今日はひな祭りです。
「今日は、ひな祭りよ!」
「そうでありまするね」
仁王立ちで言い放つ水無月綾乃に至極当然と言うように鼓津々は返事をした。
クレールクラング、三月三日。
事務所の中には他にも、羽波真琴と音無瑞羽がいたが、真琴はポカンとした顔をして瑞羽は雑誌を読んでいた。
反応が薄かったのか、綾乃は言直す。
「今日は、女子トークよっ!」
「……そう、でありまするか」
「やりたいんですね」
「……呼び出されたと思ったら、そういう事ね」
男子はおらず、女子だけのクレールクラング。
__そう、今日はひな祭りである。
「……という事で、滅多にできない女子トークをしましょうよ」
綾乃がそう言うと、その周りに他のメンバーが集まってくる。
「なーにを話すんでありまするかー?」
津々がそう言うとうーんと少し悩む綾乃。そして思いついたように口を開く。
「やっぱり恋愛よね♪ じゃ瑞羽ちゃんどぞ」
「なんで……かくいうアヤノさんは? 浦田さんとは仲良いみたいだし」
「浦田は秘書。そういった感情特になし」
「う、浦田さん……切り捨てられて……」
顔色一つ変えずに言い切った綾乃に真琴は可哀想にといった顔をする。
「じゃあ真琴、アンタは?」
「えっ……あたしっ!?」
うーんと悩む真琴。
「特にないですね……。ここの人は基本雲の上の人としか思えないし、ほぼほぼ営業スマイルにしか映らないし……」
「学校はどうなんでありまするか?」
「が、学校……あたし両親いないから部活とかもやってなくてさ。あんまり付き合いがないっていうか……」
「ふぅん、そうなのね……」
「瑞羽お姉様はどうなんですか?」
「本当聞きたいわ、どーなのよ」
「……えー」
と、そこでバァン! とクレールクラングの扉が勢いよく開けられる。
「おい、この猫名を忘れるとはいい度胸だなぁ!!」
「あ、猫名さん!」
そこに入ってきたのは猫名。そして、猫名もガールズトークに加わってだんだんと賑やかになって、話も弾んでいく。
__そして数分が経った頃。
「あれ、なんか騒がしーぜ」
「……? 何かあったのか?」
クレールクラングの外では糸水絃と樂の双子が中の様子に聞き耳を立てていた。
聞こえてきたのは、本音を言い合っている芸能事務所の女子たちの会話。
「真琴ちゃん、絃と樂はどーなの? 年齢も近いし……かっこいいなーとか?」
「それは、思いますけど……思うだけですね」
それを聞いていた本人たち。
ただ、一言。
「「…………傷つくわ」」




