邂逅
勇迅は謁見の間から客室ヘ二人のメイド服姿の女性に、半ば引きずられるように案内された。
そこは全面石造りで床には絨毯がしかれ、火の灯っていない暖炉とテーブルと椅子が4脚と大きなベットがある。
高そうな調度品も数多くあるが、ただ豪華にしているだけでなく、品が感じられる。
勇迅が入った扉の向う正面には大きな窓とベランダがあり日の光が部屋を照らしている。
メイド服姿の二人は勇迅が部屋に入るのを確認すると、少々お待ち下さいと言い部屋の外へ出ていった。
まだ自分の置かれてる状況は理解出来てはいないが、夢ではない事はお尻の痛みで理解した。
(なんなんだここは?昔のしかも外国のお城っぽい?さっきの所にいた人たちのそんな格好だったしな…)
少しずつ混乱からは抜け出してはいるが、やはりいまいち掴めないでいる勇迅。
無意識に窓の方へ歩み寄り、外へ目を向ける。
眼下には壁があり、その向こうには草原や森が広がっていた。
(特に何か解る訳でもないか…ただいい景色なだ…目にはよさそう。)
勇迅はそんなどうでもいい事も少しは考えられるまでには落ち着きつつあった。
そして、もう一度部屋を見渡しながら少し歩き、置いてある椅子へ腰を下ろした。
「痛ッ!!」
座ると同時にお尻に痛みが走り、勇迅は椅子から飛び上がった。
(何なんだよ…この状況といい、お尻の痛みといい何なんだよとしか言えないな…)
お尻をさすりながら、痛みが引くのを部屋をグルグル回りながら待つことにした。
その間、思考の方もグルグル同じ事を考えていた。
それほど長くは時間は経過してはいなかっただろうが、特に変わった見るも物もない部屋で、同じ事をグルグル考えていた勇迅にはひどく長く感じた。
すると扉がコンコンコンとノックされた。
勇迅がそちらに目を向けると、先程のメイド服姿の一人が失礼します。と声をかけ扉を開けた。
そして、伏し目がちに一歩壁側に下がり、少し頭を下げた。
その後ろから先程、勇迅が魅入った女性の姿が現れた。