尾をしては生命を消し、もし産んでもその生命にろくな教育もしない。未来を少しずつ絶望に変えて行っているのがわからないのかと……。


 そう、結論を言おうか……。

『人間を滅ぼしてもよかった、とね』


 そこで私は考えた……。

 君が私の代わりに『地球の神様』になるという権限を与えようと。


「えっ、えぇ? 本当ですかぁ?」


僕は首を傾げながら冗談だろうと思い、苦笑いしながら確認を取る。その結論は飛躍し過ぎだと思ったからだ。


 私の気持ちは変わりの無いものだし、本当だ。

 ここで辞めようとしても、上の方々には書類審査を通して受理させて戴いたので、もう後戻りは出来ないんだ。


 だからここで、私は地球の神を辞退するよ。君の自由に星を変えてもらっていいさ。神様が星の管理を交代されると"新しい創作者"として認識される、つまり何でも"一日限りではあるが設定をいじれる"からな……自由にするといい。

「何でもできるんですか⁉ 私の自由に世界が……動く⁉」

あぁ言っておくと、くだらない事には活用はするなよ。

「何でそう簡単に僕の思っている事がバレるんですか⁉」


"旧神様"はね……そう言うのはお見通しなんだよ。

 私が……いや、俺がお前なら託せるだろうと思ってのプレゼントだ。棄てられたら俺は泣くからな?


 それじゃあ私は他の星で新たな事でもやっているつもりだから自由にするといいさ。それではまたいつか会おうじゃないか、私は神様としてこの空間を楽しく一人旅してくるとしようかな。……やるべきことも多いしな。

 うむ……新たな神様、新たな地球に期待するぞ。


「ではな!」



そして旧神は何処かに消えてしまった……。



 ────うーん……新たな地球を作る? って言われてもなぁ~! 分っかんないよ! こういう前例は無いし、神様はどうやって書類審査を通したんだ? そもそも、それをガイア様が許してくれる訳が……って! また一人妄想だ、僕の悪い癖なのだろうか。


 でも、何かしないことには始まらないし、神の法に基づいて地球の再編成くらいしておこうかな。……あの神様、勝手にマニュアル置いてくれてるし。

 "神の法・・・"、人間達にも法律があるように神様の間にも当然、法律が存在する。この法律を守れない神は相当の罰が待っている、らしい。僕はこの世界に詳しくないため、よく知らない。しかし旧神様の雷撃の百倍怖くて、ヤバくて、辛いらしい。地獄だというのはよく分かる。


 今回の場合、星を譲渡された時に発生する法なのだが『初めての案件なので、星の作成に発生する法と同じように従うこととする』とこのマニュアルに書いてある。

 目の前には空中浮遊をしている地球儀がある。これを使う事により現在の地球の設定を変更出来ると書いてある。

 地球儀にはタイマーが書かれており、一秒ずつ数字が変わり、これが残り時間だということを伝えている。

 星の作成時に先程、旧神様が言っていた1日、つまり二十四時間、自由に星の設定を弄くれるというルールである。

 地球儀に触れてみると様々な設定が表示され、手元にはどうやって浮いているのかよく分からないキーボードのような物が投影される。

 これで設定を弄るのだろう。難しい文字の羅列が表示されていて、人間達のプログラミング技術とよく似ている。

 ちなみに、ここからが長かった。

 まず初めに星の設定だが、現状のシステムを引き継ぐことにした、入力が面倒という理由があるからだ。基本的には今までの地球の環境やら生体活動やらの仕様を全てそのまま移植した。しかし、これだけでは全く面白くないので、パクリみたいでアレだけど人間達の創作物辺りを拝借した。悪気は無い。


今までの人類史に残っている偉人やら場所をそのまま移植させたり、日本の熱い文化が創った作品の魔法やら、ロボット、ファンタジー世界やら異人族、果てには魔王なんかを取り込んで……! そうだなぁ、こんなに設定入れまくると地球の表面積だと余裕で足りないな。

 そうだ! 地球の大きさを三倍とかにすればいいんだ、僕って天才かよー!

