召喚
「…………………はぁ?」
自室の机で椅子にあぐらをかいて、PCをいじっていたら急に視界がブラックアウトし、視界が戻ったら知らない所にいた。
パニックを通り越して逆に冷静に周りを見回し、第一声。
周りを見回したところで徐々に通り越したパニックが勇迅に追いついて来た。
(どこだここッ!?てか誰だこいつら?!ケツ痛ぇわ!!え?何このコスプレ集団?!なんだってんだよ!!ケツの骨折れてねぇだろうな?!)
自分の置かれた状況と、自分の状況が雪崩の様に頭の中を廻る。
キョロキョロと挙動不審に前後左右あらゆる方向に目を向ける。
向けた先にはきらびやかなドレス姿の女やスーツの様な服を来た男、鎧兜姿でこちらに長い物を向ける男?etc…
かなりの人数が驚いた顔で勇迅を見ている。
その空間にはざわざわとはっきりとは聞き取れないが、ほぼすべての人が何かを話している。
そんな中、勇迅がフッと自分の正面に目をやり、そのまま目を離せなくなった。
そこには白に近い金色の髪が輝いていた。
瞳はライトブルーで宝石の様に煌めいて見える。
優しげでありつつも、意思が強くこもった眼差しでこちらを覗き込む。
こちらが魅入っていると、艶やかで肉の薄い唇が動く。
「静粛に。」
語尾を強めた訳ではなく、大きな声を出した訳でもないにも関わらず、彼女の声は決して小さくないザワつきをものともせず空間全てに響き渡る。
静かになったのを確認するのと同時に、しばらくの沈黙を要求する様に周りを見渡す。
周りもそれを察し、彼女の方をジッと見つめる。
一通り見渡し、大丈夫だと確認すると彼女はへたり込んでいる勇迅に視線を向ける。
「まずは、急に見知らぬ場所に貴方の許可もなしに召喚してしまい申し訳ございません。」
彼女は目を伏せ、腰を折り頭を下げる。
「え?え〜…いや?」
先程よりも少しは落ち着いたものの、やはり状況の整理が出来ておらず、生返事にもなっていない声を出す。
「大変混乱されている様ですね。」
と、彼女の眉、瞳、表情、声色が申し訳ないという自責の色に変わる。
「今はとりあえず、落ち着いて頂く為にお時間を置かせて頂きます。こちらの方を別室へご案内をお願いします。」
そう言うと勇迅の後方へ目配せをした。
「皆さんもお集まり頂いたばかりですが、各々の職務にお戻り下さい。詳細は追って報告いたします。」
続けて周りも目配せし、解散を促す。
それを聞き、周りにいた様々な風貌の人間は彼女に頭を下げ、勇迅を遠巻きに見ながら、勇迅の後方へ消えていく。
そして、勇迅はメイド服を着た二人に支えられる様に立ち上がり、促されるまま移動する。