敵勢
「敵対勢力のもの?でも、お前はそれを習得して使ったんだろ?」
勇迅は異世界なんだし魔法の類はあるだろう、と現代の小説の知識からあたりは付けていた為、驚きはあまりなかった。
じゃないと、勇迅がここにいる理由が説明出来ない。
「習得は正確じゃないね〜あくまでそれを見て、真似しただけ〜原理を理解した訳でもないし〜結果、事実すら検証しようがない状態〜」
(なるほど…知らない事を、他人のしていた手順をそっくりそのまま追った結果って訳か…)
勇迅はざっくりそう理解した。
現代社会の中でも、何故そうなるか理解して使用している物の方が少ない。
例えばスマートフォン。
説明書や他人に教えられ、電話やインターネットを使えるが、その原理は一般人、少なくとも勇迅は理解していない。
今回の【召喚の儀】もそれに近いのだろうと、勇迅は無理やり納得する。
「もう一回、同じ事をやれって言われたら出来るよ〜多分やらせてもらえないけど〜」
カカッカと笑いながらリーフィルは締めくくった。
「当たり前だろ。そもそも何でそんな不確かなもんに手を出すんだよ。」
勇迅は嘆息しながらリーフィルを見る。
「だから〜さっきも言ったけど〜その不確かで〜荒唐無稽な〜摩訶不思議トンデモ現象に頼らないといけない位にはこの世界は危険が迫ってるんだよ〜」
(少しづつ状況が理解出来てきた…嫌な方向にだけどな…)
「要はその敵が使っているこの国にはない物を、見様見真似で使った。で、使えはしたけど、習得、理解出来てないから送り返せない。って事だな?」
勇迅はとりあえず、これまでの情報を整理する。
「そそ〜ご明察〜よく出来ました〜花丸を上げよ〜」
勇迅は動けていれば多分数発叩いているであろうリーフィルを見て続ける。
「じゃぁ、とりあえずその【召喚の儀】とやらの習得し、応用して送り返す。もしくは【召喚の儀】ではない送り返す方法を見つけ、必要があれば習得し、送り返す。って事か…」
「そそ〜だからごめんね〜今は絶対に無理なんだよ〜」
リーフィルはご丁寧に絶対まで付けて軽く話す
そこに重く沈黙していたアヴィーが話し始める。
「【召喚の儀】が最初に確認されたのは、敵対勢力が侵攻して来て間もなくだったそうです。その時は数カ所で大きな地面に描かれた絵が確認され、その絵が光って消えた時には大軍が姿を現したそうです。そして…敵の方から巨大な炎の塊や無数の氷柱が飛来し、なすすべなく敗戦しました。」
瞳に涙を溜め、それでも零れ落ちるのを我慢しながらアヴィーは語った。
そして、勇迅もすぐには帰れないと解り、渋々頭を切り替え、少し前から抱いていた疑問を投げかける。
「反撃はしなかったんですか?同じ様に炎や氷柱で、そもそもその敵対勢力って何者何ですか?」
勇迅の質問に対してアヴィーはすぐには答えなかった。
アヴィーは言葉を選んでいる様子と勇迅の常識を疑う様な目線を向ける。
少しの間が空き、アヴィーは再び口を開く。
「何もない所から、炎や氷柱を生み出すなんて人間に出来るはずないじゃないですか…それこそ人間ではない、突然現れた敵、人外の存在でもなければ…」




