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この世とあの世の生活

この世とあの世の生活〜第2話〜

作者: 福紙

とある大きな都市のとある街のアパートにその者はいた。時間は深夜。時計は丑三つ時をさしていた。

ごく平凡なアパートに住む閻魔大王とこん助。地獄で仕事(?)をしつつ、暇があれば現世のこのアパートに来る。


「閻魔様、何でこの時代になって現世に興味をお持ちで?」


こん助は狐に似た姿をして二足歩行をして湯呑みをちゃぶ台にのせる。閻魔大王は“地獄”と書かれたTシャツにジーパンを履いてあぐらをかいて黒い“(しゃく)”で肩を叩く。


「うむ。昔は戦や病気、飢餓、処刑で死ぬ者が多かったのだが…昨今、死因が多様化してな…。この前、強盗して逃げた先で死んだ奴の死因は何だと思う?」


「さぁ…逃亡中に車に轢かれたとか?」


こん助が首を傾げると、閻魔大王はため息をついた。


「…隠れた先…何と言ったか…こ、こいん?あぁ、こいんらんどりーの洗濯機の中に入って、人間が中に入ってるのを知らずに回されて死んだそうだ」


「確かに特殊な死因ですね!」


「そんな恐ろしい洗濯機があるのか?まるで釜茹での刑のようだな」


「まぁ使い方を間違えれば、いろんな物でも死に至るでしょう?あぁちょうどよい機会です。コインランドリーに行きましょう!洗濯物が溜まっております」


「うむ。して、その、こいんらんどりーとやらはどこにある?」


「そうですね…この近くだと…それにこの時間…」


とこん助はおもむろに平たい板を出した。それには画面が付いていて、地図が映し出された。


「こん助よ、それは何だ?」


「タブレットと言うものですよ!現世では宇宙の衛星から現在地を表示したり、その近辺のお店も探せるんですよー!」


「う、うむ…いつの間にそのような物を…まぁよい。こいんらんどりーを探せ」


こん助は慣れた手つき(肉球)で近辺のコインランドリーを探す。するとすぐ見つかった。


「閻魔様!24時間営業のが近くにありました!行きましょう!」


とこん助は声を張り上げた。


こん助が言う通り、徒歩3分程のところにコインランドリーがあった。閻魔大王は黒いジャケットを羽織る。見た目のせいか、細身で長身、黒髪の白い肌で下まぶたには赤いラインが入っている。一見バンドマン風に見える。一方こん助は人間の少年に化けて洗濯物を持っていた。兄弟にも見えないし、はたから見ると不思議な光景である。しかも丑三つ時である。


「閻魔様!ここがコインランドリーですよ!」


「うむ…あれが洗濯機…。たくさんあるではないか…。なるほど、奴はこの無数の洗濯機たちに回されたのだな。それは死ぬな」


「閻魔様、洗濯機は繋がっておりません。ちょうど人間がおりませんよ。よかったですね〜」


とコインランドリーの自動ドアが開く。こん助は平気だが、閻魔大王は少しビクッとする。


「こん助よ…引き戸が勝手に開いたぞ…」


「自動ドアです」


「自動どあ?」


戸惑っていると、こん助はパカリと洗濯機を開けて洗濯物を放り込む。


「金具がついている物は必ずネットに入れましょう。これで洗濯、すすぎ、乾燥が1つでできます!」


「何と!これ1つでか?!」


こん助はお金を入れてフタを閉めた。スイッチを押すと洗濯機が音を立てて、洗濯物がグルグル回る。


「家にある洗濯機とは違う形だが…うむ…納得した」


「こんな狭いところに入ってグルングルン洗濯物と一緒に回されたら死にますね」


「その前に、よく入ろうと思ったな…。地獄でもこんな呵責あったな…自ら飛び込むとは…」


「今の人間の考えはわかりません…」


「だな…だが、便利だな…」


現世の現代人って何だろうと閻魔大王とこん助は思った。だがこの洗濯機とは便利だと、洗濯機を見つめる2人の背中にはなぜか哀愁が漂っていた。


現代にはまだまだ彼らには不可思議で理解できないものが溢れている。


再び地獄に戻った閻魔大王とこん助。洗濯をする獄卒衆は昔ながらのタライに洗濯板で洗濯していた。


「ご苦労だな」


「閻魔大王様!!」


「貴様らに現世から土産だ。最新の洗濯機だ。間違っても入るなよ?」


と閻魔大王は洗濯機を獄卒らにプレゼントした。獄卒らは喜び、閻魔大王に礼を言う。


「閻魔様!」


「何だ、こん助」


「獄卒の奴が、洗濯機の中に入って壊しました!」


「何ぃ?!」


※よい子はマネをしないでね!

実は中の人はコインランドリー利用したことがないのと、洗濯機は二層式。

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