表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

奥山さんの毎日。

奥山さんの合コン。

作者: ヤマモト

奥山さんはモテたい。


「星がない……金もない」

アルバイトの帰り、コンビニの袋を右手でぶらせ下げながら立ち尽くす奥山さんは汚れた空気で淀む夜空を見上げた。

「あ、奥山さん」

「あかりちゃん」

ふわふわしたスカートをふわふわさせて、揺る巻きの長い髪の毛を揺らしながら手を振り近づいてくるあかりちゃんに目を移す。

「電気代払った?あ、払ってないね」

「なぜわかる?」

わかるよ、奥山さん絶望した顔で空を見上げていたもんね、あかりちゃんは奥山さんにそんな止めは刺さない人だ。

「私だってさ、あかりちゃんみたいになんかふわふわした可愛い感じになりたいよ」

「奥山さんはふわふわしているよ」

「え?そう?」

「うん、地に足が確実に着いていないその日暮らしもままならない感じ」

奥山さんの右手にあるコンビニの袋を指差しながら言うあかりちゃんは、とても可愛いらしい女の子に見えた。

「タバコとビール買ってこの世の終わりを噛み締めるなんて相当ふわふわ、超ふわふわのプロだよ」

「ごめん、あかりちゃん、ちょっと黙って」

少しはわかってはいるんだ、本当は電気代を払って電気のある人道的な暮らしをすべきだと。だけど電気がなくても昔の人は生きていたんだから死なないじゃないという真実。

「だって昔の人は電気なくても死んでないじゃない!」

「タバコとビールがなくても死んでないけどね」

「タバコは空気かもしれないしビールは水かもしれないし、ないと私は死んじゃうかもしれないんだから、ない生活は試せないよ」

この人はどうしょうもない人みたいだな、とあかりちゃんは奥山さんと話す度に思っている。

「あ、そうだ。タダでビール飲みたい?奥山さん」

「飲む」

「合コンなんだけど、女の子タダでいいって話あるんだよね」

「合コン?」

奥山さんは考えるのが苦手だ。だから合コンと聞いてもピンと来なかった。来なかったけどイケメン達に囲まれてちやほやされながらタダでビールを飲んでいる姿を想像した。

「私モテ期?」

「すごく飛躍しちゃったね」


奥山さんはモテたい。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのしていて良かったです!! 特に、セリフのうまさに感動しました!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