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異世界でギルド経営始めました  作者: 維新伝心
3/13

相談

謁見の間から勇迅を含めた人間を退室させ、一人となったこの城の暫定的な主、アヴィーシェイル・ダイタルス・ラージェスは王座へ腰を下ろす。

先程、目の前で起こった【召喚の儀】に勇迅だけではなく、彼女も含む謁見の間にいた皆が驚いていた。

(まさか本当にあの様な床に描いた絵から人が突然現れるなんて…)

思うが早いかつい先程まで勇迅がへたり込んでいた場所へ目をやる。

そこのは大きな円の中に複雑な模様が描かれた絵があった。

今、この国が置かれている苦境を打開出来るかもしれない者を呼べるかも、と言う友人であり、彼女の相談役でもあり、教師でもあり、国お抱えの学者の一言。

半信半疑どころかほぼ疑いしかなかった。

しかし、アレが起きてからこちら信じられない様な事ばかり起きているのも事実でる。

しかも、国の存亡すらかかっている状況、有効な策もない現状もあり、藁をもすがる思いも相まってそれに踏みっきた。

(あの場ではとりあえず平然を装えましたが、あのままだとこちも召喚出来た後の事は決めていませんでしたし…)

と思考していると謁見の間のドアが開いた。

「いや〜マジで驚いたね〜まさか本当に召喚出来るなんてさ〜」

姿を目視した途端、異様に軽い口調で白いフードを被りエメラルドグリーンの髪を覗かせた女が寄ってきた。

「それでもまぁ〜あの場のあの判断は大正解だよ〜花丸を上げよ〜あたしも召喚の方で頭がいっぱいで、後の事なんてサッパリ考えてなかったしな〜」

捲くし立てるように、軽い口調のまま重要な事を無責任に言う彼女に城の主は思った。

(…見切り発進もいいところですね……)

「いや〜見切り発進もいいところだったな〜お互いにな」

思うと同時に発せられた彼女から言葉に気を落とした。

そう。これは彼女の責任だけではなく自分の責任も大いにある事を主たる彼女は思い出した。

「すみません。私ったら…」

再び自責の念にかられ、表情を暗くする。

「気にしなさんな。あたしは責てる訳じゃないよ。相談役であるあたしも悪いしね〜まぁ反省は後でするとして、これからどうするか、それを先に決めてしまおう。じゃないと彼が可哀想だよ〜」

あくまで軽く喋る彼女の言葉に主は考えを巡らせる。

「やはり、何を置いてもまず、こちらのお話を聞いて頂かないといけませんよね?」

と問いかけてくる主に相談役の女は答えた。

「いや〜それはまずいと思うよ〜あの様子だと召喚された事すら理解しきってないはずだしね〜それに輪をかけて『この国を救ってください。』なんて言ったらもっと混乱するよ〜」

もっともだと主は思う。

自分が逆の立場なら確実に混乱の極みに達する。

彼の召喚直後の様子からすでに大混乱だったであろう事は察しがつく。

「最初はこの国が置かれてる状況とかは無関係に、他国のそれもこの国の知識のない客人を迎える様な感じで接するのがいいんじゃないかな〜」

「普通に自己紹介をし、おもてなしをし、会話をし親交を深めるのですか?」

「ん〜親交は深めれればそれに越した事はないけど〜とりあえずある程度、会話が成り立つ位に彼が落ち着いて、この国を知ってもらって、こちらも彼の事を知る。これがその後の話を円滑にする為には大事だと思うよ〜」

相談役の言葉に主は頷いた。

「わかりました。では、早速彼の元へ参りましょう。」

そう言うと主は王座から立ち上がり、謁見の間を後にしようと歩きだす。

「あたしは少しこれを調べて、消してから行くよ〜いきなり何人もに囲まれるより二人の方が話しやすいだろ〜しね〜」

と床の絵を指差しながら相談役は大股を開き座り込む。

「そうですか。わかりました。」

不安な顔を覗かせる主に相談役は笑いながら後を押す。

「かっかか。大丈夫だよ〜そんな不安そうな顔をしなくても〜アヴィーと面と向かって話をして籠絡されない男なんていないよ〜」

「何を言っているんですかッ!もぅ!では先に行ってますからね!」

背中越しでもわかる位狼狽し、顔を紅くしているだろうている主に相談役は可愛い〜と思いつつ見送る。


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