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異世界でギルド経営始めました  作者: 維新伝心
9/13

再開

「単刀直入に言います。」

アヴィーが腹を括り、決死の面持ちで勇迅を見る。

流石にその瞬間はお茶を堪能していたリーフィルも、カップに口をつけながらチラッと勇迅を見ていた。

勇迅はと言うと…

(…その話からか…)

と、少しバツの悪い顔になる。

そんな勇迅の様子を知らず、アヴィー続ける。

「ユウジン様!!この国を!!この世界を救って下さい!!」

座った状態ではあるが、深々と頭を下げるアヴィー。

言い訳などの余計な言葉の飾りを付けない懇願。

どこの馬の骨ともしれない外様に救いを求め、救ってもらわなければならない悔しさや情けなさも滲む懇願。

それだけ状況が切迫しているのが解る。

それでも…

「そ…それは無理です…」

勇迅はこう答えるしかなかった。

アヴィーの気持ちは痛いほど伝わってきた。

だがそれとこれとは別。

勇迅は小説に出てくる様な超人高校生ではない。

現代の地球の便利な技術ももたらせられない。

自分達ではどうにも出来ず、外から『何か』を期待し、打開してくれる事を望む者。

突然見知らぬ場所に召喚され、期待されている『何か』を持たず、何も出来ない者。

どちらが辛いか…

顔を上げ、今にも泣き出してしまいそうなアヴィー。

アヴィーの顔を見れず、目を背ける勇迅。

再びお茶に口をつけるリーフィル。

三者三様、異なる反応を見せる。

場の空気が重く暗くなる。

しかし、勇迅はそれ以外にも確認しなければならない事がある。

なので、空気が固まってどうしようもなくなる前に、口を開く。

「自分はただの高校生です…力も知識も技術もありません。それでも、不本意ですが今、ここにいます。そして、自分としては元の世界に帰りたいです。」

アヴィーから目を背けていた勇迅は意を決し、アヴィーを見据え言葉を続ける。

「それは…帰る事は可能なのでしょうか?…それをまず確認出来ないと、自分としては話を前に進められません。」

その勇迅の言葉にリーフィルが即座に反応した。

「あ〜それはすぐにってのは無理だね〜『呼ぶ』事すら可能かすら疑わしかった位だしね〜」

リーフィルはカップを置きながら、勇迅を見ながら相変わらずの軽い口調で語る。

「その疑わしい荒唐無稽な事にすら、縋らないといけない位にはこの世界は危ない状態にあるんだよ〜でも『呼ぶ』事が出来たなら『戻す』事も出来るはずだよ〜」

勇迅にとって一番重要な話をしているのに、あくまで軽く語るリーフィルにカチンときた。

「はずってなんだよ!!そんな無責任な事あるのかよ!!仮にもこの国のお偉いさんがそんなんでいいのかよ!!」

声を荒げる勇迅にアヴィーは体をビクッと震わせ(声だけではなく言葉に対しても)、あくまで飄々とした態度を貫くリーフィル。

「耳が痛いね〜アヴィーに至っては心も痛いね〜まぁ〜ユウジン君にはこっちの事情は関係ないもんね〜」

睨みつける勇迅を横目に、リーフィルはさらに続ける。

「はず、と言ったのは【召喚の儀】は本来、この世界になかったものをあたしが真似て使っただけだからだよ〜」

勇迅の視線を受けつつリーフィルは語る。


「【召喚の儀】は今この世界を脅かしている敵対勢力のものなんだよ〜」

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