第七話
説明してばっかでつまんないからざっとパッとしてしまった。
「ふぅ…やっと止まった…」
あれから試行錯誤して、魔力の供給を断てば止めることができた。
また、水で例えると蛇口をひねって止める感じだった。
いや、危ない危ない…
魔力を使いすぎると倒れちゃうらしいからな。
前にも言ったが魔力の元はこの世界に特有な気体だ。
あまりに魔力が減ると酸素みたいに欠乏症を起こすらしい。
まぁ、それはさておき。
女神様が言っていた好きな魔法とやらを見ますか!
魔法大全の中に女神様が書き足したと言ってたな。
あっ、この小さめの冊子みたいなのか。
えーと、いくつかあるみたいだな…
一つ目はこれか?
・[ファイアフラワー]
な、なんだこの配管工のおじさんが好きそうな魔法は…
ちなみに女神様の好きな魔法には元の説明に加え、彼女からのひとことがある。
<私が小さなころにこれを見て本当に感動したんですよねぇ〜。昔から大好きなんですよこれ。まぁ、実用性はあまりないですねぇ。>
ど、どんな魔法なんだ?
説明を見よう…
・土属性で地中から様々な金属を抽出し、火属性でそれらを燃やし、時には空へ打ち上げたり、地面に向かって鑑賞したりする。カラフルな色合いが特徴。
よく分からんぞ…
しかも実用性ないくせに二属性使うとか割と高度なやつだ…
多分女神様が使いやすくしてくれてるから大丈夫だろう。
イメージが湧かないなぁ…
とりあえず、説明にある工程をやるか…
地中から金属を抽出して、燃やすんだな。
よし!
…うわ!なんだこれ?
さっきと魔力の消費が違うぞ!
かなり吸われていく!
さすが二属性同時だ…
パチッ、パチパチ
ん?これはまさか…
は、花火だ…
金属を燃やすってのは炎色反応のことか。
きれいだなぁ〜
…って、これ地味だな!
しかも花火ならファイアフラワーじゃなくて、ファイアワークスだろ!
もういいや…
とりあえず止めよう。
これはあんまり使えるとは思えないな…
その後も女神様の好きなありとあらゆる魔法を習得していった。(ついでに基本的な属性の魔法も粗方習得した。)
いずれ使う機会があればいいんだけどな…
どれも実用性が低く、コストが高いものが多かった。
最後のページを俺はめくった。
そこには見開きで二つの魔法があった。
・[ホワイトヒール]
・[ブラックペイン]
<私と私のお友達で考えたオリジナルの魔法です!どちらも魔力をたくさん使いますので、注意して下さいね!あと人前でむやみに使うと不思議に思われるかも知れません。まぁ、とっておきにして下さい。>
ヘェ〜、あの女神様に友達いたのか。
それはさておき。
どんな魔法なんだろうな?
まずはホワイトヒールの説明を見た。
・人の怪我を治す魔法で、水属性の[ヒール]とは異なる。ヒールは怪我したところを新陳代謝を早め回復するのに対し、ホワイトヒールは損傷した部分を元のように再生する。
注意:治癒力はヒールよりありますが、怪我をする前の状態を知ってないと発動しません。この性質から主に自分用に発動することが多いと思われます。
簡単に言うとヒールはどんな怪我にも有効だが、重症には効かない。
ホワイトヒールは重症には効くが、どんな怪我にも効くわけでないと言うことか。
ちなみにヒールはこの入門書には無かった。
難しい魔法なんだろうなきっと。
次に、ブラックペインの説明を見た。
・自分の負った傷を相手にも与える。自分の負った怪我が多いほど、相手の怪我が少ないほど魔力を消費する。
こ、これは凄まじいな…
自分のダメージを利用する魔法か…
なるべく使う状況にならないといいんだが…
ともかくこの二つの魔法は何かしら使えそうだ!
ただ、魔力の消費が激しいらしいから今日はやめておくか。
それに俺は今、全く怪我もしてないし、怪我を与える相手もいないからな。
よっしゃ!これで手荷物の確認は終わったな!
そろそろこの穴からも出てみたいと思ってたころだ。
そういえば、この近辺の地図があったな。
とりあえず人がいるとこに行くか!
「一番近いのは……ここか。」
そこには、【風の街ヴェント】と書いてあった。
行き先も決定したな。
それじゃあ…
始めようか!俺の異世界生活!