でもこうして設定を色々取り込んだりしたらパワーバランスおかしくなりそうだな、調整しないとまずいしー、後でこれを足したい! なんて思ったところで期限はこの一日だけだ。まず足りない。

 そこで天才が閃いた。設定を常にいじれる設定を追加しよう。なんか通らなさそうだなこの設定……とりあえず追加しとくけど。

 なんやかんやで凄い世界が出来上がってしまったなぁ、物語書いてる! みたいな気分だ。主人公とか現れそうな壮大な世界だねー。そういえば、マニュアルで主人公がどうたらとか書いてたような? まぁいいやー最後に確認で見るし、大丈夫だろう。


 今まで地球で生活していた人類はどうしたもんかね、記憶を色々この世界に順応させるように基礎知識を入れて納得させようかな、強制的に。

 なんか液晶画面全部ジャックして、洗脳映像的なの流して、映像で記憶追加、新世界に引き継ぎして、これから第二の人生を謳歌してもらおうかな。

 ざっくりとはしているもののこれで世界は完成だ。 よく分からない部分や調整箇所はこの残り時間を使い、新しい世界でアンケートでも取って何とかするし、これから頑張ればいいだろう。



 ────時は過ぎ、自由設定時間、十分前。


 時計、時計⁉ 今、何時なの⁉ やっべー! 残り十分じゃんか⁉ 居眠りし過ぎたっ⁉ ハードな職務のせいだぞコレー! 流石の神様も焦っちゃうよー⁉


 生きてる人間全員、記憶補完するように設定……っと。

 さて抜け穴だらけなんだろうけど、後で直せばいいし大丈夫だろうね!うーん……フラグくさいなぁ……。


 そういえば、星の名前付けてなかったなぁ。

地球って英語だとthe Earth、発音的には"ジ・アース"だっけ?

 人類が定めた文法とかよく分からないけど、ここは新世界! 今までの常識は全て捻じ曲げられるのだ、つまりこの星の名前はッ!


────The Earthに変えて。ザ・アース!


 地球儀は回る、回転速度は上昇し、旧神様の雷撃よりも遥かに眩い光を放つ。

 少しずつ周りは白しか見えなくなり、地球儀から音が出る。

「設定適用中、設定適用中……」

大丈夫そうだ、マニュアルによると設定適用中の画面が出てから十分くらいは時間に余裕が生まれる。

 その前に、少し地上に降りてリアルタイムで見物させて貰おうかな……! 最期の地球だし!

 僕は天界の魔法である飛行魔法を行った。

天使のような翼を出し、大空を翔けるというものだ。僕は急降下して雲を突き抜け、分かりやすい位置へと向かった。

 一つだけ、何か大事なものを忘れて。


『設定適用中、設定適用中、設定適……ERRORエラー発見。ERRORエラー内容、主人公設定の空欄。主人公の設定をしてください、主人公の設定をしてください』


繰り返される言葉、誰にでも分かるように地球儀には声の通る女性の声が採用されている。神様は居ないので、設定は無論不可能。時間は残り僅かだと地球儀は理解する。


『主人公の設定が行われていませんでしたので、主人公の設定を自動で行います。自動設定の場合は、"設定を変更出来ません・・・・・ので"ご注意下さい。主人公を選択します、主人公は────』


……時は過ぎ、世界は生まれ変わることを伝える。


「いやー凄かった……! 新しい地球になるのって神秘的だなぁ」


 戻ると、地球儀が元から設定されていた誕生お祝いボイスなるものが流れている。これを旧神様はずっと聞いていたのか……


『新世界の誕生おめでとうございます! 設定不足の箇所が一点ございましたので、自動で設定をさせて頂きました!』


「なんだ、一箇所設定ミスがあったのか……主人公の設定……? そういえば、世界を創る時に主人公を設定して、その世界の神様は主人公を注視した記録を毎年、他の神様へ報告しなければならないとかいう法があったなぁ。危ない危ない、設定ミスして、主人公が分からないとかだったら、うっかり首が飛ぶところだったよ」

 神の法は破ってはならない。それは何があっても絶対に。それを救ってくれた地球儀に感謝だね!

「それでその記録する主人公というのは……ん⁉」

 冷や汗が出た、目が点になるほど、この画面を睨み続けていた。間違いだと言ってほしいと、ただ今はそう思った。

 主人公を調べようと主人公設定の箇所を開く。しかしそこに表記されているのは


・主人公設定


主人公:ERRORエラー


その後の話だが、この画面は何度やり直しても表記され続けていた。まるでERRORエラーが当然と機械に言われてようであったが、ERRORエラーという人物は勿論、居るはずもなく、主人公は分からず仕舞いだった。納期はどうやら来年の今日、つまり新世界の誕生日らしい。報告する時の権限はこの地球儀にあるらしく、主人公当人の伝記をつづらなければ受理されない、主人公を探す為に複数の人物へ一通ずつ分量の無い伝記を出してみたが、当たる当たらない以前に、一日に一人しか送れないらしく、総当りは不可能。

 試すとしても『三百六十五』人にしか送れないのだ。人口は爆発しても良いようにと練った対策は逆に仇となった。


そしてそれから────時は過ぎる。

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